ポン・ジュノ監督「『殺人の追憶』を見て演出が本当にダサいと反省」…10周年特別フィルム上映イベントに出席

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写真=TVレポート DB、映画「殺人の追憶」スチール
「氷のように冷たいデジタル時代、フィルムで『殺人の追憶』を見ることになるとは……」

29日午後、ソウル麻浦(マポ)区上岩洞(サンアムドン)韓国映像資料院シネマテクKOFAで開催された「殺人の追憶」10周年特別上映「殺人の追憶、その10年の記憶」イベントではポン・ジュノ監督ならびに俳優のソン・ガンホ、キム・サンギョン、キム・レハ、ソン・ジェホ、ピョン・ヒボン、リュ・テホ、パク・ノシク、パク・ヘイル、チョン・インソンなどが出席した。

他にも制作会社のチャ・スンジェ代表、キム・ムリョンプロデューサー、当時演出部だった「建築学概論」のイ・ヨンジュ監督など、「殺人の追憶」スタッフおよび関係者80人と一般観客300人が参加した。この日のイベントはポン・ジュノ監督が自ら提案し、関係者を集めたことが知られている。

ポン・ジュノ監督は「このように再び集まったこと自体が嬉しい。時々ケーブルテレビで『殺人の追憶』が放送されるときがあるが、5分ぐらい見てチャンネルを変えてしまった。感じたのか分からないが、フィルムを交換するとき、なくなってしまうシーンもあるじゃないか。氷のように冷たいデジタル時代にフィルムで再び見ることが出来て、本当によかった」と10周年上映記念の感想を伝えた。

続いて「『演出が本当にダサいな』と反省もした。『殺人の追憶』は偉大な俳優たちの映画だ。いつも俳優たちに頼っていた記憶があるし、俳優たちの素晴らしいアイデアがシーンを輝かせていた」と謙遜した。

ソン・ガンホも「ここ10年間、テレビを通して数回見た。ポン監督には申し訳ない話だが、今日が一番よかった」と冗談を話し、「こんな傑作を作ってくれた監督、俳優仲間たちに感謝する」と話した。

キム・サンギョンは「(パク)ヘイルと少しこのような話をした。映写機でフィルムが回る音を聞いたと。『ニュー・シネマ・パラダイス』のエンディングを見ているような感覚だった」とフィルム上映に関する感想を明かし、パク・ヘイルも「フィルムで、映画館で、観客の皆さんと一緒に楽しめるとは思わなかった。鳥肌が立つほどだった」と胸いっぱいの感想を伝えた。

また、シン班長役のソン・ジェホは「当時はフィルム撮影だったので、NGを数回出すとフィルム代がかかった。最近はデジタル化して、むしろ俳優が大変になった。フィルム代がかからないので、何回も取り直すことになる」とし、ク班長役のピョン・ヒボンは「10年後、ここでもう一度見よう」と話し、観客の反応を引き出した。

“赤いパンツ”ことチョ・ビョンスン役のリュ・テホは「撮影当時もそうだったし、今も学校で学生に教えている。MT(メンバーシップトレーニング、仲間内で出かける小規模旅行)に行くときバスの中でこの映画が流れると、すぐ消すように言った。もう一度見ても赤いパンツは強烈だった」と話して会場を爆笑の渦に巻き込み、“ヒャンスギ”ことペク・グァンホ役のパク・ノシクも感謝を伝えた。

最後にポン・ジュノ監督の初演出作「白色人」から息を合わせてきたキム・レハは「もう10年だ。少し『殺人の追憶』を忘れて過ごした瞬間がある。このように大きなスクリーンで、フィルムでもう一度見ることになるとは想像もしなかった」と明かし、感動を伝えた。

俳優だけではなく、観客もこの日、それぞれにとっての「殺人の追憶」と10年間が持つ意味をかみ締め、「殺人の追憶」の主役と一つになる意味深い時間を過ごした。予定された開催時間を1時間を越えるほど観客の情熱的な質問が続いた。

ポン・ジュノ監督と俳優たちの言葉通り、「殺人の追憶」の上映はフィルムだけが持つ特有の魅力を感じることが出来た。フィルムを交換するとき、一部のカットが消えたり、音が止まったりするなど、デジタル時代では決して感じられない“フィルム時代”の空気に酔いしれた時間だった。

映画「殺人の追憶」は京畿道(キョンギド)華城(ファソン)で起きた連続殺人事件をもとにした作品で、作家キム・グァンリムの演劇「私を見に来て」を原作にしている。2003年4月に公開され、韓国で525万人の観客を動員し、ブームを巻き起こした。

記者 : キム・スジョン