「怪しい彼女」シム・ウンギョン、大先輩に悪態…“本当に申し訳ない気持ちでした”

OhmyStar |

映画「怪しい彼女」で主演を務めた女優シム・ウンギョンが好評を博している。シム・ウンギョンは、まるで70代のナ・ムニになったかのように悪態をついたり、ストレートな物言いを自在に操ることはもちろん、仕草の一つ一つからもお年寄りのような感じを漂わせたためだ。そして40歳も離れた大先輩のパク・インファンとも息ぴったりの堂々とした演技を見せ、“シム・ウンギョンの発見”という評価が出るのもおかしくはない。

シム・ウンギョンは最近「Ohmystar」とのインタビューで「記者の方々から好評を頂いておりますが、映画公開後の観客の評価もとても気になります」と、同年代の女の子よりも成熟した姿で自身が出演した映画の評価を心配していた。

「ナ・ムニ先輩をできる限り参考にしたことが本当に役立ちました。先輩が撮影したシーンを毎日受け取って研究し、基本的な言葉遣いから仕草までしっかり観察しました。ですが似過ぎるとナ・ムニ先輩をただ真似るだけになってしまいます。オ・マルスン(ナ・ムニ)の若い頃のオ・ドゥリ(シム・ウンギョン)の姿で20代の感性も表現する必要があると思いました。そこで、ナ・ムニ先輩の特定の部分だけを真似て、そこに自分の色をつけて今のキャラクターを完成させました」

大先輩を相手に悪態をつき、40歳という年の差を克服した

「怪しい彼女」は口の悪い70歳のいじわる婆さんオ・マルスンが「青春写真館」で写真を撮った後20代に戻ったことから展開されるエピソードを描いた作品だ。シム・ウンギョンは20代に戻ったオ・ドゥリ役を演じた。オ・マルスンを一途に愛するパク役を演じたパク・インファンとの相性も見所だ。シム・ウンギョンとパク・インファンの2人の会話は観客を笑いの渦に巻き込む。

「私がパク・インファン先輩に対して生意気な態度を取るシーンもあり、先輩方を叩くシーンもたくさんありますが、先輩方はそういった部分にとても寛大でした。『本当に申し訳ありません』と思いながら演じましたが、先輩が『2人の息が合わなければ映画の中で感情がよく表れない』とおっしゃってくださり、『もっと叩け』と言って私を仰ぎました。先輩がそうおっしゃってくださらなかったら難しかったと思いますが、優しくしてくださったおかげで自然な演技ができたと思います。先輩の話を遮り、顔や背中を叩くシーンも撮りましたが、映画では編集されていました」

これに先立ち、シム・ウンギョンは映画「サニー 永遠の仲間たち」「王になった男」などの作品でも自身の存在を観客にしっかりと刻んだ。しかし今回の「怪しい彼女」のように、映画の最初から最後まで物語をリードしたことは初めてである。

「この作品での役は、私の年齢で出来る最も大きな役だと思います。今でないとできない役なので意義深いですし、一生懸命撮影に取り組みました」

映画「怪しい彼女」は、「マイ・ファーザー」や「トガニ 幼き瞳の告発」の脚本と演出を務めたファン・ドンヒョク監督の新作だ。「怪しい彼女」のキャスティングの際、最初からシム・ウンギョンを念頭に置いていたのだろうか、その裏側が気になった。

「最初は私の年齢よりも年上の女優を想定されていたそうです。ですが、脚色しながらふと『シム・ウンギョンという女優が演じたら面白いだろうな』と思い、私を想定しながら作業されたそうです。そうしたところ、最初のシナリオよりも脚色してからの方が活き活きしたシーンもあったそうです」

激しい思春期を経験した留学生活…演技が恋しかった

シム・ウンギョンとファン・ドンヒョク監督は、今でも会うと方言を使って話すという。撮影に入る前、方言に慣れるために始めたことだが、撮影が終わってからもその口調に慣れてしまったという。

「私は監督のことを“感動をくれる方”という意味で“カンドンニム”(感動様)と呼んでいます。カンドンニムと話す時は常に方言で話します。“お婆さん的”な習慣をつけるために方言で話そうと努め、それが習慣になりました。今はむしろ標準語で話すことに違和感があります。

『カンドンニム、何をしてはるんですか?』『他のカンドンニムや役者たちはお互いを褒め合ったりしてんのに、カンドンニムとうちら役者の関係はもう駄目になったやないですか』『カンドンニム、何ちゅうファッションセンスをしてはるの。東大門(トンデムン)に行くんはもう止めといてください』こんな風に私は話をしています。そしてカンドンニムは『ウンギョン、お前は常に他人を踏んでその上に立つべきや。それがホンマの勝者や。自分のアピールは自分でせなあかん』とおっしゃいます。お互いに冗談を言い合える本当に友人のようなカンドンニムです(笑)」

「怪しい彼女」はシム・ウンギョン個人にとっても非常に有り難く、意義深い作品だ。シム・ウンギョンが初めて子役ではない大人の役を演じた映画でもあり、3年間のアメリカ留学期間中に経験したスランプを回復させてくれた作品でもある。シム・ウンギョンは2011年に映画「サニー 永遠の仲間たち」を終え、米ピッツバーグにある高校に留学し、その後ニューヨークにあるProfessional Children's Schoolに転校して卒業した。そこは芸術方面の仕事がしたい青少年のための学校だ。

「留学生活で良いこともありましたが、大変なこともありました。アメリカの友人たちとのコミュニケーションに限界を感じ、それがとても心残りでしたし大変でした。海外での生活は簡単なことではありませんでした。母国でないので繊細になってしまう部分もあり、何をどうすれば良いのか分からず、留学生活の間は激しい思春期を経験しました。

当時はとても萎縮していました。演技をしていなかったので自分が役者だということもどんどん薄れていきました。『戻ってからまた演技ができるだろうか』と、ネガティブな考えもしました。ですが、いざ韓国に帰国して『怪しい彼女』の撮影に取り組むうちに、そのような試練も必ずしも悪くはないなと思うようになりました。いずれ経験することを留学時代に経験したのだと思います。『怪しい彼女』に出演して演技をしているだけで私は幸せなんだと思いました」

シム・ウンギョンは是非「怪しい彼女」を見てもらいたい人物として「サニー 永遠の仲間たち」のキム・ヒョンチョル監督を挙げた。

「カン・ヒョンチョル監督にこの映画を見て頂きたかったです。音楽の好みも似ていますし監督とは留学に行く前、よくお会いしていました。私を可愛がってくださいます。今回の試写会にご招待したかったのですが、監督が『タチャ-神の手-』の制作でスケジュールが合わず、本当に残念でした。カン・ヒョンチョル監督に私が映画で主演を務め、さらに成長した姿をお見せしたかったです。後からでも是非この映画を見に来てくださればと思います」

記者 : チョ・ギョンイ