バラエティ番組のプロデューサーが発掘した、実力のあるアイドル歌手とは?

OSEN |

JTBC「百人百曲-最後まで行く」(以下「最後まで行く」)は、基本的に四方八方に散らばっている歌詞を当てるバラエティ番組だ。一生懸命に目を回して次の歌詞をキャッチしなければならない。そして、間違った歌詞を探すと、ステージ全体に赤い照明が灯り、画面には失敗という「FAIL」が表示され、歌っていたスターはがっかりする。しかし、きちんと歌えばゾクゾク感を感じることができる。

「最後まで行く」は歌をたくさん覚えているからといって成功できるものではない。もちろん、確率は高くなるはずだが、知っている曲でも散らばっている歌詞を見て困惑してしまうシーンが頻繁に演出される。しかし、一部のネットユーザーたちは「覚えて歌えば誰でもできるじゃないか」という反応をしたりもする。

「覚えてできるものではありません。『歌詞を覚えてやっているのではないか』『本当に歌詞を見てやっているのか』が観覧ポイントではなく、成功したかどうかが重要なのです。完璧に歌を知っているからといって成功するという保証はありません。普段口ずさんでいた曲を完璧に歌った時に、自然に本能的にできる場合があります。幼い頃に覚えていた曲を20年間歌っていないのに、歌っているうちに歌詞が出てきたりもするそうです。だから『覚えてやっているのか』のような論争は意味がありません。覚えた曲をやってはいけない理由もありません」

キム・ヒョンジュンプロデューサーは「最後まで行く」で一番重要なのは、ステージに上がったスターたちが歌でどのように視聴者を楽しませ、どれほどちゃんと歌うかにあるという。「最後まで行く」はスターたちが歌うことばかりがハイライトではなく、選曲団と話し合いながら自身が望む曲を探していく過程もなかなか面白い。スターたちが成功の確率を高めるため、曲に数字が入った曲や90年代の曲、トロット(韓国の演歌)を持ってきた選曲団を選ぶなどのシーンがある。

「『最後まで行く』は、自身が一番うまく歌える曲を歌って、その曲をちゃんと届けるのが目的でもあります。だから、本人が歌いたい曲を歌うことができるように選択の時間を与えるのです。曲選びに悩むのも面白いし、若い歌手たちが昔の曲を歌って成功するのも面白いです。TEENTOPのNIELがナム・ジンの『ねぐら』を歌った時、本当に雰囲気が良かったです。上の世代の曲を下の世代が歌って成功させた時の快感があります。出演したアイドルたちが大先輩の曲を歌う姿は微笑ましいものです」

「最後まで行く」は、NIELのようなアイドルの出演を毎回見ることができる。EXID ソルジ、AOA チョアとユナ、Block B テイル、KARA ヨンジ、AFTERSCHOOL リジとレイナ、RAINBOW ジェギョンとヒョニョンなど、たくさんのアイドルが歌唱力を新たに認められ大きく話題になった。

どうしてもアイドルに対する偏見が存在するため、まったく期待せずに見たり、音程を外すんじゃないかといらいらしながら見てしまうが、しっかり歌いこなす。話題になって当然の歌唱力だ。「このアイドルってこれだけ歌が上手だったの?」という反応から始まったアイドルに対する関心は、彼らを見直すきっかけにもなる。

「アイドルからすごく人気です。いつもまた出演したいとか、レギュラーになりたいと言われます。1つのグループで一人か二人のメンバーが出演しますが、残りのメンバーたちはいつ出演できるかとも言います。『最後まで行く』の恩恵にあずかったアイドルがいるので出演したがります。歌唱力に自信があると思っているアイドルが出演を要請したりもします」

「最後まで行く」に出演したアイドルのうち、一番話題になったアイドルといえば、断然EXID ソルジだ。ソルジは予想していなかった歌唱力で視聴者や出演陣、MCたちを驚かせた。「Up&Down」を歌った時とは完全に異なる姿だった。EXIDのステージではセクシーな衣裳やダンスで注目されたが、「最後まで行く」のステージでは爆発的な歌唱力が耳を捉え、落ち着いて歌うステージマナーは文字通り“意外”なものだった。

ソルジが“歌唱力アイドル”というタイトルを得たのは、キム・ヒョンジュンプロデューサーの特別な“感”のおかげだったと言っても過言ではない。ソルジが「最後まで行く」に出演する前まで、EXIDはセクシーアイドルのイメージが強かった。しかし、「最後まで行く」に出演した後、EXIDは歌も上手なアイドルという評価がつき始めた。キム・ヒョンジュンプロデューサーは以前からソルジの実力に注目していた。ソルジをキャスティングしたのは“神の一手”だった。ソルジは「最後まで行く」でULALA SESSION、Brown Eyed Girlsを抑えて優勝し、海外旅行のチケットを獲得した。ソルジの歌唱力が知られ、ソルジはMBC「ミステリー音楽ショー覆面歌王」にも出演して優勝した。

