「ダンシング9」“ダンスマスター”神話 ミヌ&イ・ヨンウ:SPECIAL INTERVIEW

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最近の若者には信じられないことだと思うが、1970年代後半になるまで、韓国でダンスの上手な男性を見つけることは、砂浜で針を探すように難しいことだった。儒教文化が残っていたせいか、男性が踊ることは、一家の恥だと思われていた。踊るとしても、酔った勢いで踊る狂乱の“軍人たちの踊り”ぐらいだろうか。そうでなければ、いわゆる“ホスト”だけが行うものだったダンス。大衆的な人気の歌手たちもほとんどが特に動くことなく、たまに手でジェスチャーをしながら歌うだけだった。エルビス・プレスリーに似たダンスを披露した「あなたと一緒に」のナム・ジンは例外だったが。

しかし、1980年代に入り、ディスコブームに伴い「UCDC」という大学のダンスサークルが作られ、やっと踊る男性たちが雨後の筍のように登場したが、ジョン・トラボルタのように踊る男子学生たちを不思議な目で見ていたことを覚えている。あれから、30年近くの時が流れ、2013年、Mnetダンスサバイバル「ダンシング9」の幕が開いた。クラシックからストリートダンスまで、こんなにもダンスの上手な男性たちが増えたとは。感無量である。K-POPダンスと現代舞踊、それぞれ違うジャンルでトップを争うRed Wingsチームのダンスマスターである神話(SHINHWA)のミヌと、Blue Eyeチームのマスターイ・ヨンウとインタビューを行った。

(インタビューは生放送の前に行われた。脱落者が出たRed Wingsのミヌから送られてきた残念な気持ちを伝える感想をインタビューの最後に付け加える)

参加者:ミヌ、イ・ヨンウ、コラムニスト チョン・ソクヒ

―マスコミがダンスにこれだけ興味を示したのは初めてです。お二方にとっては特に感慨深いことだと思いますが。

ミヌ:やっと僕のための番組が登場したと思いました。切実に待っていたことでもあったので、嬉しかったです。

イ・ヨンウ:舞踊はまだ大衆化されていなかったじゃないですか。この放送後は公演を見に行きたいという人が出てくると思い、迷わず参加しました。

―驚きました。これほどダンスの上手な人が多いとは知りませんでした!しかし、ダンスにも学校や派閥がありますよね?「ダンシング9」もそのような影響を受けていますか?

イ・ヨンウ:かなり受けます。海外ではまず、人々が理解できる観点で作品を作ります。しかし、おかしなことに韓国では排他的な面があり、芸術的にしなければならないと思っています。僕が演技を始めた理由は、学ぶためでした。そうすると、人々にダンスをもっと上手に伝えられそうな気がしたからです。この放送が排他的な一部の舞踊関係者の方々の考え方を改めるきっかけになればと思います。それでも頑固な方はそのままだと思いますが、神話のコンサートはお金を払ってでも行きたがる公演でしょう?

―さらにはチケット販売開始から僅か数分で売り切れになります。現代舞踊の公演は、周りの人がチケットを買ってあげなければなりませんし。

イ・ヨンウ:ミュージカルにも出演したことがありますが、演出家の方から前もって言い聞かされました。拍手をもらえない可能性もあるから慌てるなと。ミュージカルはチケットを直接購入して見に来るじゃないですか。実際、初回からしばらくの間は、ほとんど拍手をもらえませんでした。これが僕の現実なんだと思いました。しかし、骨身を削る努力をしたら、努力した分だけ拍手をくれました。

―よそのチームに奪われてしまい、惜しかった参加者もいますよね?

