「おバカちゃん注意報」イム・ジュファン“ファンにとって頼もしい人間になりたい…仕事にも胸を張りたい”

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写真=イ・ソンファ

「コン・ジュンスは『おバカちゃん注意報』の中で一番自己中心的なキャラクターだ」

SBS毎日ドラマ(月~金に放送されるドラマ)「おバカちゃん注意報」(脚本:チョン・ジウ、演出:シン・ユンソプ、ミン・ヨンホン)が第133話で幕を下ろした後、イム・ジュファンは明るい笑顔で記者と向かい合った。昼夜を問わないドラマ撮影とハードスケジュールで疲れきっていても無理はないはずだが、彼は明るく振る舞った。

約7ヶ月間“優しい男”コン・ジュンスを演じてきたイム・ジュファン。優しいキャラクターでドラマをリードした彼だけに、特別な感情も持っているだろう。「おバカちゃん注意報」放送終了後の感想について聞くと、彼は「無事に終わって嬉しいし気分もすっきりしたが、それ以上に苦しい。僕のキャラクターが話したかったことや伝えたかった感情があったはずなのに、それを見逃してはいなかっただろうか、足りないものはなかっただろうかと考え込んでしまうから」と答えた。


「コン・ジュンスと実際の僕は違う」

イム・ジュファンは「おバカちゃん注意報」のコン・ジュンスを通して絶妙な“優しい男”のキャラクターを作り上げた。そのためにひたすら役作りのみに集中するなど、たくさんの努力を注いだのも事実だ。キャラクターのディテールを生かすためアイディアもたくさん出した。その甲斐あって視聴者たちはイム・ジュファンのことを“ヒーリングアイコン”と呼んで彼を称賛した。

「ある程度共感できるところもあったし、たくさんのことを理解できるようにもなった。だけど、脚本家の言う通りコン・ジュンスが一番自己中心的なキャラクターだと思う。彼は勝手な行動で周りの人々を苦しめた。コン・ジュンスによって全ての事件が起こり、そして解決された。簡単に言うと、一番利己的であるのに善良なふりをする偽善者キャラクターだ」

コン・ジュンスは、恥ずかしくて女性と一緒にいることができず、車にも乗れないなどの設定で純粋さを見せた。さらに、妹弟たちへの献身的な愛はお茶の間に感動を与えた。しかし、イム・ジュファンは自分の本当の性格はコン・ジュンスとは異なると強調した。

「実際の僕とコン・ジュンスは異なる。女性といられないような症状もない(笑) だから高校時代の友達からはドラマが放送される度に悪口が混ざったメールをもらったりもした。世間が僕に騙されていると言われたが、それには僕も共感する。でもコン・ジュンスを演じながらたくさんのことを学んだ。社会人になってから自分から先に両親に電話をしたことがほとんど無かったが、今は携帯電話の発信リストに両親と妹の番号が多くなった。それに暖かそうな靴や服があれば買って両親にプレゼントしている。そういうところが結構変わったと思う。両親も喜んでいるし、妹とももっと親しくなった。コン・ジュンスを演じてから良い人間になった」

イム・ジュファンは「おバカちゃん注意報」を自身の代表作として挙げている。「多くの方に愛され感謝している。でもそれはコン・ジュンスのファンである方がほとんどだと思う。だからイム・ジュファンという人物についてたくさん知れば驚くかも知れない。でもコン・ジュンスを演じたのは僕なので、僕に対する興味も持ってほしい」


「コン・ジュンスが死亡する結末を監督に提案した」

「おバカちゃん注意報」は4人の兄妹がお互いの傷を癒しながら成長していくホームドラマだ。最終回では3年が経過し、コン・ジュンス兄妹が楽しいひと時を過ごしているシーンでハッピーエンドを迎えた。イム・ジュファンも「おバカちゃん注意報」の結末を気に入っていると話した。

「結末に関していくつかの案があったが、僕の知る限り3番のカメラ監督が提案した結末が最終的に選ばれたと聞いている。満場一致でみんなが賛成した。実際、花びらが散る庭で遊ぶシーンは、僕も弟役のチェ・テジュンも妹役のカン・ビョルも悲しい感情を作る時によく思い出していたシーンだ。とても良い結末だったと思う」

