チョンウ「どうしてレトロ物ばかりに出演するのかって?」

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写真=キム・ジェチャン、映画「セシボン」スチールカット
ナジョンの頬をつねりながらバカらしく微笑んでいたのがまるで数日前のことのような気がするが、それがもう2年前のことだ。tvN「応答せよ1994」のスレギ役で長い無名時代に終止符を打った俳優チョンウ(34)が映画「セシボン」(監督:キム・ヒョンソク、制作:J film)で戻ってきた。

「セシボン」は武橋洞(ムギョドン)の音楽鑑賞室セシボンで活動していたフォーク音楽界の伝説ソン・チャンシク、ユン・ヒョンジュのTwin Folioに第3のメンバーがいたという想像から始まった作品だ。キム・ユンソク、チョンウ、ハン・ヒョジュ、キム・ヒエ、チン・グ、チャン・ヒョンソン、カン・ハヌル、チョ・ボクレ、キム・イングォンが出演した。

チョンウは今回の作品でトリオセシボンの3番目のメンバーであり、ミン・ジャヨン(ハン・ヒョジュ)のためなら何でもする純情男オ・グンテ役を演じた。トリオセシボンの、デビュー直前に入隊することになったイ・イクギュン氏をモチーフにしたキャラクターだ。

「実際のモチーフになった先生(イ・イクギュン)にもお会いしました。最初は僕が釜山(プサン)出身であることを知らなかった先生に『釜山の訛をたくさん練習したほうがいい』と言われました。釜山出身だと言ったらどの学校を卒業したのかと聞かれたので釜山商業高等高校を卒業したと答えたら、なんと先生も釜山商業高等高校出身だったんです!本当に不思議でした。周りの人々も皆驚きましたよ」

チョンウのフィルモグラフィではとりわけ過去を背景とする作品が目立つ。俳優チョンウの存在感を世の中に知らせた映画「風」(09)がそうであり、今のチョンウを作ってくれた「応答せよ1994」はレトロブームの始発点になった。「応答せよ1994」で数多くのドラマ、映画のラブコールを受けた彼が相次いでレトロ物に出演する理由は何なのか。

「もちろんレトロ物が好きです。作品のストーリーが好きで選んだら、その作品の背景が過去である場合が多かったです。『セシボン』はまず面白かったし、ときめきました。共感もしましたし。それにキム・ユンソク先輩が僕の40代を演じてくれるということが力強かったです。一つの作品のクレジットに先輩と一緒に名を上げられるということ自体を力強く感じました」

「セシボン」はその当時、若者の街だった武橋洞(ムギョドン)を牛耳っていた音楽観賞室セシボンを舞台に、皆の心を捉えたただ1人のミューズ、そして忘れられない初恋の記憶を描いた映画だ。「YMCA野球団」(02)、「クァンシクの弟クァンテ」(05)、「スカウト」(07)、「シラノ:恋愛操作団」(10)、「11時」(13)を演出したキム・ヒョンソク監督がメガホンをとった。韓国で2月5日に公開される。


以下は、チョンウとの一問一答

―もともと歌は上手だったか。

チョンウ:カラオケではよく歌ったけど、他人の前で自慢に対するプレッシャーがある。怖くなったこともある。よく震えるから。KBS 2TV「ユ・ヒヨルのスケッチブック」を見れば分かると思うけど、本当にたくさん震えた。

―ギターの練習はどのくらいしたか。

チョンウ:ギターと歌の練習を3時間ずつした。ひたすら楽しかったわけではない。プレッシャーというか。もちろん僕のキャラクター自体が歌やギターの実力がものすごく上手なキャラクターではないが、ある程度ギターが弾けるのに弾けないふりをすることと、本当に下手でできないのは気持ち的に異なる。だから、それに対するストレスがあった。

―Fコードはうまくなったか。

チョンウ:今はFコードがうまくなった。でも毎回うまいわけではなく、運がよければ3回に1回くらいはできる。

―どこまでは実際で、どこまでが虚構か。

チョンウ:実存人物(イ・イクギュン)がいる。会ってみた。トリオセシボンのデビュー4日前に入隊することになったという。それで仕方なくTwin Folioとしてデビューすることになった。そのモチーフと設定を参考にしただけで、そのほかの内容はすべて虚構だ。

―当時いくつだったのか。

チョンウ:生まれる前だった。時代よりストーリーに集中しようとした。そこからインスピレーションや共感を得ようとした。背景が変わるだけで、感情が変わるわけではないから。音楽を聴く機械が変わったからといって、その感動が変わるわけではないから。うわ、今の言葉、ものすごくよかったかも?!

