Vol.1 ― 「監視者たち」ハン・ヒョジュ、10年は決して無駄ではなかった

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花が満開した。女優ハン・ヒョジュ(26)にこれより似合う表現があるだろうか。硬くなっていた花のつぼみが、いつ満開するのか待ち遠しかったが、ついに待っていた甲斐を感じさせてくれた。待っていたその時間に答えるかのように、とても綺麗で、気持ちよくパッと咲いている。

このように絶賛することがもったいないと全く思わない理由は、ハン・ヒョジュの新作映画「監視者たち」(監督:チョ・ウィソク、キム・ビョンソ、制作:映画会社ZIP)のおかげだ。この映画はハン・ヒョジュの再発見であると言っても過言ではない。なぜこのような作品にもっと早く出会うことができなかったのか、それだけが残念だ。

「ファイヤー・ブラスト 恋に落ちた消防士」(2012、監督:チョン・ギフン)以来、6ヶ月ぶりに出会ったハン・ヒョジュは、さらに爽やかで活気に満ちていた。インタビューの前日に「監視者たち」チームと夜中の3時まで打ち上げがあったにも関らず、疲れたような様子は全くなかった。“鯨も踊らせる”という褒め言葉が、ハン・ヒョジュにも効いたようだ。褒め言葉で刺激されたことでかなり効果があったようだった。

6ヶ月前の冬、ハン・ヒョジュは「監視者たち」の撮影の真っ只中だった。「ファイヤー・ブラスト 恋に落ちた消防士」のインタビュー当時にもなにげに「監視者たち」の撮影に関する質問もしてみたのだが、その時帰ってきた答えは「台詞が少し多いですけど、私は本当に大した役ではありません。共演する先輩たち(ソル・ギョング、チョン・ウソン)を見てください。私はただのひよこです」だった。その言葉をそのまま信じていた。しかし蓋を開けてみるとこれは何だ。「監視者たち」を見て帰る道で、裏切られたという感じさえしてきた。

「(笑) それを狙っていました。裏切られたと感じるかもしれませんが、それでも最後にはむなしく笑えるでしょう?『やられた』って。元々誰にも撮影中の作品の話はしませんでした。話をすると、自分も気付かない間に何となくいいところだけを話してしまうでしょう?相手がその話を聞いたら、期待をしてしまいます。すると、その時点で観客を一人失うことになるんですよ。今回の『監視者たち』もたくさん聞かれました。そのたびに無心な表情で『まぁ、そんなものでしょ。公開したら一度見てみてね』と対応していました。ハハハ」

今年でデビュー10年目となった。2003年にミス・ピングレ選抜大会でデビューした彼女は、初めから大ブレイクしたというよりは、長い間経験を重ねてきた大器晩成型のスターだ。もちろんこれまでMBCドラマ「トンイ」(2010)、SBSドラマ「華麗なる遺産」(2009)、「イルジメ【一枝梅】」(2008)などのドラマで頭角を現してはいたが、映画では違っていた。ようやく昨年の「王になった男」(監督:チュ・チャンミン)で存在感を知らせ始めたのだ。

自分だけのヒット作を作りたくない俳優はいないだろうが、ハン・ヒョジュには容易いことではなかった。1000万人の観客を動員した「王になった男」も自分だけの1000万とは言えないためだ。またハン・ヒョジュは1000万人を動員した女優というタイトルを負担に感じていた。

「王になった男」の嵐が過ぎ去った後、まもなく「ファイヤー・ブラスト 恋に落ちた消防士」が公開された。これまで清純派だったハン・ヒョジュがワイルドでボーイッシュな女性への変身を試みた。まさに“裏切られたような”変身だった。ハン・ヒョジュにもこのような一面があるということを世の中に知らせるきっかけとなった。あの頃からハン・ヒョジュは、抑えて硬くなっていた花のつぼみを咲かせる準備をしていたのだ。

彼女はこれまで蓄積してきた“女優ハン・ヒョジュ”を創立10周年記念イベントのように華やかに見せ付けた。そのままの率直で気さくな彼女自身も否定はしなかった。むしろ「満開になる時を過ぎていましたね」と喜んで受け止めてくれた。

「もう10年ですか?歳月が空しいですね(笑) 『監視者たち』がここまで好評を得るとは思っていませんでした……。みなさんがいい評価をしてくださり、ついでに私までもとても褒めてくださって最近は息をするだけでお腹が一杯です。『ハ・ユンジュ(ハン・ヒョジュの役名)の成長ドラマだ』という評価で胸が一杯になりました。最近はずっと雲の上を歩いている気分です。けれど、突然雲から落ちてしまったらどうしましょう?気分はいいですが、後で落ちることを思って、あまりに浮かれすぎるのはやめようと思いました(笑) これからの10年もありますからね」

記者 : チョ・ジヨン 写真 : チョ・ソンジン