パク・ミニョン「女優は恋をたくさんしなければならないというけれど…」

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写真=文化倉庫
KBS 2TV月火ドラマ「ヒーラー」(脚本:ソン・ジナ、演出:イ・ジョンソブ)のヒロイン、チェ・ヨンシンは脚本家がパク・ミニョンを念頭において描いたかのように、あまりにも“パク・ミニョン”らしかった。パク・ミニョンは人生の暗闇を表すことができないため、いつも明るく笑っているチェ・ヨンシンの姿からヒーラーであるチ・チャンウク(ソ・ジョンフ役)との甘いラブシーンまで、完璧に近い演技力と呼吸を見せた。

ここ2ヶ月間、チェ・ヨンシンとして生きてきたパク・ミニョンに最近、江南(カンナム)のとあるバーでインタビューを行った。最終回が放送される当日の朝まで撮影を行わなければならない厳しいスケジュールをこなしたため、多少疲れた気色はあったものの、「ヒーラー」をそのまま見送るのが寂しかったパク・ミニョンは「ヒーラー」の伝道師と自称した。インタビューの最初から最後まで、放送終了となった「ヒーラー」の広報で声が嗄れるほどの情熱を見せた。


「ヒーラー」を選んだ決定的な理由

「ヒーラー」は「黎明の瞳」「砂時計」などの歴史的なドラマを手がけたソン・ジナ脚本家の新作として関心を集めた作品。ソン・ジナという名前が持つ意味は小さくなかった。パク・ミニョンは「海外で『ヒーラー』のシノプシスをメールで送ってもらった。国境を越える汽車の中、携帯電話で読みはじめてから3時間で出演を決めた」と話を始めた。

パク・ミニョンが「ヒーラー」を選んだ決定的な理由は別にある。パク・ミニョンは「帰国した後、イ・ジョンソブ監督とソン・ジナ脚本家を夕食に誘った。その場で脚本家の先生がこのような約束をしてくれた。『女性たちが愛するパク・ミニョンを作ってあげたい』この話を聞いて泣きそうになった」と当時の状況を説明した。

普段、パク・ミニョンは女性に嫌われていると思っていた。チェ・ヨンシンは誰が見ても女性視聴者の支持を得るほどラブリーなキャラクターだったため、パク・ミニョンはキャラクターを通してでも女性たちの好意を感じたかったのだ。しかし、チェ・ヨンシンの人気はキャラクターの影響だけではなかった。パク・ミニョンが演じたチェ・ヨンシンだったから、自然に人気もついてきた。

「ソン・ジナ脚本家は最初、私に示してくれた大きな絵から一度も目を逸らすことなく、一貫性のあるキャラクターに仕上げてくれた。そこがすごいと思ったし、尊敬するようになった。だからソン・ジナ脚本家だなと思った。『ヒーラー』はもちろん、視聴率はそれほど高くはなかったのだが、体感する程度や私たち俳優たちが持つプライドはどのドラマにも劣らないほど大きい」

パク・ミニョンは4年ぶりのインタビューだと強調しながら「『ヒーラー』が良いドラマだという事実を広めて、本放送を見ることができなかった方々にダウンロードしてでも必ず見てほしいと言いたかった。それで、自ら望んでインタビューをすると言った」と話した。彼女は「『ヒーラー』は一度見始めたら途中でやめられないドラマだ」と言いながらインタビューの途中にも「ヒーラー」の広報に熱を上げた。


チェ・ヨンシンは、また別のパク・ミニョン

パク・ミニョンが「ヒーラー」を絶賛する理由は、キャラクターのほかにもまだある。毎回予想を外すソン・ジナ脚本家の筆力がそれだ。パク・ミニョンは「ほかのドラマだったらチェ・ヨンシンをキム・ムンホ(ユ・ジテ)とも絡ませたと思うけど、うちのドラマにはそういうものがなかった。『チェ・ヨンシンはソ・ジョンフのもの、ソ・ジョンフはチェ・ヨンシンのもの』とマジックで印が書いてある。ねじることもなく、淡白だからもっと気に入った」と話した。

