「技術者たち」キム・ウビン“僕がイケメン俳優ではないから、関心を持ってもらえたと思う”

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写真=sidusHQ
丁寧に積み上げた塔は崩れず、10回斧を入れて倒れぬ木はない。良い農家に悪い土地はないわけで、天は自ら助くる者を助く。常に全力で丁寧に努力を積み重ねると、良い結果がついてくるとの意だ。俳優キム・ウビン(25)のための言葉であり、最も彼らしい言葉でもある。

昨年から勢いに乗っていたキム・ウビンが、2014年満開した。演技を始めてまだ3年目だが、キム・ウビンは常に見事に賢く任された任務をこなし、周りを感嘆させた。気を抜けば怠け者になるのではないかと常に手綱を締める。キム・ウビンはそんな男、そんな俳優だ。

2013年11月に「チング 永遠の絆」(監督:クァク・キョンテク)を通じてスクリーンデビューを果たしたキム・ウビンは忠武路(チュンムロ、韓国の映画街)に高く浮上した星となった。新人であるにもかかわらず抜群の演技力と人々を虜にするスター性を兼ね備えた珍しい若手スターの誕生だった。その後、数多くのシナリオのオファーが殺到し、俳優として最も慎重に行うべき重要な2作目の選択として犯罪アクション映画「技術者たち」(監督:キム・ホンソン、制作:トリニティエンターテインメント)を選んだ。

「技術者たち」で自身初の単独主演を務めたキム・ウビンに失望などはなかった。冷たくて気難しい“悪い男”のイメージが固まっていくように見えたが、心配無用だった。今回は図々しくセクシーなキャラクターで変化を与えた。どんな金庫でもラクラクと開けてみせる金庫破りの技術者ジヒョク役を演じたキム・ウビンは大衆の心を完璧に開くマスターキーであった。

最初は生まれ持つ才能が大きいだけだと思った。しかし、直接会ってみた彼は才能を盲信するよりは徹底的に努力する“努力型の働きアリ”であった。謙遜は基本的な徳目として備え、常に相手のことを配慮する奥深い人だった。キム・ウビンの忍耐は苦い。しかし、その実は甘いだろう。以下はキム・ウビンとの一問一答である。

―「技術者たち」では初めて単独主演を演じた。

キム・ウビン:本当にプレッシャーをいっぱい感じながら決めたんです。実際すごく不安だったのですが、キム・ホンソン監督が確信を与えてくださって、そのおかげでプレッシャーを和らげることができました。特に素晴らしい先輩俳優が大勢出演しただけに、学べるものも多いだろうと思って欲張りました(笑) 今思うのは、決めて良かったしすごく勉強になったと思います。キム・ヨンチョル先輩は目を見るだけでその感情が伝わってきて、同じ空間で演技をしているだけで勉強になりました。コ・チャンソク先輩からもイ・ヒョヌからも学べるところがたくさんありました。僕の演技の人生において、最も思いに残るような作品です。

―「チング 永遠の絆」以降、多くの作品のオファーがあったと聞いたが、なぜ「技術者たち」を選んだのか。

キム・ウビン:演技歴は短いですが、作品を選ぶにおいて僕なりの基準があります。一番目はまず面白いこと。二番目は映画が語ろうとする内容と僕の価値観が似ていることです。「技術者たち」はそのような僕の基準から見て、確信できる作品ではありませんでした(笑) 難しいシーンが多く、想像することもなかなかできませんでした。そんな状況の中、キム・ホンソン監督が映画のトーンを上手く理解させてくれて、説得してくれました。確信ができた瞬間、後悔はありませんでした。

―自身の2作目の映画だが、余裕を持って見られたか。

キム・ウビン:最初に「技術者たち」を見たのはメデイア試写会で、それから一般人の観客を対象とする舞台挨拶を通じてもう一度見ました。最初の時も二番目の時も観客の立場からリラックスして見ようと思いましたが、やはり容易くはありませんでした。僕の演技よりは素敵な先輩たちが一緒に上手く埋めてくれて面白い作品に仕上がったと思います。みなさん、お疲れ様でした。

―ケイパームービー(金庫破り映画のジャンル)である「技術者たち」は、2012年に韓国で公開された「10人の泥棒たち」(監督:チェ・ドンフン)とも比べられているが。

キム・ウビン:僕は逆にそのような比較はしないようにしていました。比べられるしかない状況であることは知っていますが、わざわざ気にしながら演じる必要はないと思っていました。悩む度に僕だけが苦しいですし。ハハハ。欲張らず、最善を尽くせば観客も満足してくれると信じました。もちろんヒットすればいいんですけれども。けど、「必ず勝たないと」とか「1位になる」とか、このような欲はないんです。「僕が思った以上に多くの反響があれば嬉しい」くらいの希望があるだけです。なので、目標としている観客数もないんです(笑) 素敵な作品に参加できるということに意味を置き、幸せだったのでそれで満足です。

―比べられるのは気にしないということだが、それでもキム・ウビンは特に「10人の泥棒たち」のチョン・ジヒョンと比べられている。チョン・ジヒョンほどセクシーだったという評価だが。

