シム・ウンジン「波乱万丈だった熾烈な過去、無理して笑わない理由は…」

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「これからもっと熟していきましょう」

Baby V.O.Xのシム・ウンジンが女優シム・ウンジンになるまでに、彼女だけの熾烈さがあったが、人々はこのプロセスを比較的自然に受け入れた。歌手が女優に転向する過程でよく経験する演技力についての指摘や抵抗感もなかった。ただ、第1世代アイドルBaby V.O.Xのメンバーだったシム・ウンジンが見せる演技、そのキャラクターにだけに集中し、彼女を中傷する人は稀だった。

実は、シム・ウンジンはBaby V.O.Xとして活動していた当時、芸能人として活動しながらありとあらゆる悪口を言われたと言っても過言ではない。当時、妖精のようなガールズグループたちの間でいわゆる“気が強いキャラクター”で武装したセクシーさを見せていたために、女性からの密かな妬みや嫉みが続いたのである。

シム・ウンジンは最近、ソウル鍾路(チョンノ)区のカフェで行われたマイデイリーとのインタビューで、以前とは少し変わった女優として、また一人の人間として、一層成熟した様子を見せた。気さくで率直な魅力は変わらなかったが、彼女には間違いなく深みが増していた。

「無理して笑おうとはしません」

シム・ウンジンは現在、演劇「恋愛時代」で衛藤はる役を演じ、女性のさまざまな感情を表現している。離婚後も夫・早勢理一郎と会い、愛を前に葛藤する。新しい恋人の永冨、北島と付き合うが、混乱するばかりだ。そこに死産を経験したトラウマまであるため、演劇が終わると疲れ果てて酒でも飲みたくなる。

シム・ウンジンは「はるというこの女性はあまりにも息苦しいんです。気持ちを表にあらわせずに隠してしまう女性ならではの苦しさがあります。なぜか、すごくやりたいと思いました。むしろ、明るくて陽気で面白いものよりもずっと自信のある分野でした」と告白した。

「多くの人が私のことを『ボーイッシュでカリスマ性がある。気が強そうだ』と言いますが、普段の私は明るくてよく笑うけれど、深いところに闇があるような、多少鬱な部分がベースにある人間なんです。むしろ長い間私を見てきた知人は、私が笑って元気な姿を見せると涙が出るそうです。だから、私の息苦しさをミックスしてうまく表現すれば、はるというキャラクターを愛し、理解できる理由をうまく説明できるだろうと思って、あえて挑戦しました」

シム・ウンジンは、明るさと暗さを併せ持つだけに、現在の気持ちに逆らわない。「無理して笑おうとしない」という一言に、これまでの感情の変化が感じられるほどだ。幼い頃から人々の注目を浴びる芸能人として生きるということ。楽ではない人生だ。さらに、これを乗り越えて新たな挑戦を重ねているだけでも、十分にすごいと言える。そのためか、シム・ウンジンが10年間自身が経験した感情を、写真や絵、文章で表現した展示会では、涙を流す女性客が多かった。

「展示会で披露したものの中に、明るいものはあまりあまりません。憂鬱なことや悩みのようなものを写真や絵で表現しました。愛ではなく、生きていく人生に関することなので、むしろ共感できるようです。ですが、それらが私を助けてくれた部分もあるんです。これまで何度もスランプに陥ったし、嫌なこともありました。紆余曲折を経て、韓国で平凡ではない女性の人生に耐えなければならないということ自体が、幼い頃からとても辛かったんです。以前はそういうことに耐えるのは辛いことでした。『この道が正しいのだろうか』と何度も思ったし、普通に生きたかったんです」


「諦めなければならない人生から得たものもたくさんあります」

実は、シム・ウンジンのBaby V.O.Xとしての活動は、やや荒々しいものだった。当時、ファンとアンチファンが同時に存在し、若くしてこれを受け入れるのはかなり大変なことであり、普通、そのくらいの年齢であれば聞かなくてもいい言葉を耳にすることも多く、想像しがたい様々な出来事が彼女を苦しめた。しかし、彼女はそれを乗り越えたことでより一層成熟した。

シム・ウンジンは「以前は若くて未熟でした。17歳の頃から芸能界に入りましたが、一般の方々が思っているよりももっと、実際の芸能人の生活は大変です。テレビで話すことが全てのように見えますが、半分も語っていないんです」としながら、「でも、普通のことを諦めなければならない人生から得たものもたくさんありました。自分の人生なので自然と受け入れられました。それまでは、何とか克服しようともがいていましたが、今は受け入れています。これからが長いんです。もっと練習して成長していかなければならないと思っています」と語った。

シム・ウンジンは、ただ生きていたら自然に多くのことを悟ったと語った。あえて克服しようとせずに、慣れながら手順を受け入れて過ごした。過去に先輩たちがくれた忠告と助言が今になって身にしみて感じるようになり、その前に轍を踏んでいると思うこの頃だ。「あの時に分かっていたら、もっと成長できたかもしれません。当時は子供心に小言のように感じていたのですが……」と話しながらも、現在の人生そのままを受け入れている。

「経験は無視できないものです。いずれにせよ手順があり、あえて逆らう必要もありません。私は芸能人として生きているので、創造して、責任意識を持っていればいいと考えます。欲張りすぎて熱意に燃えるあまりに、自分に合っていない服を着るのも残念なことです。自分が今できることに対する正確な責任意識を持って適切に行えば、人々に『よく分からない』と言われても、それは私にとって大きな打撃にはならず、私の人生にとって貴重なものになるでしょう」


「波乱に満ちた過去、よく乗り越えてきました」

続いてシム・ウンジンは、Baby V.O.X時代を回想した。芸能人たちが、オンライン上の悪質な書き込みではなく、オフラインで直接攻撃を受けた時代だ。彼女は約8年間、一つの時代といっても過言ではないほどの長い時間をBaby V.O.Xとして活動し、しっかりと経験を積んだ。

シム・ウンジンは「本当に波乱万丈でした。全てのスタッフと歌手が皆認めたほど、私たちのグループはとてもひどかったです。それを皆で8年間耐えてきたので、さらに強い絆で結ばれました。若い頃にそういったことを経験したので、若年寄りにならざるを得ないんです。自然と瞬発力が早くなりました」と話した。

「今も全員がそれぞれの活動をしていますが、お互いを心配しない理由は、大体の試練は既に経験済みだからです。以前アンチファンから攻撃されながらもそれに耐えてきので、今になって耐えられないことはないはずです。私たちは女戦士のようです。ハードなトレーニングを受けた兵士たちのように、大したことでは傷つきません。軟弱なんて、私たちのスタイルじゃありませんから」

シム・ウンジンが出演する演劇「恋愛時代」は、愛し合って出会った二人が別れた後もお互いに対する切ない感情を大切にするという、別れてから始まる奇妙な恋愛を描いた作品だ。シム・ウンジンをはじめファン・イニョン、ソン・ジユン、チョ・ヨンギュ、キム・ジェボム、イ・シンソン、イ・ウォン、チェ・ドンヒョン、ソ・ジョンファ、イ・スジン、ユン・ギョンホ、ファン・ミヨンが出演する。

「恋愛時代」は12月29日まで、ソウル鍾路(チョンノ)区大学路(テハンノ)の自由劇場で公演される。

記者 : ホ・ソルヒ、写真 : クァク・ギョンフン