Vol.3 ― 【TVキャラクターアワード】お茶の間を恐怖に陥れた4人の残酷な悪役たち

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写真=各ドラマスクリーンショット

「TVレポートキャラクターアワード99」は、ここ1年間に韓国で放送されたドラマを通して、最も印象的なキャラクター99名を選定し授賞するイベントで、毎年9月に発表する。

最近、ドラマの人気の尺度は悪役にかかっていると言っても過言ではない。見るだけで肝を冷やしたり、同情心と怒りが同時に湧くような存在感のある悪役は、優しい主人公たちに劣らないほどの人気と話題を博し視聴者の視線を集めている。このような注目度からして、悪役がドラマの花と呼ばれても遜色がないと言えるだろう。

芸能専門メディアTVレポートは、創立9周年を迎え、ここ1年間(2012年7月~2013年7月)韓国で放送されたドラマの中から最も印象的だったキャラクターを選定し、1~99位にランク付けした。ここ1年間でドラマに登場した悪役のうち、堂々と“悪役の中の悪役”に選ばれた役はどんなキャラクターなのか。「キャラクターアワード」で選ばれた悪役キャラクターたちの魅力についてまとめた。

◆「君の声が聞こえる」ミン・ジュングク“パロディーまで登場させた最高に人気の悪役”

SBS「君の声が聞こえる」でもっとも恩恵を受けた人物は誰かという質問に大多数の人は悪役のミン・ジュングクを演じたチョン・ウンインを挙げるだろう。「殺すぞ」という流行語を生みだし、各種パロディーの主役に浮上したミン・ジュングクは、ドラマで最高の人気キャラクターになった。

年上年下カップルの甘い恋愛と法廷スリラー、ファンタジー要素が混ざったこのドラマで、悪人ミン・ジュングクは連続殺人鬼の恐ろしい面を温厚な顔の背後に隠して登場し、物語の緊張感溢れる雰囲気をリードした。血も涙もない殺人鬼として視聴者をぞっとさせたが、最後には殺人鬼の道を選んだことに対し後悔する姿を見せ、ドラマに深い余韻を残す役割をはたした。

人間の弱さと残酷さを同時に表現した意味のある悪役としてランク内に選ばれるだけの価値は十分にあった。特に、まるでミン・ジュングクが憑依したかのようなチョン・ウンインの繊細な演技は“キャラクターに翼をつけた”と評価された。

◆「野王」チュ・ダヘ“お茶の間から非難の声が殺到する酷い悪女”

ドラマの悪役を語る時に欠かせないのがSBS「野王」の悪女チュ・ダヘ(スエ)だ。悪い面だけが強調され、同情心を感じさせないキャラクターであったため、深い印象を残した。
野望に向かって走る悪女の物語は多いが、大統領夫人にまでのし上がるチュ・ダヘは最初からレベルが違った。養父を殺害した罪を隠蔽し、自身のために体まで売りながら献身的にサポートしてくれた夫ハリュ(クォン・サンウ)を裏切った。それだけでは収まらず、養父殺害の濡れ衣を夫に着せた上、彼を殺そうとした。財閥の男性に出会い過去を隠して結婚したが、その夫も死に至らしめる。娘の死を前にしても彼女の母性愛はそれほど感じられなかった。

あまりに非人道的なキャラクターに視聴者たちから非難の声が殺到した。この死をもたらす悪女、チュ・ダヘを評価すると、視聴者からの共感をまったく得ることができなかったため、失敗例の悪女キャラクターだと思われる。しかし人間味がなく鬼のように描かれたおかげで“チュ・ダヘ”の名は視聴者の記憶に深く刻まれた。特に悪女チュ・ダヘを熱演したスエの奮闘は一見の価値がある。

◆「百年の遺産」パン・ヨンジャ“理不尽な姑の最高峰”

大きな人気を博したMBC「百年の遺産」のパン・ヨンジャ(パク・ウォンスク)は、鬼より怖いと言われる“シーワールド(生活全般に口を出す夫の実家)”の恐怖を十分なほど披露し、理不尽な姑の最高峰となった。嫁に毒を吐き、嫁入り道具のことで難色を示す姑は、理不尽で嫁が相手にならないほど姑の権力を振りかざし、悪役の中の悪役として選ばれた。

彼女は気に入らないという理由で何の問題もない嫁を精神病院に監禁し、暴行を加えるのはもちろん、男性関係が複雑だとこじつけて悪行を繰り返し視聴者の嫌われ者になった。それだけではない。財閥の娘である新しい嫁には色々機嫌を取ろうとしたものの、彼女が婚外子であることが判明すると詐欺師扱いし、手のひらを返したように態度が豹変して俗物な姑の典型を見せてくれた。印象的だったのは、理不尽極まりない悪役であるにもかかわらず、パク・ウォンスクのリアルな演技に引き込まれるような形でドラマの人気をけん引した点だ。

◆「九家の書」チョ・グァヌン“残忍でぞっとする朝鮮時代の冷血漢”

MBC「九家の書」のチョ・グァヌン(イ・ソンジェ)もまた視聴者をひやりとさせた代表的な悪役キャラクターだ。チョ・グァヌンはお金と権力のためなら、どんなことでもする極悪人で、数多くの人々を殺めて朝鮮時代の絶対悪として浮上した。

チョ・グァヌンの悪行の数々は数えれないほど多い。友人の娘イ・ソファ(イ・ヨニ)を手に入れるため、友人に謀反の濡れ衣を着せて殺害したり、ソファが逃げると彼女の弟を殺害し、遺体をぶら下げるという猟奇的な行動までとった。パク・チョンジョ(イ・ユビ)の父を殺害し、自身の孫くらいの年であるチョンジョを官妓(朝鮮時代の官庁所属の芸者)にし、最終的には純潔を奪うなど、ほしいものを手に入れるためなら殺人も辞さない残忍な姿を見せた。血も涙もない朝鮮時代の最強の冷血漢キャラクターがここに誕生した。

俳優イ・ソンジェは卑劣で冷たい表情と不気味な眼差しの悪人チョ・グァヌンを完璧に表現し、貫録ある俳優であることを証明した。これに関しイ・ソンジェはある番組で、チョ・グァヌンを演じている間、ドラマと現実のギャップに精神的ストレスを感じていたと打ち明けた。

記者 : ハ・スナ