【ドラマレビュー】「エンジェルアイズ」 vs 「ホテルキング」…週末ドラマを制するのはどっち?

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※この記事にはドラマのストーリーに関する内容が含まれています。

大抵の童話の主人公たちは善良な心を持っている。しかし、もう“善良であること”が“良い、素晴らしい”と同一視されることはなくなってきているように感じる。その代わり、“バカバカしい”あるいは“損をする”と見なされることが多くなった。

もう“善良”な童話の世界の時代はなくなってしまったのだろうか。綺麗だが貧しい、あるいは金持ちだが虐待を受ける主人公が王子様を見つける物語のようなものは、悲しくも人々の記憶から消えようとしているようだ。

新しく始まった2本のドラマ、良質なドラマとなるか?

写真=SBS
そんな中、事故で目が見えなくなった少女ユン・スワン(子役:ナム・ジヒョン)と、彼女の孤独と痛みを温かく見守る少年パク・ドンジュ(子役:カン・ハヌル)の話を描いたSBS週末ドラマ「エンジェルアイズ」は、消えゆく私たちの時代の童話の世界の端を掴もうとするかのように“善良”な内容だ。

“欲望と過ち”“許しと救い”、そしてその全てを包む“愛”を羅列したドラマの企画意図は、主人公二人の険しい道を予告しているように見えるが、実際にはありふれたものが集まっただけのような感じもする。

そして同じ時間、MBCでも新しいドラマが始まった。それは「ホテルキング」だ。韓国唯一の七つ星ホテルを手に入れるための果てしない陰謀と裏切り、そして欲望を描く。熱い息遣いと運命、隠された真実、予測不可能などんでん返しなど、美辞麗句を並べているが、いずれも既に見たようなものばかりで、少し退屈な印象を受ける。

「エンジェルアイズ」の善良な主人公たちに比べ、「ホテルキング」にはあまり善良な登場人物は見当たらない。それが悪いふりをしているのか、あるいは本当の姿なのかは別だ。ホテルの総支配人であるチャ・ジェワン(イ・ドンウク)、そして相続人のア・モネ(イ・ダヘ)は幼い頃に捨てられ、父親の無実の死をきっかけに恨みを持ち、復讐を誓って生きる人物たちだ。

以上の2本のドラマは2話の放送を終えたばかりだが、内容と雰囲気、登場人物たちの設定など、あらゆる面で非常に対照的だ。これらのドラマが“良い”ドラマとして残ることは可能だろうか?

良質なドラマを見る権利と作る義務、目指すところは同じ

写真=MBC
我々はよく“良いドラマ”と“悪いドラマ”を区別する。「エンジェルアイズ」と「ホテルキング」を比べてみて、どちらが前者でどちらが後者になるだろうか。恐らく大抵の人は「エンジェルアイズ」の方が良いドラマに近いと言うだろう。純粋で自己犠牲の精神を持つ人物たちが主人公で、内容も少女漫画のように繊細だからだ。

しかし、ドラマの良し悪しと好き嫌いの基準は、ドラマの内容自体やメッセージとは違う方向に行くことも多々ある。善良なドラマが必ずしも良いドラマとは限らないし、悪者が悪だと規定されない場合もある。そして、結局は“ドラマとしての面白さ”が勝利を収めることが多い。たとえそれが表面的なものであったとしてもだ。

私たちは少女漫画のようなドラマや映画に熱狂していた時代もあった。「エンジェルアイズ」にも登場する映画「バンジージャンプをする」や「ラブストーリー」、そしてドラマ「夏の香り」などの季節シリーズだ。しかし、私たちはそんなものはもう“退屈だ”と言う時代を生きている。

恋愛ドラマでもどんでん返しが必要で、“マクチャンドラマ”(日常では起こらないような出来事や事件が次々と起きる韓国特有のドラマのこと)と呼ばれる刺激的な要素、不倫や出生の秘密など、錯綜した複雑な設定なしには成功を期待できないケースも多い。成功の可否は視聴率で決まるが、結局はそれが全てであるかのように思う世の中には溜め息が出る。しかし、それも仕方のないことだ。

それであれば、同時に始まった「エンジェルアイズ」と「ホテルキング」はどんなドラマになるのだろうか。そして、どちらが勝者になるのだろうか。両方とも目新しいものはなく、それほど期待されるものもないと言える状況だが、勝者の条件として挙げられるものがないわけではない。簡単に言うと、どちらが“次回が楽しみ”なドラマになるのかということだ。

最近では登場人物が何の理由もなく一人、二人と死んでは消え、悪事を働く人物たちが一寸先も見えない縦横無尽の活躍を見せたり、特に意味のないことでどんでん返しを繰り返すドラマになってこそ、やっと話題になり、視聴率も上がる。

成績が全てを決める世界、創造力を要する分野にまで画一的に適用されることは苦い気持ちだが、残念ながら私たちはそれらを評価する基準をいくつも持っていない。

そのため、仕方なく私たち視聴者が作品を見る目を養うしかない。悪口を言いながらも見続けていた自分と決別し、ずっと意味のないシーンだけを繰り返し、予告編で視聴者を引きつけようとするものを思い切って無視する勇気。そんなことは可能だろうか?

恐らく、簡単なことではないだろう。何故なら私たちは既にそのようなことに慣れてしまっているからだ。しかし、自分を責めるにはまだ早い。それは厳密に言うと私たちの過ちではないからだ。良質なドラマを見たいと願う気持ちは同じだが、スタートは良かったとしても回を重ねる毎に駄目になっていくドラマを“もしかしたら”という気持ちで最後まで見続けることは視聴者の責任ではない。

立場の違いから来る分裂は仕方ないが、良質なドラマを見たい、そして作りたいという意欲、私たちと制作陣が望むことはそれほど変わらないはずだ。しかし、その隙間を少しずつ縮めるためには、私たちよりも制作陣の努力がさらに必要なのではないだろうか。

どちらが良い成績を収めるのかに多大な興味を持つ人も多いかもしれないが、そのような目に見える即物的な尺度よりも、長い間記憶に残るような“作品”を待っている人の方が多いと信じている。そして、ドラマ全体の質向上のためにもその傾向はさらに加速するべきだ。

私たちはいつも良いドラマを期待している。新たに始まった「エンジェルアイズ」と「ホテルキング」に望むこともそうだ。この2本のドラマは好調な滑り出しを見せている。片方は自然に涙が流れるほど悲しくて切なく、もう片方はコミカルながらも胸に響く感じをよく生かしている。これらの雰囲気とクオリティが最後まで維持されることを心から願う。

記者 : ハン・ギョンヒ