「レッドカーペット」アダルト映画の監督が作った“アダルト映画撮影記”

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レッドカーペットは、俳優と監督なら一度は踏んでみたい夢の道だ。華麗なスポットライトを浴びながら、ファンに向かって手を振りながら挨拶をする。そのような場所に立つということは、考えただけでもトキメキを感じる。

このような夢を毎日見ていた人がいる。映画祭のレッドカーペットを踏んで賞を受賞し、練習してきた感想を述べながら明るい笑顔を見せる夢をだ。しかし、それは夢に過ぎなかった。隣ではしきりにうめき声が聞こえる。アダルト映画の監督の夢だった。映画「レッドカーペット」の話である。

「レッドカーペット」は、よく知られているアダルト映画の監督が自分のチームと共にアダルト映画ではなく、特別な縁があるヒットクィーン女優とともに、自身の夢である劇場に出せる映画を作る過程を盛り込んだ作品だ。俳優ユン・ゲサンをはじめ、コ・ジュニ、オ・ジョンセ、チョ・ダルファン、2PM チャンソンなどが出演しており、実際のアダルト映画の監督として200本以上の作品を残したパク・ボムス監督がメガホンをとった。

そうだ。「レッドカーペット」が興味深い点は、まさに監督の経歴だ。監督は実際にアダルト映画の現場に身を置いた監督であるためだ。実際の現場で経験したエピソードや感じを「レッドカーペット」に盛り込んだ。「I Believe Her」「願いを言ってみて」などの演出や脚本を手がけ、映画マニアたちの歓呼を受けた。

気になった。アダルト映画の現場に身を置いた監督が作ったアダルト映画撮影記。これが「レッドカーペット」が持つ条件だった。「レッドカーペット」の出演陣を含めて最も気になる人物は、主演俳優でなくパク・ボムス監督。映画の中で感じられるパク・ボムス監督の哀歓は、悲しさまで感じさせた。それで会ってみた。パク・ボムス監督に。

◆以下はパク・ボムス監督と交わした一問一答。

―映画が公開されたが、感懐は特別ではないだろうか。

パク・ボムス監督:突然なので、実感が沸かない。実感がなく、少し夢のようなそんな感じだ。関心を持ってくださり、訪れてくださって本当に感謝する。私は何でもない人間なのに、こんな風に会いに来てくださりありがたい限りだ。同日に公開された映画がチャン・ジン監督の「ウィ・アー・ブラザー!」で、「レッドカーペット」の後に封切りする映画がイ・ヘジュン監督の「22年目の記憶」だ。本当に好きな監督たちだが、同じ時期に封切りをするということに本当に驚いた。

―映画の中に実際のエピソードがたくさん入っていると聞いた。

パク・ボムス監督:台詞の中では「“四大保険(韓国の会社の社会保険制度)”が夢じゃなかったのか?」がある。四大保険が夢でもないのに、しきりに四大保険の話をしていた。少し変えて入れてみた。また、映画を撮っている途中に会食中だと奥さんとビデオ通話をするアダルト俳優がいる。実際には写真を撮って送っていた。家には言えずに仕事をしている場合が大半だ。

―撮影して封切りまでした。多くの紆余曲折があったようだが。

パク・ボムス監督:私がアダルト映画の監督であるため、シナリオ自体が伝わらなかった。しないとはっきり断ってくると他の俳優を探すのに、全く伝えられていなかった。私がアダルト映画の監督出身だということを隠そうともしたが、それは嫌だった。そんな時に釜山(プサン)国際映画祭で行うピッチング行事があり、最終まで勝ち進んだ。そのおかげでシナリオが俳優たちに伝わるようになり、このように映画が公開されることになった。

―いわゆる“アダルト向けの映画界のアベンジャーズ軍団”のキャスティングの過程が気になる。

パク・ボムス監督:アダルト映画を撮りながら感じたことの一つが、俳優の私生活だ。例えば、彼氏と別れた女性の物語なら、実際に最近そのような経験がある女優を探す。そのような個人的な経験の話だ。そうすると共感もでき、感情をうまく引き出すことができる。それを私は「俳優の湿気」と呼ぶ。ユン・ゲサンの場合は、歌手だったが演技を始めた時に先入観で本当に大変だった。また、オ・ジョンセは1977年生まれだが、出演作品が70作を超える。無名時代が長かったということだ。このようなことが、アベンジャーズ軍団が頑張ることと似ていると思った。

―映画の中に実際のアダルト俳優が出たと聞いたが。

パク・ボムス監督:アダルト映画の俳優の皆さんを私たちは映画に出演させた。最初は反対があった。私は必ず共にしたかった。その方たちに一緒に出演してほしいと思った。一緒に撮影をすると、他の俳優たちの先入観が崩壊するだろうと思った。アダルト業界にいる人たちを別の国の人のように見るが、みんな同じだ。そこにいる人たちも誰かの父親、夫で、子供だということを知らせたかった。

―それで、先入観は少しは崩れたのか。

パク・ボムス監督:先入観が崩れたことが感じられた。最初はアダルト俳優たちに緊張するなと言った。気勢を折られるんじゃないと言った。「こちらでは君がプロだ」という言葉をたくさん言った。撮影をしてみると、他の俳優たちがもっと気勢を折られていたよ。お互いに共感をたくさんしてくれた。俳優たちが応援したかったようだ。今でも本当に頑張ってくれて、ありがたく思っている。

―アダルト映画の撮影記と言うと、少しいやらしくて強いものを期待した。ところが、15歳以上観覧可だった。

パク・ボムス監督:元々は青少年観覧不可を考えて撮った。露出で人々の目を惑わせるというのではなく、アダルト映画の撮影現場を盛り込んでいるが、15歳以上観覧可はちょっと難しそうだった。直接的な露出がないとしても、背景に捉えられるものに露出があるという可能性もある。そのまま(裸で)歩き回るのが本当の現場だ。ブラインド試写会をしたが、びっくりした。大きいスクリーンに露出した人の体の一部がいっぱいに埋めつくされていて、とても大きく見えた。あとから来るコミカルな部分が見えないほど刺激的だった。びっくりして編集して、そうしてから15歳観覧可になったようだ。

―誤解と偏見について話をせざるを得ない。

パク・ボムス監督:誤解と偏見が悪いと思っていない。知らないからそうなるんだろう。新人1~2年目の時には、残念なこともあった。しかし、考えてみたら私も他の職業について先入観が多かった。記者たちは怖いという先入観があったように、アダルト映画の方にも先入観は当然ある。「レッドカーペット」が和らげることができたらよいのだが。

―そんな先入観で生じた残念なこともあるのか。

パク・ボムス監督:「レッドカーペット」を見ると、居酒屋で(一般の人が)アダルト俳優にちょっかいを出しているシーンがある。少し誇張された部分があるが、実際にも俳優に気づく人もいる。応援をして、サインをもらう人たちもいるが、言いがかりをつけて気分を害することもある。実際にはソフトに話をして他の席に移るが、映画では代理満足で殴る演出をした。ハハ。

記者 : イ・ウンジ、写真 : ハンヒョクスン