「ダレになったチャン・グク」打ち切り確定…私たちはなぜ刺激的なドラマに熱狂するのか

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写真=JTBC、KBS、MBC
優しいドラマであることを全面に出し、お茶の間を訪れた。ノビル(ネギ属の多年草、韓国語でダレ)の味噌汁のように旨みがありながらも、ほろ苦さを伝えるためだった。しかし、現実は厳しかった。1%前後という低い視聴率で打ち切りが決まった。一方、いわゆる“マクチャン”(日常では起こらないような出来事や事件が次々と起きる韓国特有のドラマのこと)と呼ばれるドラマは成功している。私たちはなぜマクチャンに熱狂するのだろうか。

今月5日、JTBC週末ドラマ「ダレになったチャン・グク:12年ぶりの再会」(以下「ダレになったチャン・グク」)が全50話の半分である26話で打ち切りを確定した。制作会社の関係者は「刺激的ではない優しいドラマを作ろうとしたが、最近の放送環境ではそのようなドラマを作ることは難しいようだ。これまで良い演技を見せてくれた出演者たちに申し訳ない気持ちだ」と伝えた。

「ダレになったチャン・グク」は2002年の当時、高校3年生のカップルだったジュンス(ナムグン・ミン)とチャン・グク(イ・ソヨン)が一夜の火遊びにより妊娠し、それによって両家はバラバラになり、その後チャン・グクはチャン・ダレに名前を変えて新たな人生を歩んでいたが、両家が12年ぶりに再会することから繰り広げられるハプニング満載のエピソードを描いた作品だ。一見“高校生の妊娠”という素材のため、刺激的だと考えられがちだが、全く刺激的ではない。

これに関し、女優のペ・ジョンオクは「ダレになったチャン・グク」記者懇談会で、刺激的な素材であってもどのように描くかによってマクチャンドラマになることもあるし、そうならないこともあるという自身の考えを明らかにし、「ダレになったチャン・グク」は人間描写がとても温かいドラマで、味わい深いクリーンなドラマであることを強調した。しかし、このことがかえってお茶の間で共感を得ることができなかった。

総合編成チャンネルという限界のせいだろうか。しかし、それだけで打ち切りを説明するのは不十分だ。前作の「約束のない恋」の場合、4~5%の視聴率を記録したことから、チャンネルの環境のせいにすることは出来ない。

優しいドラマを掲げ、視聴率で苦戦を強いられているのは「ダレになったチャン・グク」だけの話ではない。KBS 2TV週末ドラマ「本当に良い時代」も視聴率の低迷を見せている。視聴率が保障されるゴールデンタイムに編成されているにも関わらず、限界を見せているというのは、前作よりも視聴者を魅了する要素が弱いという意味だと解釈できる。

一方でMBC週末ドラマ「私はチャン・ボリ!」は視聴率が上昇基調にある。16%を遥かに越えており、大きく愛されている。成功のために自分が産んだ子どもを捨てた非情な女性、出生の秘密、逆境に負けない女性主人公まで、“マクチャン”の要素を備えている。さらにスピーディーなストーリー展開と悪女たちの止まらぬ悪行が視聴者を虜にしており、KBS 2TV毎日ドラマ(月~金曜日に放送されるドラマ)「カッコウの巣」も同じ動きを見せている。

マクチャンに熱狂する現象について、あるテレビ関係者は「韓国人は悪口を言いながら見るドラマが好きだ。そのため、卑劣な夫や妻などのキャラクターがドラマに登場する」とし、「アメリカではジャンル物が中心だし、韓国では痴情劇が中心だ。国によってドラマにも特性がある。韓国の場合、刺激的な痴情劇を好むため、マクチャンドラマが放送され、愛されている」と説明した。

記者 : ファン・ソヨン