シン・デチョル「将来、韓国の音楽は絶滅するのでは?」

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(C)ソン・ミンジュン
「正しいことをするのに、何故勇気が必要なのですか?」

今年8月の光化門(グァンファムン)。旅客船セウォル号沈没事故に関連したキャンドル集会文化祭の舞台で、数万人の人々を感動させた、韓国を代表するロックバンド「シナウィ」のリーダーシン・デチョル。今年1年間の彼の行動は印象的だ。11月11日、韓国の理不尽な音源流通構造に問題を提起し、準備してきた「バルン(正しい)音源共同組合」を発足させたシン・デチョルと電話でインタビューを行った。

―セウォル号、最近はシン・ヘチョル氏の医療事故(に対する問題提起)、そして今回のバルン音源共同組合まで。このように腹をくくって抵抗する理由は?

シン・デチョル:腹をくくるも何も。腹をくくったことはない。常識的な話をしているだけだ。私は闘士ではないのだが……。目に見えるのにどうして黙っていられるのか? (しばらく沈黙) いや、どうすればこれが抵抗に見えるのか。

―それでも、直接行動に移す人は多くない。

シン・デチョル:“甲(地位が高いもの)”の横暴の度が過ぎているため、このように流れるしかない。世の中の1%の甲の利益を最大化するために、残りの99%の犠牲に目をつぶらなければならない社会になるしかないなんて……。正直、国は、政府は、国民に仕えるべきなのではないか。しかし、そうではなく……。病院も一緒だ。どうして、顧客は我々なのに、ほとんどの病院が(訴訟のような紛争で)勝つのか。


「韓国大衆音楽の市場が大きくなったというが…何故我々は依然として苦しいのか」

バルン音源共同組合のホームページ (C)バルン音源共同組合
―バルン音源共同組合の場合、理事長になって共同組合を立ち上げた。その理由は何か?

シン・デチョル:同じ理由から始まった。音楽は我々が作るのに、何故MelOnやBugs!のように(音楽配信サービスや流通を行う)プラットフォームが絶対的権力を握るようになり、何故我々が、彼らの顔色を窺わなければならないのか。

韓国の大衆音楽が飛躍的な成長と発展を成し遂げ、全体的なパイが大きくなったことは、誰もが知っている。しかし、何故創作者たちは、依然として苦しい状況にいるのか。彼らが作った音楽コンテンツが市場で消費されることで収益が生じ、それが次の作品の制作に使われる好循環構造になるべきだが、そうではないためだ。むしろ、収益のほとんどが音楽配信サービスや流通市場に偏っている不均衡により、音楽を生産すればするほど借金だけが増える悪循環の末、創作者たちは結局心が折れてしまう。

たまに、こう考えるときがある。もしかすると未来に我々は「昔は韓国音楽があったが、何故最近はないのか」と、絶滅した韓国音楽を不思議に思う日が来るのではないだろうかと。そのような存在の危機から始めることにした。

―存在の危機まで?

シン・デチョル:音楽コンテンツが資本により、いわゆる“お金になる”特定のジャンルに偏り、自己複製に追われているのが実情だ。このように、お金になるコンテンツにニーズが偏る現象は、多様性を深刻に損なう。

―お金になる音楽をするからといって、それが間違いだとは言えないのでは?

シン・デチョル:まさに、それだ。お金になる音楽を制作すると、その音源でお金を稼がなければならない。しかし、そうでもないのが問題だ。韓流スターやK-POPスターたちは、創作の本質である音源からではなく、ほとんどが海外での売上げや公演で収益を稼ぐ。彼らさえも、音源だけで稼ぐ韓国での収益は事実上ないといっても良いほど微弱だとしているのであれば、他は言うまでもないのではないだろうか。韓国国内はさらに深刻だ。イベントをするためにアルバムをリリースする、逆の形が定着して久しい。

―今後の活動計画は?

シン・デチョル:戻る場所がない。既存の業界を怒らせた人に、バルン音源共同組合以外に戻る場所があるわけがない。今私にできることはこれだけだ。もちろん、難しいことで、差別化しなければ生き残りも難しいことをよく知っている。

バルン音源共同組合は現在アプリを開発していて、来年上半期中にサービスを開始する予定だ。非常にユニークなサービスとプログラムも企画している。リリース前に総合的ブリーフィングを通じて別途発表する。現在、不足している部分が多い。たくさんの方々に加わっていただくほど、速度を向上させられる。

記者 : ユン・ソルジ