チェ・ヨンシンはパク・ミニョンの手に負えないほど厳しい環境に置かれた人物だ。子どもの時に父を亡くし、母とも別れた。養子に出され、また離縁を繰り返し、7歳の時は自殺を試みた。トラウマのせいで運転もできず、暴力的なシーンを見ると息が荒くなる。ところが、生きてきた環境に合わないほど興のある性格でもある。説得力のある演技が難しい人物だ。

「チェ・ヨンシンの感情に忠実になろうと努力した。パク・ミニョンを徹底的に取り除くために、外的な部分はすべて諦めた。スッピンでカメラの前に立つのは初めてだった。男装した時より化粧が薄かった。そのせいで変わったという指摘も受けたが、パク・ミニョンを捨てることによって演技にもっと集中することができたので、結論的にはよかったと思う(笑)」

チェ・ヨンシンは最近あまり見ることができない女性キャラクターとして、多くの女性視聴者の支持と憧憬を一身に浴びた。その理由についてパク・ミニョンは「チェ・ヨンシンの魅力はソ・ジョンフのナレーションの中によく表現されている」としながら「この子は火の中が熱いということを知りながらも飛び込む。傷を知りながらも飛び込む」というソ・ジョンフのセリフを吟ずる。

睦まじい家庭の末っ子のようなルックスを持っているパク・ミニョンにもチェ・ヨンシンみたいなトラウマがあるのだろうか。トラウマに対する質問をするとパク・ミニョンは考え込んだ。彼女は「チェ・ヨンシンのセリフに『この子は捨てられたのがトラウマだから、捨てられると思って可愛く笑ったよ』という部分がある。何となく共感した」と大変なことがあっても周りの人々に表せない自身の性格が長所であり、また短所であるとしながら鼻の先をしかめた。


恋愛ができてない1年、演技に夢中になった人生

悩みがあっても外に出せずに一人で解決するというパク・ミニョンは、うつ病を心配する記者に「ストレス指数は高くない。憂うつになることもないし、10時間以上よく寝ている」と手を振った。彼女は「動物が保護色を持つように、この仕事をして9年目になって私も保護色を持つようになったと思う。つらいことがあってもすぐに忘れるようになった」と淡々とした表情を見せる。

チェ・ヨンシンはヒーラーというボディガードのせいで多くの女性に嫉妬された。チェ・ヨンシンを見ながら代理満足する女性視聴者も少なくなかった。パク・ミニョンも「私もヒーラーがほしい」と一般的な女性視聴者に同和されたようにただをこねる。「ストーカーみたいだけど、夜道に一人出歩いてもいいし、とても力強い。毎日けんかするのに電話はすぐにとる。でも、やみくもに家に入ってくるのはいやだ(笑)」

女優の30歳という年齢は若くない。結婚してもおかしくない年だ。しかし、パク・ミニョンは「結婚する気はまだない」とはっきりと言う。しかし、恋愛に対しては寛大だった。彼女は「女優は恋をたくさんしなければならないという主義だけど、恋愛をしないまま1年を超えた。このままワーカホリックになるのではないかと少し心配だ」と唇を突き出した。

ワーカホリックになってしまいそうと心配するほど、パク・ミニョンは演技に夢中になって人生を過ごしている。やりたい作品、キャラクターを考えることで一日があっという間だという。どんな演技をしたいのかという質問に彼女は「白痴美(表情に乏しく、知性の感じられない美貌)演技で女優生活を始めたのに、その次の作品ではあまりにも賢かった。賢い役は台本を覚えることも難しいし、私には合わない気がする」

悪役はできなさそうだという先入観についてパク・ミニョンは「悪役は好きだけど、チャレンジするのが怖かった。私が上手にできる演技が何かを知っているから、その壁を壊して出ることが難しかった。でも『ヒーラー』をやってみると極端に行きたいとも思うようになった」と話した。「演技を始めて何年にもなるけど、こんなに演技が面白かったことはなかったような気がする。私が上手にできる演技の他にも、様々な役柄にチャレンジしてみたい(笑)」

記者 : イ・ウイン