VIXXの「傷つく準備ができてる」を作詞したキム・イナ“人気作詞家?成功した歌謡オタクです”

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Brown Eyed Girlsの「Abracadabra」、IUの「Good Day」、VIXXの「傷つく準備ができてる」、K.willの「胸がときめく」、チョー・ヨンピルの「歩きたい」、イ・ソニの「その中であなたに出会い」

10代から50~60代の好みまで網羅するこれらの曲は、いずれも作詞家キム・イナが手がけたものだ。作詞家を夢見る人は、キム・イナを見習いたい作詞家に挙げるが、いざ彼女は自身のことを“成功した歌謡オタク”と称しながら謙遜した。音楽が好きで作曲家別に歌を録音して聴いていた、その中でもユン・サンが好きだった少女は、憧れていた歌謡業界に足を踏み入れることになった。

「ユン・サンが好きな“歌謡オタク”、自ずと作詞家になった」

実は、作詞家キム・イナは、自身が歌詞を書く人になるとは思わなかった。歌手、歌謡が好きで、作曲家たちに憧れていた彼女は「作曲家になりたいという幻想はあったが、私という人にとって作曲は難易度が高かった」と告白した。作曲を学びたく、キム・ヒョンソク作曲家のもとを訪れたキム・イナは「作詞をすれば上手くできそう」とのアドバイスを受け、今の道に自然に引き寄せられたという。キム・イナは「今までの10年間で書いた曲は200曲以上になるはず」と述べた。

作詞家キム・イナにとって、書きながら一番苦労した曲は何だったのだろうか。彼女はBrown Eyed Girls ナルシャのソロアルバムのタイトル曲「ピリパパ」を挙げた。Brown Eyed Girlsの「Six Sense」も難しい作業に挙げられた。キム・イナは「主にダンス曲が難しかった」とし「ダンス曲こそ、テクニックが必要だ。バラードは文章がスムーズに展開されるが、ダンス曲は発音とリズム、パフォーマンス、コンセプトまで考慮しなければならないため」と説明した。

「歌詞は作詞家の文章ではなく“歌の言葉”だ。そのため、曲や歌手に合う必要がある。歌詞を書いていると『最近私がちょっと有名になったから』と、私の自我が少し育ったりもする。そうすると、歌手の口を通じて出る歌詞が心に届かない結果をもたらす。K.willの『今日から1日』には、外見を貶す内容があるが、それはK.willだったからこそ面白かった。曲の情緒、歌手の年齢と外見、実際の姿を盛り込もうと努力する」


作詞家になるためには?…「歌う人の視線で語るべき」

作詞にも基本的な“法則”はある。高音を終えるときは「ウィ」「ア」など、開かれた発音で歌わせ、パッチム(ハングルにおいて〈子音+母音+子音〉などで構成される音節(閉音節)で最後の音をあらわす子音)は多く入れない。キム・イナはこれについて「関心があれば自然に訓練できる部分」と説明した。多くの人が「作詞家になるためにはどうすればいいですか?」と質問するたびにもどかしくなるという彼女は「本をたくさん読むことは基本で、歌詞という分野に対し絶えず探求しなければならない」と説明した。

「私は作詞家別のタイプを自分なりに整理していた。『この人は愛をこう表現しているようだ』『このような表現を使う』と分析した。どうしても様々な人の心境を書く職業なので、普段人を観察する習慣がある。是非を判断するよりは、様々ななタイプを考えてみることだ。誰かが『メロディは顔で、歌詞は性格』だと言ったが、それが真理だと思う」

数多くのヒット曲を手がけた彼女だが、未だに自身が手がけた曲を偶然聴くと嬉しくなるという。キム・イナは「チョー・ヨンピル、イ・ソニ先輩など、親や祖母も知っている有名な方から(歌詞の)依頼が来たときは、自身の歌詞が選ばれなくても光栄だった」とし「『歩きたい』や『その中であなたに出会い』はアルバムにも載せられたが、本当に嬉しかった。すべての作詞家がそうであるように、歌う人の視線で語ったためだと思う」と謙遜した。


「ファンの気持ちで仕事をすることが、私の原動力」

曲を聞いてすぐ、その場で歌詞がすらすらと出たらそれ以上のものはないが、不意に襲いかかる創作の苦痛は、作詞家にとっても宿命だ。Brown Eyed Girlsの「Abracadabra」やHowL&J.aeの「Perhaps Love」、イ・ソニの「その中であなたに出会い」はキム・イナが短時間で書いた歌詞だ。「(歌詞が)あまりにも出なかったり、難しい場合は書けないが、よほどのことがない限り書く」とした彼女は「ある程度は責任感を持って働かなければならない職業」と強調した。

「作曲家や作詞家は競争システムだ。スタイルが合えば仕事をした人とまたすることもあるが『この人が書いたものは必ず使う』ではない。私もまた、作曲家のキム・ドフン、パク・グンテなどと何度も仕事をしたが、かなり競争的だ。たくさん却下される(笑) 実は、作詞は収録直前の最後のステップだ。複数の人に任せて一番良いものを選ぶ。フリーランサーのため常に『来週からは人気がなくなるのではないか』と警戒する」

「自身はアーティストだ」と権威にこだわるよりは、企画者の気持ちで歌手とパフォーマンスまで考えようとするキム・イナ。彼女は「惰性に流されるよりは、ファンの気持ちで仕事をすることが私の“健康な原動力”と付け加えた。今日も彼女は、歌手の口を借りて大衆と間接的に疎通するために歌詞を書く。今年の下半期には、キム・イナが直接書いた本を通じて、彼女の歌詞に盛り込まれた深い話も聞けそうだ。

記者 : イ・オンヒョク、写真 : イ・ジョンミン