「ハン・ゴンジュ」チョン・ウヒ“演技への賞賛?浮かれず、良い刺激になればと思います”

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劇中で女子高生のハン・ゴンジュ役を演じたチョン・ウヒ「性的暴行の被害者を傷つけるのではないかと心配でした」

映画「ハン・コンジュ」が世界有数の映画祭で賞を受賞し、観客からも好評を得てヒットの兆しを見せているが、チョン・ウヒは嬉しい反面、慎重にならざるを得なかった。2004年、密陽(ミリャン)で起きた集団性暴行という実際の事件を題材にしているだけに、役を演じる前から沢山悩み考えた。

名前には理想と希望が込められている。劇中のハン・ゴンジュという名前も、お姫様のように人々から大事にされ美しく成長してほしいという意味だったはずだ。しかし、ゴンジュは同年代の歪んだ怪物たちによって無残に踏みにじられた。大人たちと社会、そしてメディアはそんなゴンジュに再び背を向け、傷つけた。肉体的にも精神的にも傷ついたゴンジュは、自身の怒りを爆発させることなく静かに観客に向かって叫ぶ。「私は悪くありません」

「演技への賞賛?浮かれず、良い刺激になればと思います」

写真=里共同体映画社
「シナリオを見た瞬間、この役をやりたいと思いました。私が持っているあらゆる面を見せることが出来ると思ったからではなく、自然とやりたいと思いました。シナリオを読めば読むほど性的暴力という題材を扱う手法が新鮮だと感じました。ゴンジュの傷を説明することなく、彼女の感情を爆発させることもありません。被害に遭った生徒役を演じること自体はプレッシャーにはならなかったのですが、慎重になりました。このような経験をされた方々がもし傷ついたらどうしようと思いましたし、出演を決めた時から本気で取り組もうと決心しました」

チョン・ウヒには責任感があった。「ハン・ゴンジュ」を演じたチョン・ウヒの演技力に映画界の内外から改めて賛辞が送られているが、彼女は「観客の立場で役に入れるよう、演技の力加減を調整しながらゴンジュのストーリーについてこられるように心を尽くして表現しました」と語った。チョン・ウヒは「賞賛していただけることは気分が良いですし、恐縮しております。ですが、浮かれずに自分にとって良い刺激になればと思います。最高の演技をしたと思っていませんし、不足部分はいつでも見ることができるので、その部分を埋めていきたいです」と話した。

「実は、監督に私たちの映画が被害者の方々を傷つけたらどうするのですかと聞いたことがあります。そして監督は『そんなことはないだろうし、これは必ず必要な話だ』とおっしゃいました。また、監督は『認めたくない事実だけれど、映画化すべき理由がある。その作業を私たちがするのだ』ともおっしゃいました。私もその方を代弁することまではできませんが、少なくとも傷を癒すことはできるのではないかと思うようになりました。慰めることができなくても、事件を起こした誰かに罪悪感を与えることができるかもしれません。そのためにも『ハン・ゴンジュ』は必ず作らなければならないと思いました」

たくさん悩んだだけに「ハン・ゴンジュ」はチョン・ウヒにとって特別な意味を持つ映画となった。女優としてチョン・ウヒは「演技を個人の興味レベルで考えるべきではないことに気がつきました。メッセージを伝える側としてどれだけ影響を与えるのかについて悩み、誠意について再度考えるようになりました」と打ち明けた。

「ハン・ゴンジュ」はターニングポイント、スランプを経験

記憶力の良い人ならチョン・ウヒのことを、映画「サニー 永遠の仲間たち」で“ボンドを吸引していた学生”として覚えているだろう。短いシーンであったが、強烈な演技で強い印象を残した。才能があり、様々な作品に登場する可能性があった彼女は、実際に2004年映画「恋する神父」で端役として出演し、その後も着実に作品に出演してきたものの、多作ではなかった。まるで四死球の少ない投手のようにチョン・ウヒは誠意のある演技をするために最善を尽くし、外れない“ストライク”を投げていた。

「『サニー 永遠の仲間たち』『優しい嘘』『ハン・ゴンジュ』までずっと制服を着る役でしたが、若い頃は違う役もしてみたいと思っていました。若く見えることも嫌でした、少し無視されているような気がして。ですが振り返ってみると私の年齢に合った役のオーディションを受けた時の方がもっと不自然だったと思います。あえて制服を着た10代を演じるのもいいですよね。私によく合っていて似合う役ならできると思います。今でなければまたいつ制服を着られるでしょうか(笑)

『ハン・ゴンジュ』がターニングポイントになると思います。直前までスランプを経験しました。いくら努力しようとしても仕事が上手くいかなくて焦っていました。オーディションを受けても全部駄目でした。そうした中でこの映画に出会えたことは本当に幸運でした。スランプの時期は本当に1年に5人も人に会いませんでした。本来私は本当に前向きな性格なので、家族がそんな私を見て心配していました」

高校時代に違うクラスになった友人と離れたくなくて一緒に演劇部に入ったチョン・ウヒは、映画「ハーブ」「母なる証明」、そして「サニー 永遠の仲間たち」のオーディションに全て合格し、自然に女優として活動を始めた。自ら運が良かったと思っていたが、スランプを経験したことでただ演技を楽しむためにやっていた自身の考えを改め、心のこもった演技ができる女優になろうと決心したのだ。

考えが多いチョン・ウヒ「女優以外の人生は想像できません」

自然に女優になったという話に対し、「もし女優になっていなかったら何をしていたと思うか」と聞いた。チョン・ウヒは「全くその姿が思い描けません」と答えた。「何かに深く興味を持って夢中になったり、マニアックなところもありません」と言うチョン・ウヒは、「演技だけは苦しくてもやりたいです」と断言した。

「普段から色々考えが多い方です。作品に出演する時は更に考えが多くなって眠れない時もあります。役について悩むわけではなく、あれこれメモして書き出してみます。記録することが好きです(笑)」

話すのは恥ずかしいと言うチョン・ウヒに、最近書き出した考えの一部を教えてほしいと頼んだ。

「日常でもドキュメンタリーを見たりしてよくインスピレーションを受けています。ご飯を炊いていた時、演技もご飯を炊くことに似ているなと思いました。適度に蒸らさなければならなくて、適した時期があるという点です(笑) あと、私は人を観察することも好きです。あの人はどのような人格を持っているのか観察してみたりします。それから真似も結構します」

話し終わり、チョン・ウヒはインタビューを行っていた記者をまじまじと見つめた。その中には目を輝かせながら相手とコミュニケーションしようとするチョン・ウヒがいた。

記者 : イ・ジョンミン、イ・ソンピル、写真 : イ・ジョンミン