「君の声が聞こえる」チョン・ウンイン“殺人鬼の役で近所の人に怖がられた”

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写真=DRMメディア
怖い目で「話したら殺すぞ。お前の話を聞いた人も殺すから」と冷ややかに言ったSBS水木ドラマ「君の声が聞こえる」の中の殺人鬼ミン・ジュングクを演じた俳優チョン・ウンインとついに会った。

しかし、記者の予想とは違って5日午前、三清洞(サムチョンドン)のカフェでインタビューのために会ったチョン・ウンインは、ミン・ジュングクとは180度違う姿だった。そこには、自身とって不利な証言をしたチャン・ヘソン(イ・ボヨン)を殺すために、十数年もの間、刑務所の中で刃を研ぎ澄ました殺人鬼の姿は跡形もなく、ドラマを成功裏に終わらせた安堵と感謝の気持ちに満ちた一人の人間の姿があった。

「近所の人たちも僕を怖がっていました。地下駐車場で会うとまず僕の手から見たり、怖がってエレベーターにも一緒に乗ってくれませんでした。ドラマに夢中になりすぎているせいなのか、僕の右手に何が持たれているのかを気にする方もいました。そういう反応がとても面白かったし、それだけ夢中になっているわけだから有難かったです(笑)」

実際に、チョン・ウンインが演じた「君の声が聞こえる」のミン・ジュングクは、今年最も怖かった悪役の一人だった。このキャラクターは序盤には「I'll be there」という着信音で、後半には切断された左手で自身の存在感を高めた。また、真夜中に野球帽をかぶり、無表情でチャン・ヘソンの家を眺めるチョン・ウンインの姿は多くの視聴者の背筋を凍らせた。

「以前だったら、お年寄りの方に頭を殴られたキャラクターですね。ところが、今は悪役に対する雰囲気が違うようです。ミン・ジュングクは事情がある人物じゃないですか?この人物は、誰も自分の話を聞いてくれないためにこのような姿になったのです。医者も警察も自分の話を聞いてくれないのに、黙ってはいられないですよね。そのようなところに視聴者が同情を感じて、愛してくださったようです」

チョン・ウンインの言葉通り、彼は「君の声が聞こえる」を通じて本当にたくさん愛された。チョン・ウンインの演技に鳥肌が立ったという視聴者からの好評は勿論、1話に登場したミン・ジュングクの「話したら殺すぞ。お前の話を聞いた人も殺すから」という台詞は、KBS 2TV「ギャグコンサート」に登場するくらい流行語になった。

「1話で登場した台詞が7、8話で急に話題になるとは思いませんでした。台本をもらった時もこんなことになるとは思わなかったんですが、すごく気分が良かったです。人気はすぐに通り過ぎてしまいますが、演技力が発揮できたようで胸がいっぱいです。インターネットの書き込みを見たら、悪い奴だという話よりは『演技力が素晴らしい』『心臓が止まった』『チョン・ウンインは嫌いだったが、演技は上手い』など、演技に対する表現がたくさんあって、本当に嬉しかったです」

このような高い関心は、役者生活17年目のチョン・ウンインにとって実に驚くべきことだった。1997年にデビューした彼は、様々な役に挑戦してみたかったが、いつもコミック役者というイメージに閉ざされざるを得なかった。そのような彼に「君の声が聞こえる」のミン・ジュングクというキャラクターは、彼のまた違う姿を確認することのできる“恵みの雨”のような存在となった。

「KBS 2TVドラマ『烏鵲橋(オジャッキョ)の兄弟たち』と映画「伝説の拳」が終わって、次の作品をやるまで何かずっと上手く合いませんでした。その間に通帳の残高も底をつき……。できることなら全部やろうと思いましたが、どこからも僕を呼んでくれませんでした」

その代わりに「君の声が聞こえる」のチョ・スウォンプロデューサーは、チョン・ウンインに隠されていた不気味さを発見した。チョ・スウォンプロデューサーが前作のドラマ「清潭洞(チョンダムドン)アリス」を終えた後、一番最初に接した映画が「伝説の拳」で、それがきっかけとなった。「伝説の拳」の中のチョン・ウンインの姿は十分に卑劣で殺伐とし、チョ・スウォンプロデューサーはそんなチョン・ウンインの姿を見て「君の声が聞こえる」に彼をミン・ジュングク役としてキャスティングした。

「『君の声が聞こえる』が他の放送局から断られた作品だと聞きました。僕も『君の声が聞こえる』の前に作品をやろうとしましたが、上手くいきませんでした。イ・ボヨンさんも他の作品をやろうとしたが、『君の声が聞こえる』をやることになって、イ・ダヒさんも紆余曲折の末に『君の声が聞こえる』に合流することになったのです。色々とその間に溜まっていた複合的な要素が、この作品を爆発させるきっかけになったようです」

「君の声が聞こえる」を撮影しながらチョン・ウンインはパク・ヘリョン脚本家にすごく驚いたと語った。ミン・ジュングクというキャラクターを演じていたが、自分自身でもその人物がどこへ飛んでいくか見当がつかなかったという。

「ミン・ジュングクは臆病者なので本当にチャン・ヘソンの母親を殺すとは思ってもいませんでした。そのような部分がとても衝撃的でした。パク・スハがミン・ジュングクの心を読み取れるということやそれをミン・ジュングクが分かっていて逆に利用するという点もとても面白かったです。パク・スハの父親とミン・ジュングクの関係、妻の命を奪われた事情など、社会的な告発もあって良かったです」

一緒に共演した後輩のイ・ジョンソクに対してもたくさん褒めた。「イ・ジョンソクは演技をあれほどー生懸命にやる人だとは思わなかったです。ドラマの中で彼の演じるパク・スハが、相手の心を読み取る瞬間をどう表現すべきかを考えた末に、少し首をかしげることでアピールしていました。そういう悩みをすること自体が役者の姿勢だと思います。とても頭の良い人です」

この他にも、彼は一緒にするシーン多かった女優キム・ヘスクやユン・サンヒョンなども褒め称えた。彼はユン・サンヒョンについては「一緒にお酒一杯飲みたい人」と愛情を込めて表現し、キム・ヘスクについては「一緒にドラマへ投入されること自体がすごく嬉しかった」と尊敬を込めて愛情を示した。

それではチョン・ウンイン本人は、これからどんな役者を夢見ているだろうか。彼はこの質問に対し、「君の声が聞こえる」で共演したキム・ヘスクとユン・ジュサンについて言及しながら答えた。

「キム・ヘスク先輩とユン・ジュサン先輩がドラマに出演すると聞いた時、僕は役柄を再び読み直しました。このように、ある作品にチョン・ウンインが出ると言った時、もう一度関心を持ってもらえるような役者になりたいです。チョン・ウンインが出るのであれば何か期待できる、そういう役者になりたいんです」

記者 : チョン・ヒョンジン