【REPORT】VIXX、成長を重ねカリスマ性をみなぎらせる彼らのファンタジーワールド

Kstyle |

VIXXによる単独コンサート「VIXX LIVE FANTASIA [HEX SIGN]」が、2014年7月18日から20日の3日間、ソウル市オリンピック公園・オリンピックホールにて開催された。バンパイア、呪いの人形、ジキルとハイド、時間を行き来する男と、ファンタジックかつ多彩なコンセプトでファンを魅了し続けてきたVIXX。デビュー2年目にして初となるワンマンライブで、彼らはこれまでの軌跡をどのような形で表現するのか。土日のチケットは5分で完売、金曜の追加公演も準備されるなど現地でも大反響を呼び、3日合計1万1000人が訪れた熱狂の舞台。Kstyleが最終日のパフォーマンスをレポートする。


ダークなヒット曲で幕開け

心臓の鼓動を連想させる太鼓の音とともに舞台が少しずつ暗くなると、6人の装束を着た者たちが舞台の中央に現れ、謎めいた儀式を行う。しかし彼らは今日の主人公ではない。儀式のクライマックスと共に、魔法陣を思わせるシンボルマーク「HEX SIGN」が描かれた幕が上がり、燃えるようなスーツを大胆にまとったVIXXの6人が登場。会場の興奮は最高潮に達した。
ショーの始まりを告げる曲は、彼らの名刺代わりとも言えるナンバー『呪いの人形』だ。真っ赤なレーザービームと舞台映像が飛び交う中、6人によるダークなダンスとパワフルなボーカルが観客を圧倒する。2曲目、スリラー映画のワンシーンを連想させる『Secret Night』を歌い終えたレオが、地を這うように階段を昇り鍵盤を叩くと、流れてきたのは『ハイド』のイントロだ。押し寄せるサウンドと怒涛のパフォーマンスに、ファンたちはペンライトを振り、お決まりの掛け声を共に叫ぶ。続く『Beautiful Killer』までの息をつかせぬ流れは、様々な物語を凝縮した短編ミュージカルを観るよう。一方、PVで見せた個性的なメイクや衣装を用いることなく、音楽とダンスの力で物語を表現しているところに、彼らがこの間育んできたものを感じることができた。


「僕らの姿を惜しみなくお見せします」

曲が終わるとMCタイム。雰囲気は一転して親密感が生まれ、メンバー一人ずつ、ファンに向かって丁寧に挨拶する。ラビの「準備はいい?」という問いかけに、観客は「ネー(はい)!」と叫び、次の曲がスタート。ここまでのスリル溢れる楽曲とは打って変わり、『CHAOS』『B.O.D.Y』と、ダンスの冴えが光る楽曲を展開する。
再びメンバー同士のトークを挟み、「僕らの姿を惜しみなくお見せします」というエンのコメントで、ジャケットを脱ぎ捨てた彼ら。シックなベスト姿となり、それぞれマイクスタンドを手に、洗練されたR&B『答えはキミだから』を表情豊かに歌い上げた。続く『Love, LaLaLa』では、椅子を用いた、女性ダンサーとのからみもあるセクシーなダンスを披露。メンバーが女性ダンサーを抱きしめる振り付けに、ファンはキャーと声を張り上げる。
メンバーが衣装を着替える間、会場には黒魔術師となった6人がペアをつくり、様々な薬をつくるというバラエティー風の映像が上映された。鍋の中に薬の材料として、エンはバナナ牛乳、ケンは中学の時に書いた絵など、それぞれのお気に入りのアイテムを入れていくシーンでは、観客に笑いの渦が起こる。


個性が光るユニットステージ

その映像は、これから行われるユニットステージの伏線だった。まず最初は、レオとケンのボーカル組によるユニットが登場。爽やかな白いジャケットを身にまとった二人は、レオが作詞作曲したR&B『冷たい夜に』を披露。迫力あるボーカルが絡み合う様子は幻想的であり、またそれぞれが持つ声の魅力をじっくり味わうことができた。
2つめのユニットは、ラビとヒョギによるラップとボーカルのコラボ。演奏曲は、ラビがヒョギのために作詞作曲したという『Memory』だ。イントロが始まると、ラビは客席の側からラップを叫びながら登場し、ファンを驚かせる。サビにはヒョギならではの甘くしっとりしたボーカルがフューチャーされ、そのコントラストが何とも楽しく贅沢。ボーカリストとしてのヒョギの魅力をたっぷり堪能できる、またとない舞台だったように思う。
最後は、エンとホンビンによるダンスユニットが登場。ふたりはカジュアルな白いシャツを身にまとい、ブリトニー・スピアーズの『Toxic』に合わせ、パキッとして艶のあるセクシーダンスを披露した。その途中、ふたりがお互いの顔をぎりぎりまで近づけ、抱擁する振り付けでは、客席から悲鳴に似た叫び声も。
再び6人が集結し、いつも通りの6人のアンサンブルで『暗闇を照らせ』を歌いきると、舞台は暗くなり、ステージには無数の星が光りだす。そこには、エン座、レオ座、ケン座、ラビ座、ホンビン座、ヒョギ座と、6人を象徴する星座が映し出されていた。


