ヒョンビン vs チソン、一瞬の選択によって分かれた二人の運命

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写真=TVレポート DB
ミニシリーズ市場は戦場だ。視聴者は気楽にリモコンを手に取るが、俳優たちはこの選択によって泣くか笑うかの悲喜が分かれる。

1話あたり少なくても数千万ウォン(数百万円)、高くて数億ウォン(数千万円)の出演料をもらう俳優たちにとって、視聴率は生存がかかった戦いだ。それだけにシナリオを選ぶ目は重要だ。1本の作品が俳優の未来を変える運命にもなる。作品の勝敗によってギャラが変わるからだ。次期作の出演料が変わり、広告の契約数が変わる。トップスターたちも自分の地位を維持するためには慎重に作品を選ばなければならない。

その点で最近チソンとヒョンビンが繰り広げている対決は興味深い。二人は毎週水、木曜日の夜MBCドラマ「キルミー・ヒールミー」とSBSドラマ「ジキル・ハイド、私」で戦争中だ。結果はチソンの圧勝。視聴率の差が2倍で、演技に対する評価も分かれている。

しかし、チソンの勝利を事前に予想した人は少なかった。一時期、ヒョンビンは「キルミー・ヒールミー」への出演を前向きに検討した。制作会社であるPANエンターテインメントはトップスターである彼を掴もうと奮闘したが、意見の違いを埋めることが出来ずキャスティングに失敗した。代わりにヒョンビンが選んだのは「ジキル・ハイド、私」だ。ヒョンビンが軍除隊後、初めて選んだドラマだ。彼の動きにこのドラマは大きく関心を集めた。当然、視聴率も付いてくると予想された。

ヒョンビンの確保に失敗した「キルミー・ヒールミー」の制作会社は様々な俳優たちにシナリオを渡した。イ・スンギが出演を検討したが、彼も契約書作成を前に出演が霧散した。焦った制作会者はチソンと女優ファン・ジョンウムに手を伸ばしたが、反応は分かれた。以前、KBS 2TVドラマ「秘密」で共演したため、多少被るという意見が多かった。

チソンにとっても色んな俳優たちが断った作品に出演するというのは、簡単な決定ではなかっただろう。しかし、彼はプライドを立てずに、自分が持つ情熱を説明することで作品への愛着を見せた。放送前に行われた制作発表会で、「キャスティング議論を見ながら、“僕がやりたい”と思っていたところ、シナリオが来た」と正直に明かしたのだ。

このようにチソンとヒョンビンは紆余曲折の末、それぞれの作品を見つけた。しかし、幸運の女神はチソンに微笑んだ。同時間帯1位を維持することはもちろん、演技人生以来最高だという好評が相次いでいる。一方、ヒョンビンは泣き面をしている。放送の間、一桁台の視聴率から抜け出せないのはもちろん、“演技面での変身が必要だ”という指摘が相次いでいる。期待の高いトップスターであるため、批難はさらに痛々しいものだろう。

広告販売件数においても悲喜の交差がはっきりと表れている。広告主たちは初め、チソン&ファン・ジョンウムよりヒョンビン&ハン・ジミンカップルを好んだ。初放送前に販売される広告の基準は客観的な指標である視聴率がないため、主人公のスター性が物差しとなる。「ジキル・ハイド、私」はヒョンビンのおかげで、完売に近い販売率を見せ、ますます勢いを増した。しかし、今は状況が違う。広告が売れなかった「キルミー・ヒールミー」は人気が上昇するにつれ、販売率がうなぎ上りで上昇したが、「ジキルとハイドに恋した私」の販売率は右肩下がりとなっている。

2つの作品は素材が似ており、キャスティングまで重なったため、制作前から競争構図を形成した。しかし、期待の中でスタートを切ったヒョンビンは泣き、疑いの中で出発したチソンは笑っている。瞬間の選択が二人の俳優の運命を変えたのだ。

記者 : キム・ジヒョン