ハン・グル「今年は演技以外でも幸せになれることに挑戦したいです」 ― 午年に輝く4人の女優

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“20代女優の飢饉現象”これは数年前から韓国のテレビ業界と映画業界のキャスティング担当者たちがしばしば訴えるように話題にしていることだ。ずば抜けた演技力を持つ“優秀”な20代の女優が全く現れないという意味である。しかし、まだ発見されていない宝石のような新人たちは、自分の居場所を守りながら熱心に実力を磨いている。今年は躍動感を意味する甲午(きのえうま)の青馬の年だ。汗を流しながら誰よりも力強く走ろうと準備をしている4人の20代の女優たちにこの一年の計画と抱負を聞いてみた。

まるでドラマの中のキャラクターがテレビから出てきたようだ。SBS月火ドラマ「温かい一言」のナ・ウニョン役を演じているハン・グルは、しっかりしていながらも純粋なドラマの中の人物とそっくりだ。まだ眠気が残る午前中のインタビューであるにもかかわらず、笑顔でドラマのエピソードを語る彼女からは、子供のように明るく元気な雰囲気が漂う。

ハン・グルは「温かい一言」で銀行に勤め、同じ銀行の安全要員であるソン・ミンス(パク・ソジュン)とロマンスを描くナ・ウニョン役に扮した。ドラマの中での彼女は現在、大きな嵐を目前に控えている。ソン・ミンスの義理の兄であるユ・ジェハク(チ・ジニ)とナ・ウニョンの姉ナ・ウンジン(ハン・ヘジン)が不倫関係だったことが分かり、二人の愛が危機に陥る予定であるからだ。

最初は歌手としてデビューしたが、現在は女優として一歩ずつ前進しているハン・グル。「今までとはかなり違う雰囲気になりそうです」と笑顔で語る彼女の姿から、少しずつ固まっていく女優としての信念が感じられた。

―ドラマではウニョンとミンスが別れる兆しが見える。

ハン・グル:もうすぐ嵐が迫ってくる予感がして、とても悲しいです。脚本家が主に現実的なストーリーを描く方なので、ハッピーエンドになるかどうか全く分かりません。だからより一層胸が苦しいです。正直、脚本家の方に二人が今後どうなるのか聞きたい気持ちでいっぱいですが、ぐっと堪えています。

―ミンス役のパク・ソジュンとはとてもお似合いだ。密かに愛を育むカップルの可愛らしい姿がよく描かれている。

ハン・グル:ミンスは少し無愛想なキャラクターですが、最近は抱き合うシーンなどが多いので親しくなった気がします。パク・ソジュンさんはMBC「金よ出てこい☆コンコン」で初めて拝見しましたが、最初は怖いイメージがあったので少し難しかったです。ですが、共演してみたら相手をとても気楽な気持ちにさせてくれるタイプの方でした。また、やんちゃな一面も持っています(笑)

―ウニョンの現実的でしっかりした性格のキャラクターという点が、以前演じたJTBCドラマ「私たち結婚できるかな?」のドンビと似ているような感じがする。

ハン・グル:ドラマ序盤にドンビに似ているという話をよく聞きました。同じ役者が演じているのでそう見えるのかもしれませんが、2人は全く異なるキャラクターです。ウニョンは現実的ではありますがドンビに比べて純粋でメンタル面が弱い。以前は清純で可憐なヒロインを演じたかったのですが、今は明るくてスマートなキャラクターが好きです。キャラクターの性格によって演じる役者側も変わる部分がありますから。ただドンビもウニョンも共通して迫り来る危機に気づかない傾向があるので“鈍感なキャラクター”という点では似ていると思います(笑)

―ドラマ序盤に、いつも言葉の最後を「~じゃないですか?」のように終えるウニョン独特の話し方が話題になった。

ハン・グル:初めの頃はウニョンの言葉づかいをどんな風にしたらいいだろうかと非常に悩みました。そこで、いたずら半分で仲の良いお姉さんたちに向かってその言葉づかいを練習しました。その言葉づかいで話すことが面白くなってきたのに、ミンスと付き合ってからはもうその言葉づかいを使わなくなってしまったので残念です。最近は愛嬌たっぷりの姿が描かれていますが、実は私自身はそれをぎこちなく感じています(笑)

―実際に恋愛する時は愛嬌のないタイプなのか?

ハン・グル:うーん、恋愛する時は慎み深く保守的なタイプです(笑) ですがキャラクターが私を変化させているようです。愛嬌を振りまくキャラクターを演じているうちに、実際の自分も少し愛嬌を振りまくように変わりましたし、理想のタイプも変わりました。以前は無口な人がタイプでしたが、今は優しくて多情多感な人が好きです。

―今ちょうどドラマの中盤を過ぎた。後半ではミンスとウニョンの関係に大きな変化が起こりそうだが。

ハン・グル:ストーリーの進み具合が思っていたよりとても早いです。監督から「今後泣くことが多くなるからウォータープルーフのメイクをして来て」と言われました。悲しみに暮れるキャラクターを演じなければならないことはプレッシャーです。ですが、視聴率が非常に高いわけではないですが幸いにも徐々に上昇していますし、特に周りから「楽しんで見ているよ」という話をよく聞くことが嬉しいです。以前は私を見ると「あの人、誰だっけ?」とおっしゃる方が多かったですが、今は多くの人が私に気づいてくださいます。

―個人的にはどんなエンディングを望んでいるのか?

