イ・ジア、彼女が自ら“神秘主義”を脱いだ理由

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写真=ムン・スジ
イ・ジア。彼女の名前を思い浮かべると、真っ先に“神秘主義”という言葉が連想される。テレビやスクリーンを通じて数多くの人々に会っているのは確かだが、他の芸能人のように自分自身を簡単に表そうとしなかったからだろう。もちろんその裏にはいろんな理由が隠されていた。意図せぬきっかけでその理由も公開されてしまったが、相変わらず多くの人々は彼女を“神秘主義”だと覚えている。

そんな彼女から「インタビューをしましょう」という提案を受けた時、怪訝に思ったのも同じ理由からだった。「イ・ジアがインタビューを?」というのが初めての反応だった。「一体なぜ?」も続いた。簡単に話しそうになかった彼女と向い合って話をした。1時間程度インタビューを行ったにもかかわらず、彼女の“神秘さ”は依然として残っていた。長い間、名前の前につけられたイメージを簡単に変えられないのが事実だ。ふと、それ自体が“神秘な”人かも知れないと思った。でも確かなことはある。そんなに深く“ベールに包まれた人”ではないということだ。

約2年ぶりに出演したSBS週末ドラマ「3度結婚する女」(脚本:キム・スヒョン、演出:ソン・ジョンヒョン)で視聴者に会ったイ・ジアは、2度の離婚を経験した女オ・ウンスを演じた。幼い娘がいて、お腹には2番目の夫の子供がいるにもかかわらず離婚を決心するしかなかったオ・ウンスは、様々な面でイ・ジア本人と似ていた。

―インタビューをすると決めた本音が知りたい。

イ・ジア:今まではしたくないからしなかったというよりは、気楽に話せない状況があったじゃないか(笑) 言えないものを抱いたまま話をするのが難しかった。まず、相手の目をまっすぐ見ることができないし、申し訳ない気持ちになった。大きなことを経験した直後は、すべての話が私の私生活に集中するのではないかという懸念もあったし、演技者として作品に対して話せるものが多い時にインタビューをしようと思った。そうしていたらこんなに遅くなってしまった。とりあえず、インタビューをしなかった空白がすごく長かったので、記者に会いたかった。

―そう決めたことに対する悔いはないのか?

イ・ジア:文章からは感情が感じられないじゃないか。楽しくインタビューをしたのに、後になって記事を見てため息をついたこともある。でも、これも立場の差だと思う。話す人と聞く人の立場の差だ。

―「3度結婚する女」の結末に対して様々な意見があった。演じた人物としてはどう思うのか?

イ・ジア:“オ・ウンスらしい”結末だったと思う。キム・スヒョン脚本家は“女性としての自由”を語りたかったのでないか。3番目の結婚指輪という表現を通じて、女性としての包装を脱ぎ捨てる、自身が楽になれる方法を示したと思う。意味のある結末だと思うし、ウンスの選択を一番うまく表現したような気がした。

―オ・ウンスと似ているところ、違うところは?

イ・ジア:静かに話すところが一番よく似ていると思う。オ・ウンスはその都度感情表現をせず、我慢できる時まで我慢した後に怒る。そのような面が私に似ている。

違うところは、オ・ウンスはすべてのことに対してきっぱりと決断し、自身の決定に対して心が揺らぐことはないが、私はそうではない。人の話に影響されやすく、心も弱い。毎回選択をした後はたくさん悩み、心を痛むこともある。

―前作以来、復帰までかなり時間がかかった。作品を選ぶ自身だけの基準はあるのか?

イ・ジア:特にない。シナリオを読みながらキャラクターが私の心を動かしたり、ストーリーが私の心を動かしたら出演を決める。ルールや条件は特にない。作品に初めて出会った時の自分の状況も理由になると思う。

―次の作品はどのような基準で選ぶつもりなのか?

イ・ジア:「3度結婚する女」できつい感情シーンをたくさん演じたので、次の作品を選ぶなら明るい作品を選びたい。

―女優、女として自身が立てた計画にどれほど近い人生を生きているのか?

イ・ジア:計画を立てたり目標を持ったりする周到さや綿密さがまったくないし、むしろ即興的なタイプだ。「何年後には何をしよう、どこまで進んでみよう」と思わないし、勝負欲もあまりない。ただ「私が好きな仕事を一生懸命すれば、ある位置に届くだろう」と思う。今までも熱心に走ってきたし、ある瞬間振り返ると、ある地点まで来ている自分を見つける。私が熱心にやるのは、本当に好きなことだ。

―人々が自身について“正しく”知っていることと“誤解している”ことは何か?

イ・ジア:私を「気の強い女」だと思うようだ。私を間違って見ているのではないかと思う。実際会って話をしてみると、よく「強くないですね」と言われる。どうしてそのようなイメージができたのかは……自分を徹底的に隠さなければならない状況にいたから、さらにそういう風に見えたのかもしれない。そのようなイメージは壊さなければならないと思う。

―時間を取り戻すことができれば、いつに戻って何を変えたいか?

イ・ジア:自我が形成された幼い頃に戻りたい。その時に戻って、やりたいことを全部やりながら生きたい。

―女優としての目標は?

イ・ジア:今までは演技より私生活のほうが多くの関心を浴びているような気がする。今は私を思い出しながら誰かを連想するのではなく、「○○の作品をしたよね」と覚えてもらいたい。そんな女優になるのが目標だ。

―大衆にお願いしたいことはあるのか。

イ・ジア:私に対する噂の中には、誰が聞いてもでたらめな話なのに事実化されているものが多い。そのようなものが俳優を傷つけるということを知ってもらいたい。もう少し寛大な目線で見てもらえるのではないか。個人のイ・ジアではなく、俳優の立場として話をすれば、「私がすればロマンス、他人がすれば不倫」という言葉があるじゃないか。同じ脈絡で一番不利なケースが芸能人だと思う。芸能人も同じく痛みを感じ、感情を持っている人間なので「そうだったかもしれないね」とおおらかに見てくれればいいなと思う。

―2014年に達成したいことは?

イ・ジア:今年が終わる前に早く次の作品に入りたい。私に先に近づいてくる作品に出会いたい。2014年のうちに2つの作品に出演することができればすごく嬉しいだろうと思う。

記者 : チョ・ヘリョン