Brown Eyed Girls ガイン「私はセクシーなだけではない…ストーリーと音楽の調和を表現できるアーティストになりたい」

10asia |


Brown Eyed Girlsのガインを見るたびに驚く。小さな身体にも関わらず、どうやってそんなに挑戦的で濃艶な姿を見せることができるのだろうか。特別にセクシーな容姿でもなく、爆発的な歌唱力を持っているわけでもない。それにも関わらずガインは抜群の表現力とパフォーマンスを通じて歌手として毎回自分の明確なカラーを表現してきた。一般的なガールズグループが持つ人工的な可愛らしさやセクシーさ、そして清純さをガインからは見つけることはできない。実際、そのようなカテゴリに当てはめる必要はなさそうだ。ガインの独特な魅力は、そのいったものを軽く飛び越えるからだ。「Brown Eyed Girlsの時から音楽が大衆的と言うよりも、マニアックな方でした。『Abracadabra』が特にそうでしたが、多くの方が愛してくださいました(笑) 私はイメージが固定されてないので、みんなが毎回違った姿を期待することができます。感謝しています(笑)」

2006年にBrown Eyed Girlsの末っ子としてデビューした時が19歳、2009年7月にリリースされたBrown Eyed Girlsの3rdフルアルバムのタイトル曲「Abracadabra」で音楽界を熱くした時が22歳、初めてのソロアルバム「step 2/4」をリリースした時が23歳の時である。その時も今もベビーフェイスのままだ。しかし、ソロアルバムが公開されるごとにガインは型破りなイメージチェンジを図り、同年代の女性の気持ちを素直に表現した。タンゴのリズムを加えた「取り戻せない(Irreversible)」と少女が愛に芽生えて成熟した女性に生まれ変わる姿を描いた「Bloom」、両方とも簡単に表現することのできない曲だった。しかし、ガインは毎回見事にやり遂げた。誰も彼女より上手くできなかっただろう。今月6日にリリースした3枚目のミニアルバム「TRUTH OR DARE」では、どのような姿を見せてくれるのだろうか。きっと、また見事にやり遂げることだろう。彼女はガインだから。先月20日、ニューアルバムのリリースを間近に控えたガインと10asiaの事務所で会った。

―今回で3枚目のソロアルバムになります。Brown Eyed Girlsのアルバムまで合わせると、デビューしてから10年近くになりますね。

ガイン:もうそんなに経つんですね。今はアルバム作業を終えてほっとしています。数日前に、ある方からガインを思い浮かべた時に代表曲がないと言われました。長い間活動してきましたが、まだフレッシュな感じがあるようで、つまりこれからもずっと見せられる部分が多いということです。だから、人々も毎回違う姿を期待することができます。感謝しています。

―アルバムごとに強烈で挑発的な姿を見せてくれました。今回の「TRUTH OR DARE」ではどのような姿を見せてくれますか?

ガイン:アルバムのタイトル曲の歌詞を書いてくださったキム・イナ作詞家は、私と同年代の女性の気持ちをよく掴んでいます。1stソロアルバム「step 2/4」のタイトル曲「取り戻せない」がリリースされた時、私は20歳でしたが、その年齢の恋って少し不安定ですよね。愛の痛みのために本当に死ぬことさえできると思う唐突な時期ですが、その年齢であれば十分に考えられることです。2ndアルバム「Talk about S.」のタイトル曲「Bloom」は、20代半ばの女性なら誰もが共感できて、美しく話し合うことができる“初経験”の話を描きました。今回は27~28歳の女性が見せる堂々とした姿と積極的で主体的な女性像を表現しています。以前よりもさらに大胆になりました。

―先行公開された「Fxxk U」は曲名からして非常に強烈です。

ガイン:「Fxxk U/don't want it now/当然のようにあなたの隣で眠りたくない」これがサビの歌詞です。恋人と長く付き合っていると、2人の愛を当たり前だと思うことがあります。例えば、曲の歌詞のように、女性は男性の隣で眠りたくない時も、関係を持ちたくない時もありますが、男性はそれを当たり前だと思っているのです。女性は死ぬまでそうではないと思います。「私はあなたが私の存在を当たり前だと思うのが嫌だ。これからはそうしない」と訴える歌です。残念ながら私は長く付き合ったことがないので、そうした感情がはっきりとは分からないのですが(笑)

―「取り戻せない」と「Bloom」で特に叙情的な部分をガインさんが上手く表現してくれました。パフォーマンスでは少し大胆な部分もありますが、それが扇情的ではなく一つの物語のように思えました。

ガイン:ミュージックビデオを見ると、どうしてこの女性が「Fxxk U」と言うのか理解できると思います。十分に相手を批判することのできる状況ですから。実際に、私もあの状況だと悪口を言ったと思います(笑)

―ガインさんはセクシーなパフォーマンスが強みですが、セクシーなイメージが負担になりませんか?

