【ドキュメンタリーレビュー】「古い新人イ・ビョンホン、そしてハリウッド」…人間的な姿に焦点

OhmyStar |

写真=SBS
築いてきた名声を捨て、初心に戻り挑戦することは容易ではない選択だ。28日に放送された「SBSスペシャル-古い新人イ・ビョンホン、そしてハリウッド」(以下「古い新人イ・ビョンホン、そしてハリウッド」)の主人公である映画俳優イ・ビョンホンがこれに該当する。

韓国で20年間映画俳優として活動したイ・ビョンホンは、これまでに確固たる地位を確立している。それにもかかわらず、ハリウッドという慣れない土地で新たに出発することは、イ・ビョンホン自身にとっても韓国に戻りたくなるほど困惑するしかないことだった。下手すれば、これまで築いてきた役者としてのキャリアを台無しにするブーメランになって戻ってくる可能性もあったためだ。

しかし、イ・ビョンホンは韓国で安住するより新たな領域であるハリウッドに4年前果敢に挑戦状を出した。その結果、今ハリウッドで映画を撮りながらキャラクターの国籍を韓国に変えさせるほど、あるいは映画のシーンに父親と一緒に撮った実際の写真が挿入されるほど影響力のある俳優に成長した。

アメリカのハリウッドという慣れない環境でただ3つの作品を撮っただけだが、イ・ビョンホンがハリウッドで得た影響力は少なくなかった。韓国の映画俳優の中でハリウッドでの成功のために挑戦したのは、イ・ビョンホンが初めてではない。だが、安定した地位の確保に成功したのはイ・ビョンホンが初めてである。

90年代にアメリカのメジャーリーグに初めて進出したパク・チャンホ(朴賛浩)選手のように、今イ・ビョンホンはこれからハリウッドに進出する未来の韓国人俳優のために礎を築いている。将来ハリウッドに進出する韓国俳優のためイ・ビョンホンが今磨いていく道とは、どれだけ有名なハリウッドの関係者と一緒に作業するかというパイプ作りが全てではないことを同ドキュメンタリーは逃さなかった。

ある人物が有名であることを強調するため、どれほど有名な人と親しい関係にあるのかという人脈作りの面を強調しようとするならば、ドキュメンタリー序盤にイ・ビョンホンがキャサリン・ゼタ=ジョーンズとグラビア撮影を一緒にしたというエピソードなど、彼がハリウッドの役者たちとどのような仕事をやっているかに重点を置いたはずだ。

しかし「古い新人イ・ビョンホン、そしてハリウッド」は、イ・ビョンホンがハリウッドの関係者とどれほどの人脈を作ったかということよりは、イ・ビョンホンのコメントを通じてハリウッドスターたちのスタッフの接し方などに関心を向けるちょっと変わったアプローチを見せた。

イ・ビョンホンは一緒に撮影したハリウッドスターたちは優しくて寛大で、たった一度でも顔をしかめることがなかったというコメントを残した。そしてイ・ビョンホン自身もハリウッドのスターのように、今後後輩俳優たちにこのような印象を残すことのできる俳優になりたいという未来の自画像を紹介した。演技力より人を大切にし、周りの人に配慮するハリウッドスターたちの包容力を受け入れたいと考えるイ・ビョンホンの人柄を紹介することもこのドキュメンタリーは逃さなかった。

このドキュメンタリーは、現在上映中の「REDリターンズ」にイ・ビョンホンが出演することを念頭に置いて制作されたドキュメンタリーだが、急造したものではなかった。「G.I.ジョー」のための録音作業および手形イベント、小児癌患者を助けるための募金イベントなど、「REDリターンズ」以前にイ・ビョンホンがハリウッドで歩んできた道を丹念に見せた。

同番組は、イ・ビョンホンに対しハリウッドスターたちが感じた印象、例えば面白く徹底して準備する俳優ということ、あるいはプレミアでイ・ビョンホンに向けた観客の熱狂的な反応を紹介するなど、イ・ビョンホンのハリウッド進出の成功にだけ焦点を合わせることはなかった。

アメリカの一般市民にイ・ビョンホンの写真を見せ、誰かと聞いたら十中八九はよく分からないという答えを残す。たまにストームシャドーでイ・ビョンホンを知っているアメリカ人がいても、名前をヨン・ビ・クムと間違って覚えていた。このようにまだアメリカでは遠く長い道のりを行かなければならない“古い新人イ・ビョンホン”だが、それにもかかわらず韓国で安住するより、40歳になってハリウッドという新しい世界に挑戦した彼のチャレンジ精神を高く評価するドキュメンタリー番組であることは間違いない。

このドキュメンタリーの美徳はもう一つある。それはハリウッドへの進出に成功した東洋人スターイ・ビョンホンの人間的な面を逃さなかったことだ。Cultwoが進行する見えるラジオでイ・ビョンホンは突然低いところに慌てて身を隠す予想外の姿を制作陣に見せた。突然パニック障害の症状が出たせいであった。

一人の人物が成功したことに重点を置こうとするドキュメンタリーならば、このような姿は編集し放送しないことが常識であるにもかかわらず、同番組はイ・ビョンホンのありのままの姿を編集せずにそのまま放送した。

これは、ハリウッド進出に成功したイ・ビョンホンという全体的な企画を乱す演出というよりは、このような突発的な状況に備えいつも薬を持っているほど人間的なイ・ビョンホンの姿を見せる演出であることは確かだ。完璧ではないが、ハリウッドそして完璧に向け挑戦する映画俳優、イ・ビョンホンのチャレンジ精神を高く評価するドキュメンタリーが「古い新人イ・ビョンホン、そしてハリウッド」であると評価することができるだろう。

記者 : パク・ジョンファン