「海にかかる霧」キム・サンホ“JYJ ユチョン、力を抜く方法を知っている賢い俳優”

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※この記事には映画のストーリーに関する内容が含まれています。
きれいな格好をしているのに海の匂いがするような気がした。船の上で狂っていく人間の中でそれでもしっかりして耐える甲板長ホヨンの姿が重なって見えた。ひどい余韻だ。

映画「海にかかる霧」(監督:シム・ソンボ、制作:ポン・ジュノ)はIMF(アジア通貨危機)の直後を背景にし、一時麗水(ヨス)の海を制覇したチョンジン号が減隻事業の対象になってから繰り広げられる話を描いた作品で、船を失う危機に追い込まれた船長チョルジュ(キム・ユンソク)は船と船員らを救うため密航を決心するようになり、古い漁船チョンジン号は秘密を抱えて危険な出航を始める。

船には色々な人たちがいるが、キム・サンホが演じた人物は船長チョルジュの命令に服従する甲板長ホヨンだ。彼を含め、様々な事情を抱えている情にもろい機関長ワンホ(ムン・ソングン)、金と女が世の中で一番だと思うギョング(ユ・スンモク)、劣等感と欲情に駆られたチャンウク(イ・ヒジュン)、そして船の仕事を始めたばかりの純粋な末っ子ドンシク(JYJ ユチョン)まで6人の船員がいる。限られた空間で極限の状況を迎え、彼らは分裂し始める。

「『人生』です。『海にかかる霧』は生きようとする人々の話です。平凡に、それから素朴に生きようとする人々です。金持ちは一人もいません。皆貧乏で素朴です。『海にかかる霧』は一言で彼らの人生を描いた話だと言えます」

家族ほどではなくても、それなりに固い絆を持っていた彼らの関係は密航がうまくいかないことからこじれ始める。計画は失敗し、状況は悪化する。そこに精神を錯乱させる海霧まで押し寄せ、人々は次第に狂っていく。霧が濃くなるほど人間の本性も明らかになる。
キム・サンホはシナリオを読んで気持ち良かったと言った。

「面白い作品が入ってくると浮かれてしまいます。もともとこのような閉ざされた空間で起きる話を描いた作品に出演したいと思っていました。普通の台本ではなく、本当によくできた台本でした。映画はシナリオの固有の色を失うことなく、ずっとよくなったと思います」

チョルジュが船、チャンウクが女、ドンシクが愛に執着することに対し、ホヨンを支配するものは家族だ。ドラマの中で最後まで一番正常な人がホヨンなのは、彼には「家に戻らなければならない」というはっきりとした目標があるためだ。

「ホヨンには家族が全てです。船の外に出たら終わりです。それで耐えられるわけです。一番シンプルだと言えます。他の人々は暴走しますが、ホヨンが耐えている理由でもあります。とにかく、耐えるのです。その内面は崩れ落ちてメンブン(メンタル崩壊)状態になって理性的に考えられないでしょう。しかし、家族が生活そのものである人だから可能なことでした」

ホヨンでない他の人物を演じなければならないなら誰を希望するかと聞いた。そしたら彼は頭を振った。他の人々があまりにもうまく演じたのでやりたくないと言った。むしろもう一度機会が与えられるならホヨンをよりしっかり演じたいと言った。

「『海にかかる霧』では誰も演技をしていません。ただ全部その人たちなんです。アンサンブルを作るため練習し、合わせてみるよりは自然に時間が積もりました。撮影に入る前のフリー段階で皆一緒に魚を釣るドキュメンタリーのようなものを共有し、それを通じて学びながら知っていきました。そうしているうちに自然に共感するようになりました」

特に末っ子のドンシク役を演じたユチョンを先輩役者としてどう見ているのか気になった。すでに多数の作品を通じて歌手出身というレッテルを外してから長い時間が経ったが、映画デビューは初めてではないか。しかもこのようなベテランの先輩役者たちと共に。

「その人はすでに演技する時に力を抜く方法を知っていました。演劇をするとき、普通言われます。力を抜くのに10年がかかると。武術をする時もそうです。ところが、もうそれをしていました。とても賢い俳優でした」

バージ船の乗組員たちが海の上でキム・サンホを見て実際の船乗りだと思ったというエピソードは有名だ。確かにどこかで見たような気はするが、はっきり覚えていなかったので船乗りの一人だと思ったのだ。それでもテレビと映画で精力的に活躍している有名な俳優なのにそういう話を聞くと気分が悪くないかと聞いたら「そんなことはない。嬉しいばかりだ」と笑って見せる。

「『海にかかる霧』は一口召し上がれば夢中になって召し上がるようになる食べ物のような映画です。お気軽にご覧ください。観客の皆様に十分幸せを与えられると確信しております」

記者 : チェ・ナヨン、写真 : ミン・ギョンフン