Vol.3 ―放送終了「モンスター」が残した音楽的な成果(ボーカルトレーニング編)

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写真提供=Mnet

キム・ウォンソク監督が何度も話したことだが、「モンスター~私だけのラブスター~」は音楽ドラマであるにもかかわらず、出演者の中にはこれまで音楽と接点が全くなかった俳優もいた。

例えば、ハ・ヨンスは音楽と関係ない人生を生きてきたが、突然、音楽ドラマのミューズになった。また、ミュージカルのステージで長い間活動したものの、チェロという楽器に初めて出会い、文字通り手から血が出るほど熱心に練習しなければならなかったカン・ハヌルもいた。

彼らは今の成果を出すためにとても厳しいトレーニングをこなさなければならず、キム・ウォンソク監督が彼らに厳しいレッスンを受けさせているという噂がかなり前から広がっていた。(この噂に対し、俳優たちもあえて否定しなかった)

このような環境の中で「モンスター~私だけのラブスター~」の音楽シーンがさらに特別だった理由は、他のミュージックドラマと違い、ライブ録音に挑戦したという点だ。事前に行ったキム・ウォンソク監督とのインタビューで、彼は「俳優の中では歌を歌ったことがない人もいたので、音楽的なクオリティ面で心配が大きかった。でも、現場録音とスタジオ録音の間に違いがなかったし、むしろ現場録音が荒い感じはあるが、感情面ではスタジオ録音よりはるかに良いという意見が多かった」と、ライブ録音を選択した理由を説明した。

このようにリアルな音楽シーンを演出するために選曲と編曲に続き、多くの制作陣が投入され、俳優たちをトレーニングさせた過程について話を聞いてみた。

3.ボーカルトレーニング

何よりも若い俳優たちが昔の曲を多く歌わなければならなかったが、どんな部分を重視して指導したのか、またその過程を見守りながらどんなことを思ったのか、気になる。

キム・ウォンソク監督

基本的に俳優たちの歌のトレーニングは、イ・ドンヒョン、イ・ジュンホ(POSTINO)の2人の音楽プロデューサーが進行した。Mアカデミーの先生たちも手伝ってくれた。

ただ、現場で録音する時は、歌を上手に歌うかどうかより、歌を歌う人の感情により集中した。歌の上手さとは関係なく、現場で録音したものはスタジオで録音したものと比べ物にならないほど、感情表現がはるかに良かった。

僕は若い俳優たちが良い歌詞を心で味わいながら歌ってほしいと思った。1994年生まれのGLAMのダヒが「過ぎた日」「私を泣かさないで」「散らばった日々」「沼」のような名曲を初めて聞いたと言うのを聞き、このドラマは存在意義があると思った。ソヌ役のカン・ハヌルは歌詞を自分のものにして歌うことに卓越した能力を見せた。カン・ウィシクは涙を流しながら歌を歌うシーンが多く、最初は少し大変そうに見えたが、後半では本当によく歌ってくれて嬉しかった。「私の絶望を望むあなたに」の場合、映画「レ・ミゼラブル」でアン・ハサウェイが歌った「I dreamed a dream」ほど上手に歌ったと言ったら大げさかな……ダヒ、カン・ハヌル、カン・ウィシクは3人とも基本的に歌が上手い方だったが、最初はそれぞれアイドル音楽やミュージカル音楽のように歌い、ドラマのコンセプトに合わせて練習させた。ダヒは歌う時に細かなテクニックを使わないように頼み、カン・ハヌルとカン・ウィシクは美しい美声で歌を歌うことを自制するように頼んだ。

BEASTのヨン・ジュンヒョンは常に歌やラップを口ずさんでいるほど、音楽を愛していた。声量が豊かな方ではないが、音程と拍子が正確で、何よりも曲の雰囲気を生かして歌を歌う能力を持っていた。一方、ハ・ヨンスは歌を歌ったことがあまりなく、発声が不安で呼吸が短かった。また、歌を歌う時に表情が過度に固くなった。でも、撮影が進むにつれ、彼女のこのような短所がかなり良くなった。

キム・ミニョンとパク・ギュソンは元々音楽が上手い方なのに、ドラマ設定上、制限が多くて少しもどかしかったのかもしれない。キム・ミニョンが「私の歌」を歌った時は、現場のスタッフたちから「もう一度歌って。本当に上手いじゃん」と言われたほどだ。

イ・ドンヒョンプロデューサー

若い俳優たちが生まれる前に発売された曲が多く、この曲ぐらいは知っているだろうと思った曲を俳優たちは知らない場合も多かった。しかし、そのおかげで従来の曲のスタイルにこだわらず、本人ならではのスタイルで再解釈してほしいと、俳優たちに要求できた。彼らは原曲の歌手の雰囲気や特徴などに捕らわれなかったはずだから。

POSTINO

個人的には昔の歌の方が歌いやすいと思う。なぜなら、昔の音楽は今の音楽より素朴で真実性があり、機械などの力や技術で勝負する部分が小さいからだ。それから、原曲の歌手たちが持った凄い実力を真似するより、曲自体が持つ力を俳優たちの声を通じてドラマに似合うように表現するのを重視した。さらに、俳優たちがみんな個性ある声を持っていたので、より多様な表現ができた。昔の歌ではないが、パク・ギュドン(カン・ウィシク)が歌った「私の絶望を望むあなたに」の場合、彼の最後を暗示するような演技を何の動きもなく歌だけで表現しなければならなかった。それで、他の曲よりもさらに様々な演出の状況を考えながら、ボーカルメーキングを作った曲だった。結果的に感情がよく表現されたと思う。

記者 : ペ・ソニョン、写真提供 : Mnet、翻訳 : ナ・ウンジョン