ミヌ:僕はハン・ソンチョンさんです。おそらく逆にやられたと思われているのがイ・ソンテさんだと思います。後から見るとイ・ヨンウさんがストップウォッチを持っていました。“メンブン”(メンタル崩壊)になりました。ストップウォッチを使っていいと前もって言ってくれれば良かったのに!我々のチームはポッピンJさんが時計の針を見ながらやりました。

イ・ヨンウ:いざチームが決められてから改めて考えてみると、良かったと思います。Blue Eyeチームは個性あふれる人が多く、Red Wingsチームは平均的な実力が高いほうです。Red Wingsはマスターがしっかりしています。僕はキャラクターがあり、ダンスの実力もある程度持っていて、うまく調和しそうな人を選びました。Red Wingsは団結力が強いですが、自らをMVP候補だと思われる方々が見えます。しかし、Blue Eyeはいつも笑ってばかりいます。個人MVPも重要だと言ってあげたいです。

ミヌ:本当に悩みすぎて死ぬかと思いました(笑) マスターの役割は、メンバーを選抜してチームを組むことだからです。僕のチームのマスターたちは実力にこだわっていましたが、僕はキャラクターに重点を置きます。正直キム・ソルヒさんもほしかったです。しかし、僕の主張ばかり押し通すわけにはいけませんから。

―オーディション番組はマスターの魅力も重要です。SBS「K-POPスター」の成功にもBoAさんが大いに貢献されましたが、ご存知ですよね?

ミヌ:キャラクターを作ろうとは思っていません。指摘するときは指摘して、褒めるときは褒めるようにしています。チームの中で誰を脱落させたいのか、誰が一番できなかったのかと質問されるじゃないですか。しかし、それはちょっと違うと思い、僕が途中で切りました。そう言える立場の人は僕しかいないと思ったのです。

―その部分は気に入りました(笑) すべてのオーディション番組で出てくる質問ですが酷すぎます。

イ・ヨンウ:実は、僕は周りからたくさん指摘されました。言葉数が少なすぎると。今までは、どう選抜して、割合をどうするかなど、構成のことばかりに集中していました。生放送のときからは、徐々に話すようにしてみたいと思います。

―いくら舞台が良くても、カメラがそれを映せなかったらお終いです。今までは良かったでしょう?

ミヌ:複数のカメラが同時に撮影して編集した映像だからです。収録なら編集できますが、生放送はどうなるか分かりません。フルショットで撮って綺麗なダンスがあれば、上半身アップで綺麗なダンスもあると思いますので。僕はカメラより、チームのメンバーたちが生放送でミスをしないかと心配になります。また、怪我でもしたら大変なことになります。

―イ・ヨンウさんが現代舞踊を専攻していたことを知らない人が多かったです。

ミヌ:僕もイ・ヨンウさんと初めて会った時「何故役者さんがここにいるんだろう?」と思いました。このオーディションは演技力も見るのかなと思いました(笑)

―昔はそういう人材が少なかったですが、今回見てみると上手な方が本当に多かったです。

イ・ヨンウ:運が良かったです(笑) 僕が演技を学ぶと決めたとき、反応がかなり良くありませんでした。僕は様々な表現を学びたかっただけなのに。今回の参加者のうち、現代舞踊専攻者が何人かいますが、最初の頃はずっと深刻な表情をしていて、まるで怒っているようでした。今回、多くのことを学んだと思います。

―この番組が成功するかどうかがとても重要です。ダンスに対する人々の関心の起爆剤になるかもしれないでしょう?

ミヌ:そうです。今は足踏みの段階です。歌に対する渇望でオーディション番組が今まで成功してきたと思います。しかし、ダンスへの渇きはさらに強いと思っています。第一歩なのでしっかりと踏み出すことを目標にして公平な競争を行い、その中で、何かドラマが起きてほしいなと思っています。

―惜しい脱落者は誰ですか?