手紙の朗読シーンでメンバーも感涙

やがて清潔感のある白い衣装を来た6人が再登場。『Someday』をしっとり歌いあげた後、客席の真ん中に用意された六角形のステージで、ファンと向かい合うように着席する。
エンが「今日は皆さんのためにプレゼントを持ってきました」と言い、ホンビンが取り出したのが、手紙。そこには2年間、VIXXを見守ってくれたファンへの厚い感謝の気持ちが込められていた。
「いつもVIXXと一緒にいてくれてありがとうございます。これからも、永遠に一緒に」と読み上げたところで、ホンビンの目に光るものが。ファンは「泣かないで!」コールを彼に送る。
続いてエンは、メンバー一人ひとりに向けた手紙を読む。練習生時代の思い出を重ねながら、レオ、ケン、ラビ、ホンビン、ヒョギに感謝の言葉を読み上げた。メンバーは皆、涙をこらえるのに必死で、エンも読みながら喉を詰まらせ、ラビはうつむいて涙を落としてしまう。
会場が感動の坩堝に包まれる中、最後にエンは、自分たちを支えてくれ、念願の単独コンサートを実現させてくれたビョルピ(=VIXXのファン/星の光、STAR LIGHT)たちに向かい、マイクを使わず叫ぶ。「ビョルピ! サランヘ(愛してる)!」

椅子に座ったままの6人がその場で歌った、ファンへの思いを込めたバラード『Love Letter』は、彼らの心そのままに美しく響いた。ステージ上のスクリーンには、VIXXのこれまでの活動やファンとの交流の様子が映される。いつもクールなレオが涙で声を震わせる場面もあったが、最後は堂々とした熱唱で歌を完成させた。
温かい余韻が残る中、会場の照明が落とされると、会場はファンが掲げるペンライトの光で、まさにビョルピ(星の光) だらけに。光が点ると、観客全員が6人に向かい、事前に配られていたカードを頭上に掲げていた。そこには「いつもVIXXの味方だよ」のメッセージが。最終日となるこの日は、メンバーたちも「VIXXもいつもビョルピの味方」というカードを掲げ、これに呼応。会場が一体となった瞬間だった。


観客とハイタッチ!

エンの「雰囲気を変えましょう」のひとことで、メンバー同士のかわいいポーズ対決が始まる。観客の笑いを誘うと、続けて披露された曲は、かわいらしさをコンセプトとした楽曲『痛いのに好きだよ』。小さなベンチに6人が並んで座り、首をかしげたりお尻を振ったりする姿に、キュンとなったファンも多かったはず。続くポップなナンバー『今日からキミはボクのもの』『Rock Ur Body』では、メンバーが観客席の前まで降りてきてハイタッチする場面も。2階席まで総立ちになるほど盛り上がりを見せる。
ここで再びの着替えタイム。セクシーダンスの罰ゲームをかけて、我先にと楽屋に向うメンバー。着替える様子の音声が客席に聞こえるというファンサービスも楽しい。Tシャツとタオルというカジュアルな衣装に着替えて颯爽と登場した6人は、8月30日に韓国でファンミーティングが行われることを発表し、ファンは驚きと喜びの混じった歓声を上げる。また今日のコンサートが終わりに近づいていることを伝え、改めて観客に感謝の言葉を述べた。
本編最後となる2曲は、VIXXを世に知らしめることになったデビュー曲『SUPER HERO』と、爽快なポップナンバー『デ・ダ・ナ・ダ・ノ』だ。全く疲れを感じさせないまま、より一層キレのあるダンスを繰り出す6人。その瞬間、彼らは最高に輝いていた。


最後の瞬間までVIXXらしいステージ

ラストソングが終わっても、もちろん観客からのアンコールは止まることはない。それに呼応するように、スクリーンには「THE LAST 10 MINUTE」という文字が。やがて、改めてシックな雰囲気で6人が登場。アンコール曲はもちろん、VIXXならではのコンセプト色の強いヒット曲、『傷つく準備ができてる』と『奇跡 (Eternity)』の2曲だ。怒涛のパフォーマンスが終わりに近づくと共に紙ふぶきが舞い、会場は白一色の幻想的な光景に。歌い追えたメンバー6人は、手を取り合い観客に深くおじぎをしながら、ステージを後にしようとする。
アンコール曲のスタートと同時に動き出した不穏なタイマーの数字がゼロになると共に、舞台上の音や映像が全て止まり、VIXXの単独コンサートは余韻を残す形で終了となった。

途中、メンバーの素の姿や感情を見せながらも、最初から最後までコンセプトでまとめた、完成度の高い2時間30分の舞台であった。今後も彼らが挑戦してくれるだろう、アイドルとしては規格外のコンセプトナンバーから、また目が離せなくなってしまった。
そして、成長を重ねカリスマ性をみなぎらせる、今現在の彼らに出会えたのも大きな収穫。ひとまず、日本でも彼らのファンタジーワールドが繰り広げられるのを、今から心待ちにしたい。

ライター:清水2000

【VIXX 日本ライブ情報】
「VIXX LIVE FANTASIA in Japan [HEX SIGN]」

●大阪公演
2014年8月21日(木) 13:30 OPEN/14:30 START <追加公演>
2014年8月21日(木) 18:00 OPEN/19:00 START
会場:オリックス劇場

●東京公演
2014年8月23日(土) 18:00 OPEN/19:00 START
会場:東京国際フォーラム ホール A

料金:全席指定[オリジナルグッズ付] 8,500円(税抜)/9,180 円(税込)
※3歳以上チケット必要

詳細:VIXX 日本公式サイト

記者 : Kstyle編集部