「芸・体・能」肝を冷やした日本戦から東方神起 チャンミンまで…チェ・インソン監督が語る裏話

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KBS 2TV「ホドン&チャンミンの芸・体・能~めざせ!ご当地スポーツ王~芸体能」(以下「芸・体・能」)バスケットボール編が最後まで手に汗を握らせる戦いの中で勝利を収め、フィナーレを飾った。「芸・体・能」史上、最も多い勝利の栄光をもたらしたバスケットボール編は、韓国で昨年10月に始まり、17週もの時間を走ってきた。「芸・体・能」チームはこれまで元プロバスケットボール選手のホ・ジェ監督、ソク・ジュイルコーチに出会い、即席で講習を受けたが、何よりもウ・ジウォンコーチ、そしてバスケットボール界の巨匠チェ・インソン監督の指導がなければ今日の勝利は不可能なことだった。先の見えなかった「芸・体・能」バスケットボールチームがハッピーエンドのドラマを描くまで、チェ・インソン監督から放送では語られることのなかった裏話を聞いてみた。

私だけの戦略…“サイド”そして“カン・ホドン”

ほとんどの人が“カン・ホドン”といえば体格が良いため、ポジションはセンターだと思う。しかし、私は考えが違った。カン・ホドンの体格なら少なくともパワーフォワードぐらいはやってもらわなければならない。しかし、バスケットボールは一日でどうにかなるにようなものではないじゃないか。バスケットボールの初心者がコートの真ん中に立っていては、しっかりすることが出来ない。まるで、ぐるぐるバットを20回転して、試合に出るのと同じだ。何をすれば良いのか分からず、時間だけがただ過ぎて行ったに違いない。だからサイドを活用することにした。カン・ホドンがサイドからシュートを打てば、私たちにはゴール下での攻撃に強いジュリアン・カンがいるため、むしろ得点できる確率が高かった。カン・ホドンは勇敢で、大胆にシュートを試みる。

カン・ホドンには“シェパードディフェンス”も注文した。カン・ホドンがシェパード犬のようにマンツーマンでディフェンスをすれば残りの4人が組織的に動くようになっている。カン・ホドンにただディフェンスを任せるのではなく、すべて計画によって行われたものだった。そのためカン・ホドン、東方神起のチャンミンがいないと「芸・体・能」チームはしぼんだ風船のようだ。


ひやひやした日本戦、1分でも早ければ…

リードしていた「芸・体・能」チームが3分間で10点を許した。相手がジュリアン・カンをターゲットにしたためだ。日本は後半戦に入り、プレスディフェンスを始めた。前方の選手を抑えれば、ゴールの下にいるジュリアン・カンにまでボールが行かないことを後半になって気付いたのだ。日本のプレスディフェンス戦術は優秀だった。結局、「芸・体・能」チームは3分間で10点を奪われて危機に立たされた。日本チームがプレスディフェンスを1分でも早くしていれば、私たちは試合に負けていただろう。

正直、点差が縮まるほどに胸が締めつけられる思いだった。しかも、日本戦ではないか。私が焦っていることを表せば、選手たちがむしろ緊張してしまう。だから、危機的状況だったにも関わらず、何でもないかのように演技をした。監督は有名な俳優にならなければならないという言葉に完全に同意した。

新年初日、最悪の試合

2014年1月1日。新年から「芸・体・能」の収録が行われた。日本戦を終えてからあまり時間が経っていない上に、年末の授賞式で忙しいスケジュールをこなした芸能人たちのコンディションは、言葉通りめちゃくちゃだった。その時期には制作陣も、コーチ陣も「芸・体・能」チームの連勝に安堵して、選手たちも気が緩んでいた。しかも、初めて合流した4Menのシン・ヨンジェともちゃんと呼吸を合わせていない状況だったのに、収録時間まで前倒しになって練習もろくに出来なかった。一方、相手チームの選手たちはこの日のためにどれだけ実力を磨いてきたことだろう。試合の結果は火を見るより明らかだった。しかし、最も気に入らなかったのは試合の内容だった。これまでの7試合の中で一番不満足だった。こぼした水をどうにか戻したい気持ちだった。幸い選手たちが反省するかのように高敞(コチャン)に行き、合宿を行ってきた。最後の試合の収録日に会うと、目つきが変わっていた。

