勇敢な兄弟「アメリカ進出、10年越しの夢が現実になった」

OSEN |

「初めてデモCDを送ったあの時のようにドキドキしています」

ここ10年間業界トップのプロデューサーとして活動してきた勇敢な兄弟が、慣れない土地アメリカで意味ある第一歩を踏み出した。韓国の音楽チャートでは何度も1位を獲得した彼だが、今も音楽を始めた時のあの覚悟だけは変わらない。彼をもう一度ドキドキさせる新しい舞台はアメリカだ。

勇敢な兄妹は最近、アメリカのヒップホップミュージシャンYGが発売した新曲「Cash Money」のプロデューサーとして参加した。YGは現在、アメリカのヒップホップシーンで一番ホットなラッパーで、ラチェットミュージック(Ratchet Music:LA発のニューサウンド)で世界的に有名なプロデューサーであるDJ・マスタードが積極的にサポートするミュージシャンでもある。YGは音楽マガジン「ビルボード」とのインタビューで「勇敢な兄弟は、俺たちの時代に影響力が多大な世界的なプロデューサー」と評価し、「Cash Money」は発売第1週にラップベースメントなどアメリカの音楽配信チャート上位にランクインした。7ヶ月でのことだ。

これまでパク・ジニョン、シン・ヒョクなどがビルボードのメインチャートに作曲家として名を挙げたが、勇敢な兄妹は路線そのものが違う。韓国の作曲家がヒップホップ音楽で本土の市場を攻略したのもまれなことだが、正式プロデューサーとしてパートナーシップを結んで継続的な現地での活動の保証を受けたのは初めてのことだ。YGの「Cash Money」も単純に作曲家としての作業ではなく、ミュージシャンとプロデューサーのコラボタイプのシングルであるため、さらに意味がある。プロモーションも韓国人が多く住んでいる地域を除いて徹底的に現地化した。

彼によると、まだアジア音楽に対する偏見は根強いという。「ただK-POPダンス曲だけだという固定した認識が残念だった」と話す勇敢な兄妹は「ヒップホップ音楽をする韓国人を新鮮に見ていた。プロデューサーとして活動して、韓国音楽の高くなったクオリティを見せたかった」と話す。韓国では最高のプロデューサーとされる彼だが、現地で彼の履歴は何の役にも立たない。もっぱら音楽で認められて勝負するのがこの業界のルールであるためだ。

昨年12月1回目の打ち合わせでデモを聴かせてからすぐに作業の進行が決まり、順調に事が進んだ。小まめにデモのやり取りをして検証を経てからレコーディングを行う現地特有のやり方を考えると異例のケースだ。彼は「たったの二日でレコーディングが行われた。韓国もアメリカも情熱は一緒だが、音楽を本当に楽しみながら作業を行う雰囲気は驚くほどだった」と感想を伝えた。

彼の音楽は今後2年間23曲が現地で発売される予定だ。最近韓国でも有名になったアメリカのR&Bミュージシャンエリック・ベリンジャーとの新曲作業は既に終わっており、下半期にも複数の曲が次々と発売される。韓国のアイドル音楽業界に作曲家ブランド全盛時代を切り開いた彼の新しい目標も、現地で音楽プロデューサーとして認められることだ。

勇敢な兄妹が韓国の音楽業界でヒットさせた特有の雰囲気は現地でも独特な雰囲気として受け止められた。エレクトロニックジャンルの強烈なビートにヒップホップの要素を加えて、韓国特有の雰囲気を最大化した彼だけの感性は強みとなった。それが噂となり、複数のアーティストとの作業につながった。彼は「メロディが印象的なフック(同じフレーズを繰り返すこと)に対する現地での反応が良かった。アジア人はヒップホップについて分かっていないという偏見が未だ存在しているが、ジャンルに人種の区分はないと常に強調してきた。音楽を聴いて感じるのは誰でも同じではないだろうか」と述べた。

偏見より怖いのは怠りだ。彼は昨年末から韓国とアメリカを行き来して作業に集中している。今年、AOA、T-ARA、HELLOVENUSなどの音楽を担当した勇敢な兄弟は、BIGSTAR、1PUNCHなど、自身が代表を務めるBraveエンターテインメント所属ミュージシャンの新曲作業の予定も目白押しだ。そして来月またアメリカに向かう予定だ。

7年前、筆者とのインタビューで彼はこう言っていた。音楽を始めて正確に10年になれば、アメリカデビューに挑んでみると。「僕が以前話したの、覚えていますか? あの時の話が本当に現実になりました」アメリカは誰にでもチャンスの土地だが、誰にでもチャンスがめぐってくるわけではない。ここ10年間、韓国の音楽業界でトップの座を守ってきた彼にとって、アメリカはもう新たな夢の始まりだ。初めてデモCDを作って、事務所に渡したあの時の気持ちのように。

記者 : パク・ヨンウン