しかし、イム・ジュファンは異なる結末も考えたという。それはコン・ジュンスが死ぬ結末だ。「実はコン・ジュンスが死亡する結末を望んでいた。斬新かもしれないが、コン・ジュンスは苦労ばかりの人生であっても幸せなキャラクターだった。遠くから妹や弟を見守るだけで幸せを感じるような、そんなキャラクターだ。コン・ジュンスが死んで、彼の臓器で他の人々の命が助かり、幸せな家庭を築くことこそが本当の『おバカちゃん注意報』だと考えた。だからドラマの中盤、後半あたりからこの話を監督に提案したが、反対された。主人公だから希望に満ちた結末でなければならないと言われた。その話には共感するが、コン・ジュンスが死亡することで多くの人がもっと幸せで温かくなったかもしれないと思う」


「カン・ビョル、チェ・テジュン、キム・ソリョンを見ると涙が出る」

イム・ジュファンはカン・ビョル、チェ・テジュン、キム・ソリョン、カン・ソラと「おバカちゃん注意報」を通して出会った。イム・ジュファンはカン・ビョル、チェ・テジュン、キム・ソリョンたちの精神的な支えとなる長男で、カン・ソラを愛する男性としてドラマをリードした。彼らと長い間撮影を共にし、親交も深まった。

「カン・ビョル、チェ・テジュン、キム・ソリョンとは実の兄弟のように過ごした。共演シーンも多いので親しくなった。そしてドラマの中の状況が悲しい内容のため、彼らの顔を見ると涙が出てきて大変だった。泣かなくてもいいシーンで泣いてしまうことも多かった。みんな若いし、呼吸が合ったのかもしれない。カン・ソラとはほとんど毎日一緒だったから自然にスキンシップができた。彼女はとても賢い友人だ。感情を素早くキャッチし、理解力も良い。僕はセリフを覚えるだけでも大変だったのに、彼女はセリフを覚え、2日で1冊ずつ小説も読めることが不思議でならない。良い役者と共演できたことも幸運だったと思う」

「おバカちゃん注意報」にはイ・スンジェ、チョン・ホジン、ソン・オクスクなどのベテラン役者たちも出演した。イム・ジュファンは彼らから多くを学んだと当時のことを思い出した。

「台本読み合わせの時間は僕にとって演技の授業のようだった。先輩たちが台本を解釈し、文章や文法など、様々なことについて教えて下さったからだ。何よりも、演技をしている先輩たちを見ているだけで勉強になった。何か言われるわけではないが、ただセリフのやりとりだけでもたくさん助けられた。ソン・オクスク先輩も様々なアドバイスをしてくれたし、キム・ハギュン先輩にも演技の面でたくさん助けられた」

高校時代から俳優を夢見ていたイム・ジュファンは、今回の作品でたくさんのことを学んだという。より良い俳優になるために真面目に考えることも多くなり、将来についても真剣に考えた。

「可能性のある俳優になりたい。『この役はイム・ジュファンには似合わないだろう』なんて言われたくないから。『イム・ジュファンはどんな服を着せても着こなせる』という言葉を聞いてみたい。そんな俳優になれるよう努力しているし、作品を選択する時もそのようなことに基づいて考えている。悪役はまだ経験がないので挑戦してみたい」

インタビュー中、笑い声が絶えなかった。思慮深く、思いやりのあるイム・ジュファンの話に自然とうなずけた。一生の職業として俳優を夢見るイム・ジュファンであるだけに、彼の今後の挑戦が楽しみだ。

「いつかもっと有名な俳優になった時、過去が全て明らかになると思うが、その時に恥ずかしくない俳優になりたい。イム・ジュファンという俳優のファンたちに肩身の狭い思いはさせたくない。ファンにとって頼もしい人間になりたいし、僕自身にも、仕事にも胸を張りたいと思う」

記者 : パク・グィイム