ハン・グル:二人が結ばれたら良いなとは思っていますが……実は考えが二つに分かれています。愛だけを考えればハッピーエンドを望みますが、一方で家族のことを考えると「傷つくのは私一人だけでいい。皆を一生苦しめることはできない」とも思います。撮影現場で撮影する時は本当に幸せですが、放送を見たら「ああ、二人は結ばれてはいけないな」と思いますし、現実的に考えても不可能だと思います。ですが、もし二人が結ばれるとしたら、どんな風に苦難を乗り越えるのか気になります。

―結婚について改めて考えさせられるほど、この作品には様々な内容が盛り込まれている。

ハン・グル:もしも私が結婚せず独身で暮らすことになったら、ハ・ミョンヒ脚本家の隣の家に住むつもりです。私が結婚についてこんなに悩むようにさせた張本人ですから(笑) 幼い頃は結婚に対する幻想がとても大きく、25歳になる前に早く結婚したいと思っていましたが、「私たち結婚できるかな?」に出演してからは「やはり結婚は30代にしよう」と考えが変わり、最近では一人で暮らすのも悪くないなと思うようになりました。どんな人が良い結婚相手なのか、だんだん分からなくなっています。

―何故そう思うようになったのか?

ハン・グル:ドラマの中の人物たちを見ていると、ジェハク(チ・ジニ)はとても完璧な男性なのに不倫をしていますし、ソンス(イ・サンウ)も素敵な男性ですが醜い面を見せるじゃないですか。ああ、もう恋愛さえ出来ないかもしれません。

―スマートで独立して見えるイメージがドラマの中のウニョンとよく似ている。

ハン・グル:学生時代にアメリカと中国に一人で留学し、一人で生きていく方法をたくさん身につけることができたので何事も人に頼らず、自分で解決する習慣が自然と身に付きました。私の両親も何かをしてくれるよりは自らやるように放っておくタイプです。ですからドラマの中の母親役コ・ドゥシム先輩と共演する時、「脚本家が我が家を覗いたのだろうか?」と思うほど家の雰囲気と似ています。意外かもしれませんが私は母親に対して無愛想ですし、よく口喧嘩をします。もし私が女優ではなく会社員だったらウニョンのような人物になっていただろうと思います。もしくは警官や海女にでもなっていたでしょうか。

―海女になりたかったのか?

ハン・グル:幼い頃、アワビが大好きで海女になりたいと思っていました。だから水泳も習いました。ですが、ディズニーのアニメ映画に夢中になってからは演技がしたくなりました。

―しかし、最初は芸能界に歌手としてデビューした。

ハン・グル:本当は女優になることが夢でしたが、所属事務所が最初は歌手として私をデビューさせたのです。今考えてみると恥ずかしい部分も多いです。ダンスは好きだったのでかなり長い期間のダンス経験がありましたが、歌は事務所に入ってから初めてレッスンを受けました。まだ実力が足りない状態でデビューしたので自分でもとても恥ずかったですし、心残りが大きかったです。歌手活動については時間を見つけて地道にボーカルレッスンを受け、いつかチャンスが与えられたらまた挑戦するかもしれませんが、当分の間は歌手活動をする予定はありません。

―今までの作品を見ると20代前半という自身の実年齢よりも年上になる20代後半のキャラクターを主に演じているが、それについて不満はないのか?

ハン・グル:毎回、私の実年齢より年上のキャラクターを演じています。実は、学生役のオーディションもたくさん受けたのですが、全て落ちてしまいました。このままでは30代になる前に自分と同世代の役を一度も演じることが出来ないかもしれないという不安もありますが、アイドル歌手出身の役者たちとはキャラクターが被らないというメリットもあります(笑) キム・スミ先輩が若い頃から“イリョンの母親”(キム・スミは韓国の長寿ドラマで若い頃からお婆さんの役を演じていた)の役をしたように、私もその方向に進んでみようかな。ハハ。

―新年の願いは?

ハン・グル:私はデビューから約2年間、休まずに活動を続けてきました。忙しくなればなるほど楽しんで働いてきましたが、今年は仕事やプライベートでも演技以外に自分が幸せになれることに挑戦したいです。「温かい一言」が終わったら、旅行に行けたらいいなと思っています。

記者 : チャン・ソユン、写真 : ク・ヘジョン、翻訳 : ナ・ウンジョン