紅一点イ・ヘジョン、残念で申し訳ない

イ・ヘジョンを見ると、申し訳ない気持ちが先に来る。モデルに転向した後、筋肉もかなり落ちた状態だったのにわざわざ身体を鍛えて、最終的にはスリーポイントシュートを成功させた。イ・ヘジョンは女性という理由で試合にたくさん出場させることが出来なかった。表面上ではバラエティだが、これは試合だ。相手は試合に入るとバラエティのことはまったく気にしてくれない。それこそシビアな勝負の世界が繰り広げられるだけだ。同好会の試合、女性選手だからと言って大目に見てくれることはない。そのため、イ・ヘジョンが体当たりをされて怪我でもするのではないかと心配だった。また、毎回私たちはスコアにおいて余裕のある状況ではなかったため、頻繁に試合に投入することが出来なかった。ソウルでの試合の時は、高敞での合宿で怪我をした後だったため出場させることが出来なかった。

たとえコートにはあまり出られなかったが、イ・ヘジョンはベンチで与えられた役割以上を果たした。イ・ヘジョンは相手選手たちの動きを素早く読み取り、コートの上にいる選手たちがまだ見えていない試合状況を伝達したり、一生懸命応援して自分の役割を果たした。ベンチの役割も無視できない。


チームワークで合わさった実力派と初心者

「芸・体・能」チームは中心選手と非中心選手の実力の差が大きい。ジュリアン・カン、ソ・ジソク、キム・ヒョクそしてパク・ジニョンなどが中心選手だ。中心選手だけを走らせば、勝負欲だけが先走る。それで監督が必要なのだ。カン・ホドンとチャンミンのような選手を試合に入れて、上手く活用するのが監督の役割だ。キム・ヒョクのような選手が自分中心に試合を行えばそれはチームではない。もし、キム・ヒョクが本人の技量だけを自慢していれば、キム・ヒョクは一人ぼっちになり、チームは後ろにいただろう。キム・ヒョクも自分の技量を調節しながらチームワークのことを考えていたため、その中で輝くことができたのだ。

「芸・体・能」チームは結束力が良い。いつもお互いを励まし合いながら最高のチームワークを見せてくれたので、昨年末の「2013 KBS芸能大賞」でベストチームワーク賞をもらえたのではないか?その賞を受けたというニュースを聞いたときは本当に嬉しかった。

キム・ヒョク“経験者”のメリット?プロ選手の半分にも満たない

時々「芸・体・能」チームのメンバー構成を見て、「キム・ヒョクとイ・ヘジョンが元々バスケットボール選手だから、当然勝つのではないか」という否定的な視線もある。正直、“元選手”は相手チームにもいた。キム・ヒョクが目立っているように見えるが、専門家の目で見た場合、プロ選手の4分の1のレベルでしかない。ただ、チームの穴を上手く埋めてくれるため、上手に見えるだけだ。技術的な面で見るとキム・ヒョクはサイドからのシュートが全くない。「芸・体・能」チーム全体的に見てもサイドからのシュートが皆無だが、ソ・ジソクのスリーポイントシュートがあったから面子を保つことができた。「芸・体・能」チーム内でキム・ヒョクの役割は大きいが、本物のプロ選手と比べると実力の差はあまりに大きい。一言で言うと、エースが一人いても出来ないのがバスケットボールだ。


ソ・ジソク&ジュリアン・カン&キム・ヒョク、私が選ぶエースは…

実力よりも私の好みで選びたい。今すぐエースを選ぶとしたらジュリアン・カンとキム・ヒョクの間ですごく悩むと思う。真っ白な白紙の状態で1番を選ぶとしたらジュリアン・カンを選ぶ。センターを先に選んで、その後サイドを狙ってみる。

チャンミン、気になるメンバー1位

チャンミンを見ていると、メンバーの中で一番気になる。韓国でも有名だが、日本に行くとチャンミンの人気はもの凄い。これほど人気の高い人がもの凄くがんばっているのを見ると感心する。試合の時も真剣だ。試合で気を抜いていたら綺麗なだけで終わるが、落ち着いて自分の役割を最後まで果たす。努力に比べて実力がもどかしい。

「芸・体・能」これは奇跡、そのもの

正直、「芸・体・能」チームには試合を準備する時間がなかった。しかも、即席で学ぶために理解できない部分も多かったと思う。足りないところが多かったが、幸い結果は良かった。それは選手たちが良くついてきてくれたという意味だ。コーチ陣がいくら良い作戦を出しても、選手たちの理解が足りなかったり、やろうとする意志がなければ、それはどんな単純な作戦よりも劣るからだ。

何よりもカン・ホドン、パク・ジニョンなど40歳を越えた選手たちがコートの中で走ってくれるだけでありがたかった。こんな兄貴たちの姿勢に上手な選手たちは自然と謙遜になり、若い選手たちは自らがんばろうと覚悟を固めた。年齢の高い選手たちには感謝の言葉を、若い選手たちには良くやったという言葉を伝えたい。「芸・体・能」チームが見せてくれたのは、本当に奇跡そのものだった。

記者 : シン・ナラ、写真 : ムン・スジ、KBS 2TV「芸・体・」スクリーンショット