年齢差を超えた!心臓移植を受けたヒロインとの純愛を描いた感動ドラマ「私の人生の春の日」 ― 鑑賞コラム 前編

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近年の韓国ドラマのトレンドは“複合ジャンル”と呼ばれるドラマだ。法廷ドラマにラブやサスペンスを盛り込んだ「君の声が聞こえる」、ロマンチックコメディー+ホラーの「主君の太陽」、時代劇+ラブ+ミステリーの「太陽を抱く月」……などなど。多様なジャンルをひとつのドラマにバランスよく盛り込んだ良質のドラマが人気を集めている。しかし一方では、ドラマが複雑になればなるほど、シンプルなドラマを見たくなるもの。そんなときに出会った作品が「私の人生の春の日」だった。特別な仕掛けもどんでん返しもなく、ストレートにピュアで運命的な愛を描き、単純に感動して泣ける。「そうそう、こういう王道の純愛ドラマを待ってたのよ」と。

ストーリーは、心臓移植を受けたヒロインのボミ(少女時代 スヨン) が、亡き心臓提供者の夫ドンハ(カム・ウソン) と出会い、お互いの素状を知らぬまま惹かれあうも、ボミの婚約者がドンハの弟であることや、年齢差による周囲の反対、ボミの健康状態の悪化など、さまざまな困難が押し寄せるというシンプルなもの。しかしながら、同時間帯ドラマ1位の視聴率を獲得し、多くの人の共感と感動を呼んだ本作の魅力は、登場人物ひとりひとりのきめ細やかなキャラクター設定と、繊細に描かれた心理描写だ。

まず、ヒロインのボミは、自分の代わりにこの世を去った心臓の提供者の分まで一生懸命に生きようとする強迫観念が強い人物。常に生きていることへの感謝を口にするボミに命の大切さを教わるとともに、心が洗われること間違いなしだ。一方のドンハは、年齢差と子持ちであることを気にして、ボミへの想いを隠そうとする思慮深い大人の男性。それでも、時折隠しきれず出てしまうボミへの愛情表現に母性本能をくすぐられる。

そして、もうひとりの主軸をなすのは、ボミの婚約者であり、ドンハの弟のドンウク(イ・ジュニョク)。ドンウクの初恋の人がドンハの亡き妻であり、その心臓をボミが移植された経緯から、兄弟の確執をはらんだ三角関係が展開する。ボミとドンハの愛を応援したい一方で、2人が結ばれたら2度も兄に愛する人を奪われることになるドンウクも気の毒で、応援せずにはいられない。しかも、ドンウクはボミにとって優しく非の打ちどころのない婚約者であり、ドンハとの恋路を意図的に妨害するなんて姑息なことはしない、限りなくイイ男なのだ。

また、ボミに母の面影を感じて再婚を望むドンハの子供たち。心臓に爆弾を抱えるボミとの再婚に反対するドンハの母(カン・ブジャ)。年齢差のあるドンハとの結婚に反対するボミ母(シム・ヘジン) と、ボミの幸せを第一に考える父(クォン・ヘヒョ)。そして、ある理由があってドンウクと別れた元恋人のジウォン(チャン・シニョン) など、サブキャストの内面も細やかに描かれ、全員に感情移入してしまう。記憶喪失や悪役の陰謀など、刺激的な素材や展開はなく、静かに淡々と進行するストーリーだが、それぞれの人物の想いが交錯し、誤解と和解を経て、絆を深めてゆく姿に感動し、心が温まることうけあいだ。

ヒロインが、心臓を提供した女性の夫と運命的な恋に落ちるという“セルラーメモリー現象”を素材にしたストーリーは、あの大ヒットドラマ「夏の香り」を彷彿とさせるうえに、風光明媚な済州島を舞台にした映像美も見どころという点で、ユン・ソクホ監督の四季シリーズのファンにも必見の作品。
本作で女優としての評価を一層高めたスヨンと、渋い魅力で女性ファンが急増したカム・ウソンの20歳差の共演も大きな話題になった本作。次回は、2人をはじめとした出演俳優たちの魅了に迫りたいと思います!

韓国エンターテインメントライター:安部裕子

「私の人生の春の日」DVD情報
DVD-SET1 好評発売中&Vol.1~6 好評レンタル中
DVD-SET2&Vol.7~12 レンタル 8月5日(水) リリース
¥15,200+税 発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
DVD公式サイト:http://kandera.jp/sp/haru/
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記者 : Kstyle編集部