「カッコウの巣」はツッコミながら見るのが楽しい!韓国“マクチャン”王道ドラマの魅力 ― 鑑賞コラム 前編

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マクチャンとは?

“マクチャン”とは、「行くところまで行った」という状態を意味する言葉で、出生の秘密、復讐や陰謀、不倫、離婚、交通事故、殺人……などなど、普通なら人生に一度あるかないかという出来事が次々と描かれるドラマに対して使われています。

もともとは「鉱山の坑道の突き当たり」を意味する単語ですが、その突き当たりの壁をガンガン掘り進んでいってしまうところが、韓国マクチャンドラマの魅力の一つ。ありえない事件の連続で、ツッコミどころ満載ながらも、一度見始めると「この先どうなるの……!?」と続きが気になって、確かめずにはいられなくなってしまいます。


中毒性抜群の「カッコウの巣」

代理母をテーマに描かれた「カッコウの巣」も、そんな中毒性抜群の復讐ドラマ。“他の鳥の巣に卵を産みつけ、ヒナを育てさせる”というカッコウに由来したタイトルから、すでに大きな波乱が巻き起こりそうな気配が漂っています。

脚本を手がけたのは「ルビーの指輪」などの作品で知られるファン・スニョン。日本では、超新星のゴニルのお母さまとしても有名です。「カッコウの巣」では、テンポの速い復讐劇と<産みの母>と<育ての母>の戦い、さまざまな形の母性愛を描き、「これはおもしろいマクチャン!」「不思議な魅力があるドラマ」と人気を集めました。

本作に登場する悪女のファヨンは、兄の死後、家族を支えるために働きづくめの日々を送ってきた女性。自分を捨てた元恋人ビョングクを数年ぶりに目撃した彼女は、大きなショックを受けます。なんとビョングクは、兄の恋人だったヨニと結婚していたのです。

勤め先のオーナーから「子宮摘出手術を受けた嫁の代わりに、代理母になってほしい」と頼まれたファヨンは、その“嫁”がヨニであることを知り、復讐のために提案を承諾。兄を殺したとヨニを逆恨みするファヨンは、彼女から何もかも奪ってやると心に決めます。やがて復讐の刃は、ヨニの家族にも向けられて……。


迫真の演技に注目。イケメンも続々登場

ヨニ役を演じたのは、大ヒット作「妻の誘惑」で復讐ドラマの女王となったチャン・ソヒ。前半はファヨンにやられっぱなしですが、後半はもちろん反撃に出ます。幸せなセレブ妻だった頃は控えめでおとなしかったヨニも、すべてを知ってからはたくましく変身。堂々とファヨンに立ち向かい、我が子を守るために闘う母の愛を見せてくれます。

ヨニを手助けする熱血弁護士役のヒョン・ウソン、イケメンながらダメ夫を演じさせたらピカイチのファン・ドンジュ、ヨニに片想いする後輩役のキム・ギョンナムなど、彼女をめぐるイイ男たちも見逃せません。

一方、悪女のファヨン役で迫真の演技を見せたイ・チェヨンは、KBS演技大賞で助演賞を受賞しました。グラマラスボディや授賞式などでの大胆なドレス姿でも注目を集めてきたセクシー系美女で、本作でもその魅力を生かしてヨニの夫や父親に接近します。

韓国ドラマには「ひたすら憎たらしい悪女」「そりゃこうもなるよねと同情したくなる悪女」など、いろいろなタイプの悪女が登場しますが、ファヨンは後者にあてはまるキャラクター。復讐の手口は残酷ですが、不幸な過去を思うとなんだか気の毒になってしまいます。

アメリカでビジネスに成功し、帰国後は復讐の鬼と化すファヨンは、意外にも実家暮らし。家族と毎日顔を合わせていたら復讐に専念しにくそう……と余計な心配をしてしまいますが、ここがまた家族愛を重視する韓国ドラマらしいところ。母と叔父によってマンションから勝手に荷物を運び出されたファヨンは激怒しますが、実家にいてほしいと母に懇願されると、なんとなく出て行くタイミングを失ってしまうのです。

ヨニとファヨンを取り巻く脇役も個性的。2人の母親がめまぐるしい攻防戦を繰り広げる中、随所に挟まれるエピソードがほどよい息抜きになります。さらに、気になる新キャラクターが徐々に投入されるため、102話という長編ながら飽きることなく楽しめます。

「こんな展開ありえない!」と言われつつも、多くの視聴者を惹きつけ、愛されているマクチャンドラマ。寝不足覚悟で、ぜひ一度ご覧になってみてはいかがでしょうか?

ライター:藤田麗子

「カッコウの巣」DVD
DVD-SET1~3 好評リリース中
DVD-SET1 12,000 円+税 / DVD-SET2~7 15,000 円+税
毎月順次 リリース
発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
DVD公式サイト:http://kandera.jp/sp/kakkou/
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【放送情報】
BS11:毎週月~金曜日 午後2時00~3時00 放送中
TV大阪:毎週月~金曜日 午前8:15~8:55 放送中

記者 : Kstyle編集部