ガイン:負担になる時もありましたが、今は少し慣れてきました。大胆になりすぎると魅力が半減してしまいますよね(笑) 最近、テレビに出てくるガールズグループたちはよりセクシーなパフォーマンスを披露しているので悩みが多いと思います。ステージの上で本当に一生懸命踊ったにも関わらず、見る側には扇情的にしか映っていない場合も多いですから。セクシーさだけを見て、音楽性は見ていないんです。それが全て悪いとは言えませんが、残念な部分もあります。そのような面でしっかりと戦略を立てる必要があります。セクシーさとストーリー、そして音楽の調和が何よりも大切です。私もしっかりとした戦略が必要な歌手です(笑)

―セクシーさ以外にも、見せたい姿がたくさんあると思いますが。

ガイン:私はセクシーなイメージだけに集中していると思われているのかもしれません。「セクシーに見せようとする女性歌手」と思う人々もいるでしょう。でも、私と私のチーム(チョ・ヨンチョルプロデューサー、イ・ミンス作曲家、キム・イナ作詞家など)は本当に音楽的な面に最善を尽くしています。いつも私と一緒に作業するチームが、ただセクシーであれば人気を集められると考えているわけではなく、音楽の中に存在する情緒や表現しようとするストーリーを最も大切にしています。私はそれを上手く表現できるアーティストになりたいんです。私は人々を感動させる歌唱力を持った歌手でも、自作曲を作るシンガーソングライターでもありません。でも、私はプロダクションチームが作った音楽に自分のカラーを溶け込ませ、しっかりと表現することもアーティストだと思います。私はそのような部分に全力を尽くしていますが、セクシーさだけに関心が集まるのは残念なことです。

―残念に思わなくても良いと思います。1stアルバムと2ndアルバム、両方とも評論家から好評を受けました。ガールズグループ出身の女性歌手としては異例のケースでした。

ガイン:私の音楽は大衆的というよりマニアックな面が強いので、良い反応を得ることができたのかもしれません。Brown Eyed Girlsの「Abracadabra」が特にそうでした。評論家たちの反応が良くて、大衆的にもたくさん愛されました。

―ガインの最大の強みは表現力だと思います。ステージを見ていると、体を捧げて表現しているという印象を受けます。強く見える時もありますし。

ガイン:「取り戻せない」の崩れた化粧、喧嘩して飛び出してきたような裸足、片方だけ残ったイヤリングなどのイメージは、私が全て提案しました。もちろん可愛くはないでしょうが、そういった状況ではそんな姿が十分似合うと思ったからです。「Bloom」では母親の体験談をたくさん聞きました。今の私はまだ若いので、初キスのような経験を懐かしく思い浮かべたりはしませんが、母親の年齢だと初体験や初キスに関する話を懐かしく、また美しい思い出として話すことができるんです。そして、そうしたパーツを私なりに表現してみました。それは決していやらしいものではなく、美しいものじゃないですか。音楽に盛り込まれている意味をよく把握して、上手く取り入れようと努力しました。今回のアルバムも同じです。

―ニューアルバムのついてもっと話してみましょう。イ・ヒョリさんが「Black&White」という曲を書いてくれました。代表的な女性歌手であり、先輩のイ・ヒョリさんが曲を書いてくれたという意味も大きいですが、一方では作曲の専門家ではない人の曲を受けたことにもなります。

ガイン:イ・ヒョリ姉さんと一緒に作業するということは、私にとって非常に大きな光栄でした。「Black&White」はイ・ヒョリ姉さんが作曲家として取り組んだ初めての曲であり、私にとっても歌手出身の先輩と一緒に作業をした初の楽曲です。私はイ・ヒョリ姉さんの「ミス・コリア」のような曲が好きなので、とても期待していました。私に合う曲を書いてくださって、とても感謝しています。

―多くの女性歌手が“ポストイ・ヒョリ”の座をめぐって競争していますが、自分もその中の一人だと思いますか?

ガイン:私は“ポストイ・ヒョリ”は絶対に出てこないと思います。イ・ヒョリ姉さんと一緒に作業してみて、姉さんのオーラはすごいと感じました。イ・ヒョリ姉さんは人生にドラマが多いじゃないですか。そうしたものが音楽と一緒に重なって歩んでいるという感じを受けます。でも、今のガールズグループは制約が多いので、自分の人生を盛り込んだ音楽をするには難しい面があります。

―それは、ガインさんでも見せられないことなんでしょうか?

