パク・ソンウン「『鬼はさまよう』の全裸アクションシーン、主要部位を隠すのも面倒になって…」

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また悪役、飽きることはないかって? 心配ご無用。映画「鬼はさまよう」(監督:ソン・ヨンホ、制作:ミインピクチャーズ)でパク・ソンウンが演じたガンチョンは、韓国のスリラー映画においてかつてない連続殺人鬼だと断言できる。血も涙もなく、痛みなども感じない。遺体の場所だけでも教えてほしいと泣き叫ぶ遺族に、彼は子どものように純朴な笑顔で答える。彼の言葉を借りるなら“藪から棒な”悪役。その悪魔のような内面の深さが計り知れないため、さらに鳥肌が立ち、怒りが込み上げる。

「鬼はさまよう」は一般的なスリラー映画とは違い、殺人事件が起きた直後に焦点を合わせる。犯人が検挙された後に本格的なストーリーが始まる。映画は10人の女性を残酷に殺害して死刑を言い渡されたガンチョンが監獄で怪物になっていく間、彼が誰かの標的になって謎の攻撃を受けながら繰り広げられる物語を描く。

今回の作品を最後にこれからは悪役を演じないと言う彼は、この悪役引退作(?)で後々まで語られそうな名シーンを誕生させた。公開直後から話題を集めている“全裸銭湯アクションシーン”は彼が42時間一口の水も飲まずに闘魂を発揮したシーンだ。一糸まとわぬ肉体と肉体が対決するアクションそのものも素晴らしいが、これまでの韓国映画としては珍しい試みだという点でも目を引く。そしてここにパク・ソンウンの骨身を削る努力が加わった。

映画が終わった後も簡単には忘れられないエンディングシーンは、パク・ソンウンが3ヶ月にわたって研究したシーンだ。血を流しながらぞっとするような笑みでカメラを見つめるガンチョンの顔は、観客に濃い余韻を残しながら映画に印象深いピリオドを打つ。最近の韓国映画の中で最も印象深いエンディングシーンでもある。

次回作にtvNドラマ「身分を隠せ」を選んだ彼は「今回はいいやつを演じる」と笑った。有名になることや人気を得ることよりも、俳優そのものになりたくて演技の道を選んだという彼の今後の歩みが期待される。

以下、パク・ソンウンとの一問一答である。

―マスコミ向け試写会の途中、救急室に行った。

パク・ソンウン:倒れて運ばれたという報道もあるが、間違って伝わったことだ。自分の足で歩いて行った(笑) 最初から被害者の家族に感情移入した。辛くて見ることができなかった。全裸銭湯アクションシーンの直前までは全力で耐えたが、結局マネージャーに車を出してほしいと言った。血圧急に上昇した。

―周りから意外に少女のような面があると言われているが、もともとスリラー映画を見るのは苦手なのか。

パク・ソンウン:いいえ、全く。僕がそう見えるだろうか。もちろん性格は強くない。高校生の時から背が高く、目が一重だったのでよく頼もしいと言われた。デビューした時からヤクザの役も演じたし。それからも強い役をたくさん演じるようになった。俳優として継続的に強い服を着ていたから、思わず精神的にもタフになったような気がする。でも僕も両親にとっては息子だし、息子にとっては父親だ。日常では限りなく愛嬌を振りまくこともある。

―連続殺人鬼の役に対するプレッシャーはなかったか。

パク・ソンウン:最初はプレッシャーがなかった。うまくやれると思ったし、本当にうまくやりたかった。しかしいざ完成本を見るとプレッシャーが生まれた。連続殺人鬼、僕が演じたキャラクターだけれど、本当に強かった。

―殺人シーンを撮影した翌日にはよく眠れなかったと聞いたが。

パク・ソンウン:手錠で警察の首を切るシーンがあった。人工皮膚を切る演技をしたが、それがまるで実際のことのように感じられた。その日、ホテルで一人でいたけど、眠れなかった。

―全裸の銭湯アクションシーンが話題になっている。

パク・ソンウン:そのシーンのせいで計42時間、水も飲めなかった。本当にたくさん努力した。(キム)ウィソンさんが3ヶ月にわたり、週に2~3回ずつアクションスクールに通っていたけれど、基礎テストをした時とは全く違っていた。ウィソン兄さんにとっては30年の俳優人生の中で初めてのアクションだったのだ。兄さんが僕の秘密の部分もよく隠してくれた(笑)

撮影が18時間も続いた。最初はアングルを変えるたびに衣装チーム長がタオルで主要部位を隠してくれたけれど、時間が経つにつれてそれさえも面倒になっていった。「おい! どうせ全部見ただろう! なのに何を隠すんだよ!」と僕の方からしなくてもいいと言った(笑) 脱力や脱水の症状まできて、工事(?)だけをした状態でしゃがみこんでいた。すべてのことが面倒くさいと思った。

