【ドラマレビュー】Ara、SM役者に対する懸念を払拭した“理由のある一撃”

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写真=(C) CJ E&M

「応答せよ1994」のAra、ただ時を待っていただけだ

tvN「応答せよ1994」は必ず成功する。まず、面白い。構成もしっかりしている。このドラマには、何よりも役者たちの濃く、味わいのある演技力がある。あえて色眼鏡をかけて見るのであれば「応答せよ1997」の栄光を再現したいとの気持ちから出発した作品とも言える。しかし「応答せよ1994」は前作を乗り越える力を持つドラマだ。

1990年代の思い出を取り扱った点で、訛りが持つアナログ的感性を最大化したという点で「応答せよ」シリーズは同じ軌道に立っている。しかし「応答せよ1994」では、このすべての特徴をさらに具体的に、そして繊細に描いてある。前作で物足りなかった点が、3年前に遡ることにより充実に満たされた感じだ。かすかな思い出旅行はこの作品でこそ、しっかりしている。

わずか2話が放送されただけだというのに、今後のストーリーがとても気になる。物語の時点が現在になり、「ソン・ナジョン(Ara)の夫は誰だろうか」との質問が投げかけられた。バラエティ番組出身の制作スタッフらしく、最初から興味を誘発するポイントを上手くおさえた。好奇心を引き起こすプロット構成は、早くから完全な勝利を収めたようだ。

建物ひとつ、小道具ひとつまで1994年を再現することに心血を注いだ痕跡があちらこちらで見える。制作スタッフの努力に、役者たちの見事な演技が加わり、ドラマはさらに強固になった。主演俳優のAra、チョンウをはじめ、ソン・ドンイル、イ・イルファ、ユ・ヨンソク、キム・ソンギュン、ソン・ホジュンなどの自然な訛りは、何度繰り返して見ても文句のつけどころがない。

彼らの中で断然話題となっている俳優はAraだ。単純に演技力だけを見ると2~3番目に置かれるはずだが、彼女がもたらしたどんでん返しや周りの状況を総合すると「応答せよ1994」でもっとも重要な俳優だと思われる。この作品でAraは、それこそ驚きそのものだ。

Araは青少年ドラマ「四捨五入」でデビューし、キム・ヒエの娘として出演した「雪の花」を経て「どなたですか?」「No Limit~地面にヘディング~」などに出演した。役者としての経歴は10年を超えているが、これといった代表作はまだない。もちろん彼女はまだ24歳で若い。しかし、子役俳優にしては地味なキャリアで、代表作1本はあってもよさそうな歳でもある。

さらに彼女は韓国最高の芸能企画事務所のSMエンターテインメント所属の俳優だ。芸能界で最高のパワーを誇る会社を味方にしているため、一度は跳躍すると期待された。しかし、俳優としてのAraという名前3文字は、なかなか大衆に刻み込まれなかった。ある瞬間から彼女にはこういうレッテルが貼られた「押されても人気が出ないことを見ると、よほど実力がないんだな」と。

役者にとってSMという事務所は「最高」というプライドを与えるより、重い荷物のように感じられる時のほうが遥かに多かったはずだ。実はSMはアイドルグループを養成する専門事務所として有名になった。ある意味で役者たちは、トータルエンターテインメント会社を作るための道具に過ぎなかったかもしれない。

SM所属の俳優イ・ヨニが不自然な演技で苦労している時も、所属事務所が言及された。「会社が大きくてもしょうがないんだ」と言われ「いったい演技をどう教えたのか」との皮肉は急速に広がった。カンパニーパワーで大作ドラマに出演させても仕方がなかったという非難は、イ・ヨニにも、SMにも大きな汚名であった。

キム・ミンジョン、イ・ジェリョン、ユ・ホジョン、ユン・ダフンなど、数人のベテラン俳優たちがSMに所属しているが、彼らは会社の汚名とは関係ないほど、それぞれのキャリアがある。問題は、SMに新人として入り、SMで育てられ、SMの力で俳優の道を歩み始めた役者たちの、繰り返される試行錯誤だ。少女時代のメンバーたちをドラマに投入したが大きなヒットは果たせず、イ・ヨニもまだ見守らなければならない状態で、Araも潜在された可能性が見えるだけだった。

しかし「応答せよ1994」により状況が完全に変わった。慶尚南道(キョンサンナムド)晉州(チンジュ)市出身のAraにぴったりの訛りの演技でソン・ナジョンを演じ、今まで停滞していた状況を一転させたこと。とりあえず“Araの再発見”がもっとも意味のある収穫ではないだろうか。Araに俳優という呼称が許され、彼女の努力を激しく認める時間がついにやって来た。

そうしながらAraは「役者を持っているだけだった会社」という、所属事務所の汚名まで払拭した。これこそがAraが果たした最も大きなどんでん返しではないだろうか。彼女は時間を費やすだけの子役出身の古い役者ではなかった。時を待っていただけだ。ブルーチップがやっと力を発揮している。

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記者 : ウム・デソン