―初恋、レトロといったコードが「応答せよ1994」を思い出させる。演技をする時「応答せよ1994」のスレギというキャラクターと差をつけた部分があるか。

チョンウ:演技をする時、わざと前作との差をつけることはない。水が流れるように自然にやっていきたい。意識する瞬間、ぎこちなくなると思う。

―ハン・ヒョジュとの息はどうだったか。画面にはとても綺麗に映っているが。

チョンウ:そのくらいだったか?ウハハ。気さくだと思ったけど、思ったより口数が少なかった。キャラクターに没頭していたと思う。

―ハン・ヒョジュとのキスシーン撮影は順調だったか。

チョンウ:特定のキスシーンは技術的な部分のため、数回撮影した。

―旅館のシーンで観客に余地を与えたかったと言ったが、本人はどのような設定の下で演技をしたか。

チョンウ:半分半分だったと思う。半分は沢山想像しながら、半分は本当に何事も起こらなかったかのように演じた。ウハハ

―俳優同士の相性も見所だった。

チョンウ:特にチン・グさんとの息が本当によかった。チン・グが「26年」と「母なる証明」に出演したチン・グだということをしばらく忘れていたが、「セシボン」を見て「あ、この人がチン・グだな!」と思った。現場でもリーダーだった。俳優として過度な欲を持たないが、それは皆学ばなければならない点だと思う。懸命な人だ。見習うところが本当に多い。

―キム・ユンソクと2人1役を演じた。(ルックスが20代の時とあまりにも違うから)後日空港で再会したオ・グンテとミン・ジャヨン(キム・ヒエ)がお互いに気づくことがありえないという冗談もあるが。

チョンウ:プハハ。そう言われてみると、そうかもしれない。僕はただキム・ユンソク先輩が僕の40代を演じるということに浮ついて、そこまで考えたことがない。

―実際も恋人のために電話で歌を歌うロマンチックなスタイルか。

チョンウ:ウハハハ。そんな思い出は僕一人で抱えていたい。

―本当の初恋はいつだったか。

チョンウ:釜山鎮(プサンジン)小学校2年生の頃に出会ったイム某氏だ。気をつけをした時に手の甲と手の甲がぶつかったことがあって、とてもときめいた。僕が彼女をいじめた。そんなに綺麗な子ではなかった。当時は勉強ができる子が綺麗に見えた。中学校2年生の時に一度見かけたことはあるけど、今は連絡を取っていない。

―本人なら愛と友情、どちらを選ぶのか。

チョンウ:当たり前に愛だ。僕がイ・ジャンヒ先生であっても(オ・グンテの選択を)理解したと思う。僕も友人が愛を選んでも理解する。それが友達じゃないか。

―映画「ヒマラヤ~地上8,000メートルの絆~」の撮影に参加しているが、ファン・ジョンミンとの息はどうか。

チョンウ:兄さんがリードしてくれるから力強い。監督もすごく温かい方だ。現場はもちろん大変だ。まだヒマラヤには行ってないけど、現場に埃も多く、強風機のせいで粉雪が顔にあたったりして。高所恐怖症もあるので最初のクライミングの練習では苦労した。本当に大変だった。

―この前tvN「三食ごはん」の撮影にも参加したが。

チョンウ:「ヒマラヤ~地上8,000メートルの絆~」の撮影を終えて12時間もかけて撮影現場まで行った。寧越(ヨンウォル)から木浦(モクポ)まで6時間、木浦から小さい船に乗って6時間もかけてマンジェ島に向かった。12時間もかけて行ったのに、到着するやいなや飯を炊き、薪に火をつけた。ものすごく大変だった。放送をみれば分かるが、ソン・ホジュンも僕もめちゃくちゃだ。ガスレンジ、ボイラー、シンクのありがたさを感じた。もちろん癒された。朝起きたら波が輝いていて、とても綺麗だった。チャ・スンウォン先輩は料理がとても上手で、先輩が作ってくれたご飯も本当においしかった。

―「応答せよ1994」以来久々の復帰作だ。感想を聞かせてほしい。

チョンウ:先輩たちは作品を終えるごとに自身の子どもみたいだと言うじゃないか。その言葉が少しは理解できる。自分の血筋が生まれる感じがする。映画が興行するかどうかは別として、うら寂しい気持ちがする。

―どんな俳優になりたいか。

チョンウ:この質問を受けるたびに悩ましい。幸せな俳優になりたい。一日一日、幸せになりたい。

記者 : キム・スジョン