―苦労した分だけ名シーンが生まれ、満足していると思う。

パク・ソンウン:そのシーンは撮影しながら監督を殺しくなるほど大変だった(笑) でもいざ終わってみると本当に胸がいっぱいになる。3分のために18時間、準備期間まで含めると3ヶ月ほど努力した。今後大韓民国において、あのシーンより強いものは出ないだろう。きっと近いうちにファンがいろんなパロディーを作ると思う。でも僕は僕のファンを愛している。

―銭湯シーンと同様にエンディングシーンの印象も強烈だった。

パク・ソンウン:最後のシーンは僕のアイディアだった。監督にまず任せてくださいと言った。「結局、僕がゲームで勝った」という印象を与えたかった。3ヶ月間鏡だけを見ながらエンディングシーンの笑みを練習した。最初のテイクで監督がすぐ「OK」と叫んだ(笑)

―3ヶ月間鏡を見てずっと表情の練習だけをしていたのか。

パク・ソンウン:新人の時からロバート・デ・ニーロに熱狂していた。善と悪が共存する演技を見せてくれるじゃないか。ロバート・デ・ニーロが映画「ケープ・フィアー」(マーティン・スコセッシ、1991年)で手錠をはめられたまま湖に徐々に沈んでいくシーンで見せた眼差しがある。それをモチーフにした。

―映画はガンチョンの過去について説明して欲しい。自分なりに設定したガンチョンの過去はあるのか。

パク・ソンウン:設定なしで、藪から棒に入った。たぶんその女を愛したこともあるかもしれない。所有したいから。庭に埋葬しておいて、時々掘って顔を見るのだ。

―息子に見せられる映画にも出演したくないか?

パク・ソンウン:次の作品はどの年代の人でも見られる、父情を描いた映画に出演したい。しっかり感情移入できると思う。実際、取調室でテス(キム・サンギョン)とひとしきりやった後、ガンチョンがそっと笑うだろう? その時、息子のことを思いながら笑った。全州で撮影を行っていたけれど、息子に本当に会いたかった。そのシーンではできる限り純真な笑顔を見せなければならないと思って息子を思い出しながら笑ったが、映画にすると本当に“最悪なやつ”のように見えた(一同爆笑)

―いわゆる“悪いやつ”を演じるのは「鬼はさまよう」が最後だと?

パク・ソンウン:食傷気味じゃないか。僕がいくら努力して新しい演技をしても見る人が食傷というなら食傷だ。

―「新しき世界」のファン層がものすごい。

パク・ソンウン:今もその理由がわからない。息子もいるおじさんのどこがいいのか(笑) さらにみんな若い女性だ。最初は演技人生16年にして何が起こったのかと思って驚いた。

―大器晩成型だ。まだ日が当たっていない周りの後輩たちがアドバイスを求めてくるケースもあるか。

パク・ソンウン:僕は自分が出演する作品に役者の後輩たちを一人ずつ紹介する。オーディションの機会をあげるのだ。制作会社の代表やプロデューサーに「僕を見てキャスティングせず、オーディションだけ見てほしい。演技は僕が検証した」と話す。この前もアシアナ国際短編映画祭で偶然知り合ったイ・ヒョンウクという俳優が人間性もよく、演技もうまかった。彼が「無頼漢」のオーディションを受けて刑事2にキャスティングされた。

―大衆が好むイメージと自分が変えたいイメージの間で悩んだことはないか。

パク・ソンウン:そんなに悩んだことはない。もちろんファンの愛情は大事だが、愛されるために俳優になったわけじゃないから。愛は一生懸命にしているとそれについてくる本当にありがたいプレゼントなのだ。もちろんその愛を遅れていただいているので、本当に身に余る光栄で感謝している。

―妻(女優シン・ウンジョン)は「鬼はさまよう」を見たか。

パク・ソンウン:僕より忙しい。まだ見ていない。

―シン・ウンジョンが出演した「ミセン-未生-」が大ヒットした。

パク・ソンウン:僕は「ミセン-未生-」1話につき100回は見たけど、僕の息子は僕よりたくさん見た。シワン(ZE:A)を見てチャン・グレと言うほど全てのキャラクター、俳優の名前を全部覚えた。今年6歳だけど、「ミセン-未生-」が面白いと言っている(笑)

―「新しき世界」プリクエル(前日譚)はどうなっているのか。

パク・ソンウン:制作条件が前作に出演した俳優が全て出演することだった。だからさらに慎重になり、遅れているのだ。(チェ)ミンシク兄さんも、(ファン)ジョンミン兄さんもみんな本当に忙しいから。むしろ年齢は大丈夫だと思う。最近、CGがすごいじゃないか(笑) 「国際市場」を見たらジョンミン兄さんも……(オ)ダルス兄さんも本当に……ハハハ。

―映画「オフィス」「無頼漢」の次の作品は決まったか。

パク・ソンウン:tvNドラマ「身分を隠せ」からラブコールを受けた。OCN「悪いやつら」のキム・ジョンミン監督の作品だが、4月から撮影に入る。今回はいいやつだ(笑)

記者 : キム・スジョン、写真 : イ・ソンファ