ガイン:本当にそうしたいです。私はセクシーでかっこいい姿を無理矢理アピールするより、一人の女性が素敵な人生を生きて、その人生が音楽を通じて感じられるのが真のセクシーさだと思います。そうなれるように頑張ります。

―MBCバラエティ番組「私たち結婚しました」で仮想夫だった2AMのチョグォンさんと「Q&A」をデュエットで歌いました。

ガイン:チョグォンとは今会っても、まるで子どものように初々しく楽しく遊びます。もともと2人ともそんな性格ではないのに、なぜかお互いに会うとそうなります。昔みたいに“甘い関係”に戻るんです(笑) でも、「Q&A」は別れる直前の恋人の感性を描いたバラード曲なので、感情が上手く掴めるかと心配もしましたが、集中力を発揮して無事に録音を終えました。2人とも瞬間的に発揮する集中力は素晴らしいんです。それが長く続かないのは残念ですが(笑)

―「Q&A」はJYPエンターテインメントの代表を務めるパク・ジニョンプロデューサーが作った曲ですね。

ガイン:パク・ジニョン兄さんの曲を録音するのは今回が初めてです。私がパク・ジニョン兄さんにバラードをくださいとせがみました。パク・ジニョン兄さんの作るバラードがとても好きだからです。幼い頃からパク・ジニョン兄さんが作ったイム・ジョンヒ姉さんの曲をたくさん練習しました。godの曲でもバラードが特に気に入っています。

―タイトル曲「TRUTH OR DARE」について話してみましょう。ミュージックビデオが架空のドキュメンタリー形式だと聞きました。内容が面白そうです。

ガイン:“噂”というテーマを扱った曲です。個人的にはリズムの部分をよく聞いてもらいたいです。私が初めて挑戦するファンキーなリズムですから。今までの曲が色んな音が重なり合った密度の濃いサウンドだったとしたら、この曲は楽器を可能な限り排除して、余白が感じられる最小限のサウンドになっています。

―まだ曲を聞いていませんが、ミニマルなファンクナンバーとは、ひょっとしたら昨年アメリカでヒットしたロビン・シック(Robin Thicke)のような感じですか?

ガイン:ロビン・シックの「ブラード・ラインズ~今夜はヘイ・ヘイ・ヘイ♪」(以下「ブラード・ラインズ」)とは少し違う感じです。ちなみに、「ブラード・ラインズ」はファンクですか?

―「ブラード・ラインズ」は最近の洗練されたファンクとはかなり違います。60年代の古典的なファンク系だと言えます。

ガイン:イ・ミンス兄さんは昔の音楽が本当に好きなので、そういった感じの音楽をよく書くようです。でも、「TRUTH OR DARE」は私の雰囲気を上手く生かしました。聞いてみると「やっぱりガインっぽい曲だな」と感じると思います。

―Brown Eyed Girlsの「Abracadabra」から「取り戻せない」「Bloom」、そして今回のタイトル曲「TRUTH OR DARE」まで、すべてイ・ミンス作曲家、キム・イナ作詞家の曲で活動をしています。今やガインとは切り離して考えることができない存在です。

ガイン:一つのアルバムは共同作業の結果物です。音楽的に私ととてもよく合う2人ですが、一方では私にとって気楽ながらも難しい存在です。2人は私から感じることをモチーフに曲を書くので、私が2人の目にどう映るのかが重要になります。それで、自分なりに気を遣っていたつもりでも、常にそんな私を2人は見破ります。ある意味、2人は私を壊す役割を果たしているんです。でも、その崩れた瓦礫の中から素敵な音楽が出てきます。

―19歳でデビューして、今は28歳になりました。もうデビュー10年目ですが、実感はありますか?

ガイン:もう怖いものなんかないです(笑) 一番楽しかった時はBrown Eyed Girlsの初期でした。人の目を気にせずに、音楽をやっていた時ですから。でも、私たちへの関心が徐々に高まり、気にしなければならないことも多くなり、今は昔のように楽しむことができません。そのような点で、ますます鋭敏になっているようです。心に余裕はできたけど、まだよく分からない部分も多いです。正直なところ、どんどん迷宮に陥っているようです(笑)

―ガインはまだ進むべき道が長そうです。目標は?

ガイン:自分の年齢に合った音楽をやりたいです。今はこんな感じの音楽をやっていますが、29歳や30歳になれば、またその時に合った音楽をやりたいです。ミュージシャン自身のドラマやヒストリーが盛り込まれた音楽を。

記者 : クォン・ソクジョン、写真 : APOPエンターテインメント