JYJ ユチョン、演技アイドルを脱ぎ捨てた映画俳優の誕生

OSEN |

写真=「海にかかる霧」
JYJ ユチョンの賢い選択が輝いている。すでに5本のドラマ(「トキメキ☆成均館スキャンダル」「ミス・リプリー」「屋根部屋のプリンス」「会いたい」「スリーデイズ~愛と正義~」)の主演を務め、安定した演技力を証明した彼だったが、実力派の先輩役者の間で怯むことなく存在感をアピールできるのか懸念されたのは事実だ。しかし、ユチョンは初の映画デビュー作「海にかかる霧」(監督:シム・ソンボ)で期待以上の演技力を見せ、忠武路(チュンムロ:韓国の映画界の代名詞)のブルーチップ(優良株)に生まれ変わった。

「海にかかる霧」は一寸先も見えない海霧の中、漁船「チョンジン号」の船員たちが密航者たちを運ぶことになり、収拾のつかない事件に巻き込まれるストーリーを描いた作品だ。ユチョンは密航者たちの中の朝鮮族の女ホンメ(ハン・イェリ)に一目惚れしてから、彼女に全てをかける末っ子の船員ドンシク役を演じた。

「海にかかる霧」で甲板長ホヨン役を演じたキム・サンホは、最近OSENとのインタビューで「『海にかかる霧』では誰も演技をしていなかった。ただ、全員がそのキャラクターだった。アンサンブルのために練習をして呼吸を合わせようとするよりは、自ずと時間が重なった」と、俳優たちの見事な相性を言及したことがある。彼の言葉通り、キム・サンホ本人を含めたキム・ユンソク、ムン・ソングン、イ・ヒジュン、パク・ユチョンなど「海にかかる霧」の俳優たちは誰一人目立つことなく、映画の中の人物そのものになり切って演じ、その結果重く凄絶なドラマが完成された。

そして、ここでユチョンの神経の太さと才能が目立つ。彼は演劇界や映画界で長く活動して来た先輩たちの間で、やり過ぎたり、不足したりすることはなく、自然に自身の役を演じた。相手役との呼吸を理解し、流れを読めずにはできないことだ。ユチョンは先輩たちに比べて足りない演技経験にも、自身の役割を全うした。映画を見た人は、人気スターのユチョンより、ドンシクに入り込み深い余韻を感じたとしながら親指を立てたほどだ。少なくともスクリーンでは、アイドル歌手のユチョンは消え、純粋な末っ子のドンシクだけが生きて動く。これだけでも賞賛すべきことだ。

また、人間の多彩で原初的な欲望がぶつかり合う「海にかかる霧」の中で、ドンシクとホンメの純粋な愛は重要な見所だった。ユチョンは愛する女性を守るために変化して行く純粋な青年の姿を感性的かつ入り込みやすく描いた。

映画関係者によると、ユチョンはとてつもない“努力派”だ。撮影に入る前から自身の役に感情を入り込ませるためにたくさん悩む。キャラクターを全身で吸収するタイプだという。実際にユチョンはドンス役を演じるために体重を増やし、訛りの演技にも気を配って達者な訛りを披露した。そのような努力はキャラクターにそのまま溶け込み、映画のストーリーの一つの軸を更に深めることに役立った。

このような努力は、共に演じた先輩たちの目にも留まった。キム・ユンソクはOSENとのインタビューで「ユチョンは受け入れるのが早い。適応も早かった。そこで、よくやったと言える」と彼を賞賛し、キム・サンホとユ・スンモクもまた「ユチョンは演技する時に力を抜く方法をすでに知っていた。演劇で良く言うことがある。力を抜くことに10年がかかると。武術の時もそうだ。しかし(ユチョンは)もうそれをやっている。とても賢い俳優だ」「本当に『スターなの?』と思った。すごい。『どうしてあれができるんだろう』と思った。ユンソク兄さんもユチョンを絶賛した。どれだけ辛くても表に出さない。本当にできた人だと思う。体が凍っているにもかかわらず、一度も表に出さなかった。携帯カイロもなく、素足が凍ったまま最初から最後まで座っていたが、正直私よりずっとマシだ」と褒めたことがある。

ユチョンは一本一本新しい作品に出演するたびに、大きく成長している。“演技アイドル”とのレッテルをはがし、俳優と呼んでもおかしくないほど成長してきた。「海にかかる霧」で俳優のキャリアに意味のある傍点をつけた彼が、映画俳優としてまたどのような活動を続けて行くか楽しみだ。

記者 : チョン・ユジン