ミヌ:米国での訓練で脱落したBlue Eyeチームのイ・インスさんです。僕が好きなキャラクターでダンス、性格、個性、全てが気に入りました。怪我が若干あって、疲れていくのが分かりました。最後まで一生懸命だったので、実は僕としては合格させたかったのですが、惜しかったです。

イ・ヨンウ:振り付けが上手く、演出力があったので連れて行きたかったのですが、他のマスターたちがその日の公演を見て全員が疑問を抱きました。僕ばかりが主張するわけにはいかなかったので。本当に惜しかったのは、キム・ブンソンさんです。

―私もキム・ブンソンさんです。他の公演でも見たことがありますが、渾身の力を込める、目に入ってくるダンサーでした。大邱(テグ)市立舞踊団を世に知らせるチャンスでもあるのに、何故諦めたのでしょうか。

ミヌ:僕も説得してみようとしましたが、合格できたら頑張れるのかという質問に「どうでしょう」と言いました。そこでパク・ジウさんが、あのような心構えでは駄目だとして、残念でしたが仕方がありませんでした。

イ・ヨンウ:僕は本当にいろいろと想像しました。「もしかしてパートナーに洗脳されたのでは?」といったとんでもないことまで考えましたから。僕のチームではキム・ヘランさんです。あの方がインタビューで、教えることだけで個人トレーニングをしないので、受け入れることが遅いとしました。何か悟らせることができたと思います。この放送の良いところは、学べることがあるということです。ダンサーにもマスターにも。

ミヌ:そういえば、ムン・イェシンさんも残念でした。怪我をしたソン・ビョンヒョンさんもそうです。あれだけ重い怪我を負ったまま15秒間踊ったこと、本当にびっくりしませんか? 惜しかった脱落者は本当にたくさんいます。

―ええ、ソン・ビョンヒョンさんが怪我をしてから、ソ・ムンジョンさんが自身の結果は気にせずに、ソン・ビョンヒョンさんの心配ばかりしていたことを思い出します。そして私は韓国舞踊専攻のキム・ヘソンさんの脱落も惜しかったです。その方にしか出せない、何かがあったからです。

ミヌ:僕も放送を見てかなり後悔しました。最後まで連れて行けば良かったのにと。実は、健康の面が心配でした。生放送だと大変なのではないかと思いまして、視聴者を心配させたくなかったんです。もし、惜しかった方が次のシーズンにまた出演されたら、必ず一緒に行きます。一緒に行かなきゃ!(笑)

イ・ヨンウ:今回、顔色を伺う方が多かったそうです。ポッピングダンスのほうは、まったく出場がなかったと言っても過言ではありませんし、舞踊の方も、教授に何か言われるのではないかと心配で出られなかったそうです。僕らの学校(韓国芸術総合学校)は開放的なほうですが、ハン・ソンチョンさんの学校は厳しいほうです。しかし、舞踊の方々が30年、40年やっても自分を知らせるチャンスはほとんどありませんが、ハン・ソンチョンさんのことは、もう知っている人が多くなったじゃないですか。

―現代舞踊の魅力が初めて分かったと言う方が多かったです。スターの誕生ということが重要ですね。フィギュアスケートのキム・ヨナ選手や水泳のパク・テファン選手を見ると分かります。二人のスターのおかげでフィギュアスケートと水泳の位置づけがだいぶ変わりました。スターを生み出せなかった人たちが、弟子たちの未来を妨げているのは、時代錯誤です。

イ・ヨンウ:数年前から大衆文化を変えたいと思っていました。僕には力がありません。ただ頑張っているだけなのに、何かをすると横で異端だと言われます。金儲けのために演技をするとか、スターになろうとしているなどとよく言われました。僕は誰よりもたくさん努力をしたし、勉強も頑張りました。CMに出演し、写真を撮りながら学び、歌手や役者に会ってまた学びました。舞踊先進国に追いつくには30年どころか、永遠に追いつけないとも思いましたが「ダンシング9」が始まってからは、一夜にしてスターになれるものだなと思いました。初回の放送から現代舞踊に対する意見をいただき、問い合わせの電話も来ます。僕はこの番組に本当に感謝しています。