「実力はあるけれど、隠されていたアイドルを探すために専念します。ソルジを発掘した時が面白かったです。ソルジは本当にすごかったです。機運がすごいものがありました。再対決をして最終まで行きましたが、ファイナルが驚きでした。以前Homme(2AM チャンミン&8eight イ・ヒョン)のイ・ヒョンがファイナルで歌詞が散らばっているのを見て諦めましたが、ソルジはそれを最後までやり遂げました。ゾクゾクしました。ソルジをはじめ、テイルも本当にうまくできたし、NIELもそうでした。アイドル中心にしようと考えたわけではありませんが、知られていない隠された実力者を見つける楽しさがあります」

どのアイドルが歌が上手かはファンたちは知っていても、一般の人々には分かりにくい。バラエティ番組に出演しては芸を披露したり、ゲームをして歌を歌う場合でも音楽番組で数フレーズを歌うだけだ。ラジオでメンバー個人が歌うとしても、テレビより人々への露出度は低い。そのため「最後まで行く」への出演を要請するアイドルが多い。キム・ヒョンジュンプロデューサーも隠された実力者を探すために努力している。

「実は番組の役割は1つではないですね。『最後まで行く』を企画した時、隠された実力者を発掘するのも、ある程度意図していたことでした。SPICAもそんなことを言いました。メンバーが5人であるため、ステージで3分の曲を歌っても自分が歌うのは歌詞2行ちょっとだと。『最後まで行く』で久しぶりに自身が好きな曲を歌うチャンスをもらえてよかったということでした。企画段階から、埋もれていた実力のあるアイドルが人々に紹介されればいいなあと思っていました」

キム・ヒョンジュンプロデューサーは歌が上手なアイドル探しに集中する。多くのアイドルが登場している中で宝を探すのは容易なことではない。キム・ヒョンジュンプロデューサーもマネージャーに会うたびに、誰が歌が上手か必ず聞いている。幸いなことは、キム・ヒョンジュンプロデューサー宛にCDが送られてきていることだ。歌が上手なアイドルが歌った曲が入っているCDだ。キム・ヒョンジュンプロデューサーの机の上にそんなCDが積まれている。

「最近マネージャーに会うと、グループの中で誰が一番歌が上手か聞いています。そして、マネージャーたちも歌が上手なメンバーを『最後まで行く』に出演させたがります。本当に歌が上手なアイドルが多いですが全員を出演させられなくて残念です。私たちも探し続けています。私がもらったCDの場合、メインボーカルが歌って補正を経ていない歌が収録されたCDです。オーディションならぬオーディションを行うことになりますが、CDを聴いてキャスティングしたりもします」

その分「最後まで行く」は歌手たちが出演したがる番組として定評だ。歌いたい歌を歌うことができて、歌唱力もアピールできるため、出演した歌手たちも大いに満足し、製作陣もそんな歌手たちを見ていると嬉しい。多くのタレントたちが様々なバラエティ番組に出演するが、満足感を持って帰るのは容易なことではないためだ。

「色々な番組に出演してみたけれど、これだけ出演者たちが喜ぶ番組はなかったように思います。以前やっていた番組では出演者たちが『ありがとうございました』『お疲れ様です』などと型にはまった挨拶をしますが、『最後まで行く』の出演者たちは年齢を問わず心から喜んでくれます。出演者がこんなに好かれる番組があったかなあと思うほどです」

「最後まで行く」が歌手たちが出演して歌いたいと思う番組であるだけに、音楽にも特に気を使っている。「最後まで行く」の音楽はMBC「私は歌手だ3」の音楽鑑賞室メンバーである韓国トップレベルの音楽監督クォン・テウンが担当している。もちろん、セッションもトップレベルだ。

「クォン・テウン監督が『最後まで行く』を担当しています。Noelの『プロポーズ』、godの『普通の日』を手がけた方でもありますし、音楽を上手くリードしてくれています。セッションも実力がいいことで有名な方々です。すべての曲がライブで演奏されるだけに、100人の選曲団の曲をすべて練習しなければならないので、最初は負担に思ったらしいです。最初の収録前には14時間も練習したほどです。でも今は本当に本人たちも楽しんでいます。音楽が重要なバラエティであるため、音楽をきちんと聴かせたい意欲があります。番組を進化させていくものがあります。視聴者にいい音楽を聴いてもらうために、今も様々な努力を続けています」

記者 : カン・ソジョン