放送終了「約束のない恋」周囲の懸念とは裏腹に視聴者を掴んだ“純粋なドラマ”

OSEN |

※この記事にはドラマのストーリーに関する内容が含まれています。
写真=JTBC「約束のない恋」画面キャプチャー
JTBC週末ドラマ「約束のない恋」が、刺激的なストーリーがなければヒットできないという公式を破り、意味深い有終の美を飾った。放送開始前から“純粋なドラマ”を自負し、果たして“マクチャン”(日常では起こらないような出来事や事件が次々と起きる韓国特有のドラマのこと)なしで最後まで持つだろうかと疑念が抱かれていたが、その約束を全うした形となった。

「約束のない恋」(脚本:キム・ジョンス、演出:イ・グァンヒ)は、1960年代を背景に、早くに両親を亡くした5兄弟の長女が、弟と妹たちを社会的に成功した人物に育てあげる物語を描いたドラマだ。5兄弟と近所にもにいそうな家族の物語で、視聴者たちの心を温め、1960~70年代を描くことで親世代の郷愁を呼び起こし、その時代風景に馴染みのない若年層には鮮やかな臨場感を与えた。

昨年9月に放送スタートした「約束のない恋」は、一人の少女を中心に、厳しい時代を耐え忍び生きていく人たちの物語を通じて、素朴で情のあるドラマを作りたいという脚本家の執筆意図の通り、心に穏やかな波を呼び起こさせる情緒的なストーリーが展開され、不倫や離婚、出生の秘密、復讐などのマクチャン要素なしで幕を下ろした。

16日に放送された「約束のない恋」第54話では、肺病を患っていたジスク(オ・ユナ)がスンテク(ジェヒ)の隣で静かに最後を迎え、ヨンソン(ユン・ジョンヒ)とジスクの家族はジスクが去った悲しみの中でも力を出し幸せを求める内容が描かれた。

ヨンソンは過去にスンテクが好きという理由でジスクから長年嫌われ、スンテクをジスクに奪われても頑張って生きていた中、ある瞬間待ったをかけるジスクの妨害に平坦でない生活を送った。それでもヨンソンは、ジスクに復讐などはしなかった。ジスクからいじめ続けられてもヨンソンはめげることなく自分の道を進んだ。

肺病を患うジスクが家族を残してスンテクが昔勉強していた山小屋に隠れていたのをスンテクが見つけ、病院に連れて行こうとするが、これを拒否するジスクを説得したのはヨンソンだった。また、スンテクの影から抜けだせないように見えたヨンソンは、インホ(パク・ジェジョン)を愛するようになった。

ジェシク(キム・ジンス)と結婚したミスン(ラ・ミラン)は、幸せに暮らしながらも子供が産むことができない状況に心を痛めたが、最終的に運命のように子供に恵まれた。ヨンジェ(キム・テジン)の病院から連れてきた、海外に養子に行く予定の赤ちゃんを見て、特別な情を感じ家族となった。それだけでなく、ヨンスク(RAINBOW ユネ)は結婚し、5兄弟の中で勉強もせず歌だけ歌いヨンソンを悩ませたヨンドゥ(カン・イシク)は、アーティストの夢を叶え家庭に忠実にすると約束した。

「約束のない恋」を見て親世代と若い世代が感じる感情は違っても、登場人物は平凡な私たちの物語を描いていた。様々な人物の成功と転落、愛など、全て私たちの人生の中の喜怒哀楽であった。

キム・ジョンス脚本家は制作発表会当時「『約束のない恋』を執筆すると仲間に話したら、『最近そんな童話のような話が通じるだろうか』と心配された」と話した。周囲の懸念とは裏腹に、キム・ジョンス脚本家は「約束のない恋」で小さいながらも大切な感情を与え、“通じた”のだ。

「約束のない恋」は平均4%の視聴率で、9日の放送は5.25%(ニールセン・コリア首都圏有料世帯広告除外基準)を記録し、自己最高視聴率を更新した。地上波の週末ドラマのように大きな話題を呼び起こすことはできなかったが、善良な展開で着実に視聴者から愛され“純粋なドラマ”として残った。

「約束のない恋」の後番組は、「ダレになったチャン・グク:12年ぶりの再会」が22日から韓国で放送される。

記者 : カン・ソジョン