キム・ウビン:ハハハ。本当にチョン・ジヒョン先輩と比べられるとは想像もしていませんでした。僕は自らセクシーという言葉が似合わないと思っているんですよ。演技をする時も「セクシーに見えたい」という思いで演技をしてはいません。ハハハ。チョン・ジヒョン先輩には申し訳ありませんね(笑) 昔は同じ所属事務所に所属していましたし、尊敬している先輩なのに僕なんかが比較の対象になるなんて。感謝ですけど申し訳ありません。

―冷たいイメージから脱却したようだが、普段もジヒョクの姿と似ているか。

キム・ウビン:図々しくて融通が利くのはとても似ています。そのようなところが演技できる原動力になったと思います。演技をする時はできるだけ本音を語ろうとし、僕の中のすべてを引き出すようなトレーニングを受けました。完全に僕と違うキャラクターを演じたと言えば嘘になりますね。嘘をついて、真似をするほうがもっと演じにくいです、僕は。

―「技術者たち」を通じてアクションの演技も披露した。

キム・ウビン:アクションが面白かったです。もともと運動が好きなのですが、ボールを使う競技は上手くないです。背が高いのでバスケットボールができると思われて、監督たちがバスケットボールの試合のシーンをよく入れたりしますが、その度に大変でした。代役さんはいましたが、顔の目が出るシーンが多くて僕が全部演じました。僕の目は鋭くて観客が目を見るだけで分かるんです。そして、できるだけ本人が演じるのが正しいと思います。やりたかったですし。ハハハ。

―忙しい活動の中で「技術者たち」の撮影が体力的に辛かったと思うが。

キム・ウビン:現場の雰囲気がすごく良くて、撮影現場に行くとエネルギーが湧いてきました。海外活動中に映画の撮影が重なってハードな時間を過ごしたのですが、それでも良かったです。もちろん撮影現場に行く道はあまりにも疲れていてこのまま死んでしまうのではと思いましたが、到着する瞬間いつそうであったかのように生き返るんです。先輩たちとおしゃべりをしながらストレスも解消して、ケータリングのおばさんの美味しいご飯を食べる楽しさも大きかったです。後半にはケータリングのおばさんと仲良くなって、携帯のメールでハートを送ったり、電話で世の中の話も交わしました。ハハハ。

―「技術者たち」の撮影現場では、キム・ウビンの忙しいスケジュールを非難する声もあったようだが。

キム・ウビン:(笑) よく知っています。僕も映画の撮影に集中したかったのですが、それが僕の思う通りには進まなくて。海外のスケジュールは「技術者たち」を選ぶ前に決まっていたものだったので、変更することもできませんでした。後半には雨のせいで撮影が遅延されたりして、スタッフもすごく大変だったと思います。

―演技の上手い20代の俳優として挙げられているが、自らはどう評価しているか。

キム・ウビン:ハハハ。僕は僕の演技を気楽に見ることはできません。絶対にです。スクリーンやドラマに出ている僕の姿を見ると鳥肌が立ちます。恥ずかしくて不安になります。特に知人たちと見ているともっと恥ずかしくてどうしようもないです。ハハハ。僕は50年はもっと演技をしないと気楽に見れないと思います。そして今の僕は自ら満足してはいけない時期でもありますね。

―たしかに、彫刻のようなビジュアルの俳優ではない。

キム・ウビン:僕はイケメンではないですよね。ハハハ。だからもう少し関心を持ってくださるのではと思います。最近は男から見ても綺麗な男性俳優が多いのに、いきなり変なのが出てきたものですから、気になったでしょう。イケメンの俳優になろうと思いませんでしたし、なりたくもありません。いつもカッコいい俳優だけがいるわけではないですから。失望させないように、僕なりには頑張っています。時代に恵まれているとも思います。デビューがもう少し早かったら、失敗していた外見ですよね。ハハハ。

―努力し、謙遜する後輩として絶賛が続いているが。

キム・ウビン:いえいえ。先輩たちが遥かに年の離れた後輩だから可愛く見てくださるのだと思います。僕はもともと先輩は天のように敬うべきだと教わりました(笑) 後輩だから先輩に礼儀正しいのは当たり前で、僕は今も足りないと思っています。今僕がこうやって演技ができるのも先輩たちが最初の道を上手く整えてくださったからだと思うんです。僕もこれからできる僕の後輩たちのために道を上手く整えたいです。これまで先輩や周りの知人からあまりにもたくさんのものを頂きましたが、僕が頂いたもの以上のものをお返ししたいです。

―どんな俳優になりたいか。

キム・ウビン:ロールモデルがいて、そのような俳優になりたいと思うよりは良い俳優になりたいですし、夢見ています。作品を決めるにおいてわざわざ「これはやる、あれはやらない」と線を引いたりはしません。時間が動くままに心に響く作品と人々に会いたいです。運命が定める通りに歩んでいく俳優になりたいです。

記者 : チョ・ジヨン