「スロービデオ」ナム・サンミ“チャ・テヒョン先輩、愉快でやんちゃな人かと思っていたら…”

OSEN |

写真=チェ・ギュハン
女優ナム・サンミが変わった。いつもやられっぱなしで憂鬱そうに暗い姿を見せてきたナム・サンミが、映画「スロービデオ」(監督:キム・ヨンタク)では見るだけで気分の良くなるポジティブなエネルギー溢れる姿で登場した。「ナム・サンミにこんなところがあったのか」と思われるほど、すっかり変わった姿で戻ってきた。

ナム・サンミは「スロービデオ」で毎日のように周りを付きまとうサラ金業者に大声を出したり、街では人の視線を気にせず熱唱し、自分がやりたいことに情熱を傾けるスミ役を演じた。映画でナム・サンミが初めて登場したとき、非常に驚きながらも新鮮だと感じた。

絶対に櫛を通さないように見えるパーマをかけた髪に自由奔放な感じのファッション、BBクリームだけつけたような顔、お転婆少女のような歯切れの良い性格がスミのキャラクターだ。ナム・サンミらしくないと思ったスミは、実は一番ナム・サンミと似たキャラクターだった。

ドラマ「光と影」「結婚の女神」「朝鮮ガンマン」、映画「不信地獄」「桃の木」など、最近の作品の中でナム・サンミは暗くて静かで優しいだけであり、実際も大人しくみえる。しかし、「スロービデオ」で見せた、優しいが、道を歩きながら歌を歌ったり、踊ったり、叫ぶなど、自身の感情をそのまま表現するスミのキャラクターがナム・サンミにより近い。

―明るいキャラクターのスミについて、周りの反応はどうだったか?

ナム・サンミ:ひとまず、私はとても好きだ。私のポジティブなエネルギーをもう一度取り戻したような感じだ。監督とチャ・テヒョン先輩は私を見て「スミだね」と言うし、周りも私に似た映画が出来たといわれた。ワイルドで行動が先走りし、色々と計算せず突き進む姿が似ていると言われた。「朝鮮ガンマン」のスインがスミよりもっと近いとおっしゃる方もおられ、「私、利口に見える?」と聞いてみた(笑)

写真=チェ・ギュハン
―「スロービデオ」への出演を決心した理由は?

ナム・サンミ:「結婚の女神」の後半の撮影をしていたとき、明るい作品をしたいと思った。軽快なキャラクターを演じて、明るいエネルギーを放出したかった。今度は明るい役を演じたいと思っているうちに「スロービデオ」からオファーが入った。実は休みたいと思っていたが、明るい役が演じたくて「結婚の女神」を終えてすぐ出演した。

―「結婚の女神」では本当に憂鬱なキャラクターだったが、すぐに愉快なキャラクターを演じることについてどうだったのか?

ナム・サンミ:俳優たちは一つの作品が終わるとそのキャラクターから抜け出す方法を探すが、私には良い機会だった。「結婚の女神」を終えてすぐに明るいキャラクターを演じて、楽しく抜け出すことができた。演技で大変だったことを演技で解消した。そう思うと私はラッキーだ。感謝しながら生きている。

―スミというキャラクターのヘアスタイルや衣装が気に入った。

ナム・サンミ:私は本当に素敵だと思った。キム・ヨンタク監督が試案を見せながら「この髪型をしてほしい」と慎重に話した。私が女優なので、そう話したのだと思う。私は本当にいいと思ってOKした。パーマをかけてから本当に楽だった。休息期間にもその髪型にしたいと思ったほどだ。髪を結んでもボリュームがあり、髪を洗ったときもただ水気を取るだけでいいし、あまり気を使わなくても良かったので楽だった。そして、人々に気づかれなかった(笑) そのヘアスタイルにはそんな服しか似合わない。私は作品のキャラクターによって服を買う方だが、スミを演じるときはニットをたくさん買った。家に沢山ある。

―今回演技をしてみて、良かった点は?

ナム・サンミ:今回の現場では私のイメージを捨てた。監督が現場で一番よく口にした言葉が「女優があんな風ににしていていいのか?」だった。スミを演じるというよりは、私のイメージを捨てた。ジャンパーを羽織ってモニタリングをしていると、暖炉が温かくて眠ってしまった。普通、現場では緊張しがちだが、女優として持っていたイメージを完全に捨てたので監督が「そもそも女優たちが道で寝るか」と言いながら「あなたのような女優は初めて見た」とおっしゃった。スミだから可能なことだった。「朝鮮ガンマン」の時や「結婚の女神」「人生は、美しい」「光と影」では全くできなかった。久しぶりに女優としてのイメージを捨てた。

写真=チェ・ギュハン
―「スロービデオ」を撮影していて、良かった点は?

ナム・サンミ:感性的な趣が良かった。最近ではマンションも住商複合だし、スマートフォンも便利で全てが早く回っているが、うちの映画はアナログ的な面がある。思い出があり、趣がある。息抜きできる映画だ。映画に登場する絵も良かった。簡潔でさりげなくタッチされたものだが、親近感がある。初めてシナリオをもらったときは商業映画だと思ったが、完成本を見たら叙情的な感じがあった。現実的な感じではなく、童話のようだった。

―俳優チャ・テヒョンについてどう思っていたか。また、共演してみてどうだったか?

ナム・サンミ:中学時代にファンだった。チャ・テヒョン先輩が踊って歌う時はファンだったが、その後ドラマや「1泊2日」などバラエティで見て、非常に明るくて笑いを与える人だと思った。24時間ずっと愉快でやんちゃなこともすると思っていた。しかし、集中力がすごかった。一緒に作業している中で感じられる役者としての機運が確かにあった。カリスマ性もあったし、現場ではスタッフの雰囲気や空気に全て気を使う姿にすっかり変わった。

―ナム・サンミには善良なイメージが定着していると思う。

ナム・サンミ:悪役やカリスマ性のあるアクションがしたい。私は自信があるが、人々がそれを望むかどうかは分からない。これまで見せてきた善良なイメージを期待させない自信はあるが、たくさんの方がまだそれに疑問を抱かれるようだ。ナム・サンミはこうなってほしいという反応があるから。女優だから違う面をお見せしたいという欲はあるが、それを乗り越えることが私の課題だと思う。待ってみなければならないと思う。弛まず、着実に信頼を与えなければならないと思う。叩けばいつか開かれるだろう。

―20代の演技と30代の演技、何が異なるのか?

ナム・サンミ:20代はプレシャーが少なかった。20代だから許される部分が確かにあったが、今はプレッシャーや責任感、期待を持って演技している。20代の時は今よりもっと知っていくべきことが多くて軽い気持ちでやっていたが、今は一つに集中してエネルギーがたくさん消耗してしまう。一つの感情に集中するということは、純粋ではないと思う。女優として純粋さを失わないために努力する。初心に返る作業をしなければならないと思う。そうした面でスミは楽だった。

記者 : カン・ソジョン