スターへの悪質なコメントに対する捜査、なぜほとんど進展がないのか

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悪質なコメントを残すネットユーザーを捕まえることはかなり難しい。芸能人たちが悪質なコメント(虚偽の事実の流布及び悪質なコメント)に強硬に対応するとし、自ら前に出ている。問題となった内容をキャプチャーし、同書き込みを行ったネットユーザーのIPアドレス、ID、ニックネームなどを保存する。この過程は告訴状を受け付けるためのウォーミングアップにすぎない。

告訴さえすれば素早く捜査が行われるわけではない。告訴の後が本当の始まりだ。韓国警察庁サイバー安全局によると、悪質なコメントを寄せるネットユーザーに対する捜査の過程は、4段階に分かれる。


「告訴に使う時間がもったいなさすぎる」

芸能人であっても必ず手続きを守る必要がある。問題は、捜査が長引く場合だ。その分、本業に集中できない。そのために告訴を諦めたり、取り下げるケースが多い。その点をよく知っているネットユーザーは「捕まえられないことを恐れているのでは」「私も通報して」と皮肉ったりもする。

「告訴に使う時間がもったいなさすぎる。所属芸能人のためにも、他の業務に集中したほうが良い。結果的に、告訴は見せるためのものでもある」(A事務所広報チームのDさん)

数十人以上の多人数を告訴する時は、問題がもっと複雑になる。悪質なコメントを寄せるネットユーザーは全国各地に点在しているので、管轄警察署の指定をめぐって責任を回避することもある。例えば、ソウル西大門(ソデムン)警察署に告訴が受け付けられても、非告訴人の所在地が釜山(プサン)であるなら捜査の責任をとるのはどの警察署だろうか。

特別な事情がなければ事件を最初に受け付けた西大門警察署が管轄警察署となる(警察庁訓令事件の管轄及び管轄事件捜査に関する規則第6条)。しかし、物理的に非告訴人を召喚・調査することが難しく、事件を釜山に移送しようとした時に、釜山でも事件を返戻すると捜査は遅々として進まなくなる。

警察庁の関係者は「各警察署ごとに状況が異なるので、決まった手続きに基いて、事件を処理するのが最優先だ」と明かした。


悪質なコメントを告訴?芸能人の顔にも泥を塗ることに

芸能人Bさんは広告モデルとして抜擢され、撮影を控えていた。そんな中、Bさんに対する悪質な噂が広がった。広告主はブランドのイメージを考慮し、Bさんのモデル抜擢を取り消した。噂の真偽とは関係なく、すでにBさんのイメージに傷ができたという判断だった。

その後、Bさんは噂を流布した人を捕まえるために捜査を求めた。告訴の事実が知られると、噂の内容も一緒に広がった。流布者は捕まえたが、Bさんに残ったものは何もなかった。

悪質なコメントを寄せるネットユーザーを捕まえるとしても問題である。被害補償のために、法廷まで行くのを甘受することは簡単ではない。法的攻防が終わる瞬間まで事件が取り上げられるためだ。これはすなわち芸能人のイメージの失墜、さらにはそれ以上の不利益につながる可能性が高い。

「悪質なコメントを寄せたネットユーザーを告訴すると、当然マスコミにも露出される。警察でも所属事務所や芸能人がそれを受け止められるか聞いてくる。事務所は大丈夫だが、芸能人はとりあえず不祥事に名前が上がることになるので戸惑うしかない」(A事務所広報チームのNさん)


悪質なコメントを寄せたネットユーザー、捕まったけど未成年者…処罰はどうなる?

結局悪質なコメントを寄せるネットユーザーの検挙や処罰に至るまでは、当該芸能人の意志が最も重要であると解釈できる。捜査が終わった後も和解するのか、裁判にかけるのかは、被害者である芸能人の決定によって決まる。

非告訴人が未成年者なら悩みはもっと深くなる。刑法上、名誉毀損罪は被害者が処罰を望まないと処罰できないため(反意思不罰罪)、善処を求めるネットユーザーが多い。

「未成年者を告訴すると、毎日のように電話が来て謝罪をする。未成年者を潜在的な前科者にすることはできないと思って、両親を呼んで覚書を作成させて告訴を取り下げたりもする」(A事務所広報チームのKさん)

一般的に悪質なコメントによるサイバー犯罪は、告訴人と非告訴人が和解すると終結となる。和解に至らなかった場合は検察に送致され、判決によって刑が確定される。

悪質なコメントの対応に上手いと言われている女優キム・ガヨンは、悪質なコメントに対する処罰まで導き出したケースだ。当時、悪質なネットユーザーたちは50万~500万ウォン(約5万~50万円)の罰金刑を言い渡されたという。

記者 : カン・テミョン