「アトリエの春、昼下がりの裸婦」パク・ヨンウ“苦しい生活の手段だった演技、今は…”

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写真=イ・ジョンミン

「自分のために引きこもった時間、寂しさを感じる間もありませんでした」

早い展開と没入度の高い映画が主流の韓国映画の雰囲気とは多少異なる映画「アトリエの春、昼下がりの裸婦」は、確かに存在する意味を考えてみたい作品だ。

俳優パク・ヨンウがその「アトリエの春、昼下がりの裸婦」と似ているというと大げさな表現になるだろうか。約1年前に撮影した作品が、適切な配給会社が見つからず、公開できないのではないかと心配する時期があった。パク・ヨンウとしては、2012年に既に1本の作品が撮影直前に制作が頓挫する経験をしたため、十分理解できる悩みだ。幸い「アトリエの春、昼下がりの裸婦」の配給を担当する会社が見つかり、先月20日に公開し上映されている。

地道にキャリアを積んできた彼も、このようなことを経験する。楽な道を選ぶこともできるはずだが、妥協しない性格のせいかもしれない。「アトリエの春、昼下がりの裸婦」で1960年代を背景に、中風を患う1人の著名な彫刻家ジュングの人生を表現しようと決心したことも、良い成績やキャラクターのイメージチェンジを狙う前に「何故か面白く、美しい作品だと思ったから」だった。

写真=スタジオフック

「『アトリエの春、昼下がりの裸婦』は人間の感情に対するヒドゥンキャッチ」

「いくら時代が変わり、科学が発展しても変わらないものがあります。その一つが道徳、もう一つが良心です。教育を通じてこれらが強くなったりもしますが、しかし、生まれ持ったものだと思います。僕はそう信じます。『アトリエの春、昼下がりの裸婦』でそれを発見できると思います。良い性格、もしくは、感情というべきでしょうか」

彼は、最近出演したSBS「ゴハン行こうよ♥」に映画を例えた。「料理研究家のイム・ジホ先生が一緒に出演したが、その方は調味料を全く入れずに料理するため、料理から苦い味がする」としてから、「苦いが、おかしなことに料理が美味しい。このように、人生の苦さに共感すると、甘さも感じられるのではないだろうか」と述べた。

中風を患うジュングを物心両面で見守る妻のジョンスク(キム・ソヒョン)と、貧困と暴力に苦しめられ、挙句の果てにジュングのヌードモデルになるミンギョン(イ・ユヨン)は正直なところ、もどかしく、不幸な人生だとも考えられるが、ジュングを中心にまた違う人生の意味を探して行く人物だ。パク・ヨンウの言葉のように、一方では苦い人生を経験するが、共感していると人生の本当の味を感じさせるキャラクターであるとのことだ。

パク・ヨンウは、共に出演したキム・ソヒョンについて「(ドラマで強烈な役柄を演じてきたため) 偏見があったことは事実だが、むしろ、だからこそさらに大きく感情をやり取りすることが出来た」と述べた。新人イ・ユヨンについても「出来るだけ配慮しようとした」としながら撮影について語った。

「偏見がむしろポジティブな効果を生み出し、キム・ソヒョンさんと共演するとき(夫婦としての切ない)感情がより大きくなりました。確かに、彼女に新しい姿があって、今までその機会を得られなかっただけなのです。イ・ユヨンさんは今までどのような経験をしてきたかは知りませんが、確かに新人でまだ若いため、優しくしようと努力しました。それでも厳しい撮影だったと思います。

観客の方々がジュングとジョンソク、そしてミンギョンを通じてどのような感情を発見するのかが気になります。下手すると痴情劇に流れる可能性もありますが、3人の間で友情と愛の感情が行き来しながら関係が発展するからです。感情のヒドゥンキャッチと考えていただければ、より楽しく鑑賞できると思います」

写真=イ・ジョンミン

休みらしい休みを楽しんだパク・ヨンウ「寂しさを感じる時間がなかった」

「アトリエの春、昼下がりの裸婦」以来パク・ヨンウは「人生の態度が多少変わった」と述べた。映画の全般的な雰囲気のようにパク・ヨンウも静かにその当時を過ごし、その後約7ヶ月間、完全に自身のための時間を送った。趣味だったドラムも本格的に習い、読みたい本も読み、地道に運動もした。

「周りには、僕が連絡をしないので引きこもったと思われるほどでした。心配される方々もいました。昔だったら友だちと疎遠になることを心配して、人々に忘れられることを心配して、関係を逃してしまうことを心配して、わざとでも飲み会に参加したりしていたと思います。もちろん、それが意味のない時間ではありませんが、僕だけのための時間が必要だということが分かりました。リフレッシュはこのようにするものだと分かりました。寂しさを感じる時間がありませんでした。本当に(笑)」

時事教養とバラエティの性格を両方とも持つ「ゴハン行こうよ♥」に出演したことも変化の延長線だったのだろうか。パク・ヨンウは「依然としてそのような番組に出演することは演技よりも大変ですが、するのであれば気取らず、僕が感じるままに表現しようとした」と述べた。約10年前、あるバラエティ番組に出演した経験を思い浮かべながら彼は「昔の僕だったら出来るだけ放送局が求めることに合わせようとしたはず」と付け加えた。

「ゴハン行こうよ♥」でパク・ヨンウは、今まで自身が抱いていた演技に対する考えを述べた。「20代では演技が苦しみで、30代には生活の手段で、今は楽しみ」との趣旨だった。パク・ヨンウは、その言葉の本当の意味をより詳しく説明した。

写真=イ・ジョンミン
「いつまでも演技をしながら楽にいられるとは思いません。ただ、今楽しみ始めた初期段階ということです。良く言うと、30代は情熱を注ぎました。情熱を注いででも、変わらなさそうなことまで変えようとしていたと思います。今や頑張ったところで変わらないことは放っておこうと心がけています。僕に出来る部分からやり甲斐を探そうということです。そこで、楽しむことにおいてはスタート段階ということです。もちろん、それが崩れ落ちるかもしれないでしょう。ただし、その返しも確かにあるはずなので、より成長するはずです」

「アトリエの春、昼下がりの裸婦」以来パク・ヨンウは、2部作のTVドラマ「こいつ」に出演した。十分自信を見せ、抱負を語っても良さそうだが、パク・ヨンウは「あえて」との言葉を付け加えた。

「これから楽しく演技をする出発点で、視聴者に敢えて見ていただきたいと言える作品です。『アトリエの春、昼下がりの裸婦』もそうですし、その後のドラマもです。演技を始めて以来、20年間悩んだことがどんどん具体化しています。何らかの願いがあって、確実なテーマがあれば(粘り強く)悩むことも大きな意味があると思います」

2年前にパク・ヨンウは「愛においてだけは大人になりたくない」と、「演技においては、マンネリにならない」というテーマを本誌とのインタビューで語ったことがある。その悩みは依然として有効で、彼の言葉通り、より具体化している。それだけ彼は、誠実に人生を埋めながら生きていた。

写真=イ・ジョンミン

記者 : イ・ソンピル