ミヌ:時代が変わり、それによって流行も世の中の流れも変わりました。時代が変わったので、別の観点から見る必要があるでしょう。1回目の放送の時は神話のアジアツアー中だったので、中国にいました。リアルタイムで視聴することができず、メンバーであるエリックさんのノートパソコンを借りて一緒に部屋で見ました。エリックさんは一般人の立場から見るじゃないですか。エリックさんに面白いから次の放送を早く見せろとせかされました(笑) 良かったです。2回、3回目の放送を見て、ソ・ムンジョンさんのファンになったりもしました。ダンススポーツも魅力があるし、現代舞踊もしてみたいです。リュ・ジヌクさんは僕と体の条件が似ており、魅了されました。

―MBC「dancing with the stars」がシーズン3まで続いて終了しましたが、芸能人に集中したのでスターを生み出せませんでした。ムン・ヒジュンさんのパートナーだったアン・ヘサンさんだけが記憶に残ります。人それぞれ声が違うように、ダンスもその人ならではの感じ、癖があるでしょう? しかし、キム・ホンインさんは、デュエットのミッションですぐに消えてしまいました。

イ・ヨンウ:アン・ヘサンさん、あの方にはスター性がありました。キム・ホンインさんは本当に秀でている人というべきでしょうか、驚きました。若い年齢であれだけ上手いとは、表現も本当に良かったです。

ミヌ:今回、たくさん刺激を受けました。キム・ホンイン、キム・ブンソンさんのデュエットを見ながら、僕もキム・ブンソンさんを持ち上げてみたいと思いました。僕も昔は1日に8時間ずつダンスの練習をしました。歌手になってからもです。海外に行くことが多いので、いつもその都市でもっとも人気のあるクラブに行きます。ダンスバトルが好きで、たくさん対決をしてきたことがかなり役に立ちました。第1世代アイドルとして、そのタイトルだけで押し続けるイメージを避けたかったんです。僕がどれだけダンスが好きなのか、これを機会に見せたいと思いました。僕にとってもチャンスなんです。

イ・ヨンウ:公演を控え、スポンサーを探そうと大手企業の方々に会ったことがあります。K-POPの公演にはスポンサーがつきますが、僕の場合は、僕が自分で探しました。ある方が一度見に来られましたが、何がなんだかよく分からないと言われました。内容も分からないのに投資する理由がないとのことでした。その時にショックを受けました。ミヌさんがクラブの話をしましたが、「ダンシング9」を通じて文化も昔のように変わればと思います。ダンスを踊りに行くところがクラブでしょう? 最近はクラブで踊る人はあまりいません。お酒を飲んで、異性に会いに行きます。昔は本当に踊って、踊りを見に行きました。

―どうか「ダンシング9」がずっと続いていけばと思います。排他的な視線や偏見がなくなり、たくさんの方々に参加して頂きたいし、そこでたくさんの方々にチャンスが与えられてほしいです。上手くいきますよね?これからが本当のスタートですね!

初の生放送を終えてから、ミヌの一言
「ダンスの戦場に来たかのように熾烈だった瞬間、残念な気持ちでいっぱいだった瞬間が今でも忘れられない。踊る人たちの呼吸が音楽を突き破って我々にそのまま伝わってくるほど情熱的なステージだった。僕の心臓をバクバクさせた初の生放送で、残念ながら我々のチームのソ・ヨンモさんが脱落者となってしまった。彼の名前を呼ばなければならなかった僕。本当に死ぬほど辛い決定だった。事前対決点数9点の大事さが分かった。あまりにも申し訳なくて言葉を続けることが難しかった。僕より心を痛めたであろう脱落者とRed Wingsのチームにこのような瞬間が二度と訪れないことを願う。『ダンシング9』が終わるまで、緊張を緩めずに頑張ります。愛するRed Wings!ファイト!!」

文:コラムニスト チョン・ソクヒ

「NAVER スペシャルインタビュー」では、今話題の人物にコラムニストのチョン・ソクヒさんがインタビューを実施。韓国で一番ホットな人物の本音をお届けします。

記者 : チョン・ソクヒ、写真 : Mnet、スタジオS カン・インホ