「監視者たち」チョン・ウソン、生涯初の悪役“これから頻繁に悪役を演じてほしい”

OSEN |

昔の映画の中の“悪者”は善良な主人公を傷つけるたびに焦らす。剣を振り回す前や銃で打つ前、長いセリフを言い渋い顔をして、逆に主人公から一発食わされる。また、悪役常連の俳優は別にいた。まずイケメンは除かれ、印象の悪そうな人が優先だ。

このようなこれまでの悪役の典型的な公式から考えると、チョン・ウソンは悪役のキャスティングから一番に脱落しそうな俳優の一人だ。シン・ソンイルに続くイケメンスターで1990年代最高の人気を集め青春時代を過ごした彼は、40代になった今も長身に彫刻のようなルックスで並外れた競争力を誇る。

キム・ジウン監督の興行大作「グッド・バッド・ウィアード」で長いコートをなびかせ、カッコよくライフルを振り回すグッドガイとして彼が起用されたのは当然のことで、そのイメージは依然として堅固である。

そんなチョン・ウソンが生涯初の悪役を演じた。チョ・ウィソク監督とキム・ビョンソ監督の共同演出である新作サスペンス映画「監視者たち」でだ。チョン・ウソンの悪役は果たしてうまくいくのだろうか。その疑問は映画を見ると解消される。チョン・ウソンはチョン・ウソンらしく、チョン・ウソンスタイルで悪役を演じてのけた。もし彼が「甘い人生」のペク社長役のファン・ジョンミンや「悪魔を見た」の殺人鬼チェ・ミンシクのような、卑劣な野獣として荒っぽく表現していたら奇妙な悪役になっていたのかもしれないが、俳優キャリア20年のチョン・ウソンはそれなりの99点の答案を観客に提出した。クールに罪を犯し、大胆に人を殺す冷血漢な殺し屋としてだ。

秒単位で完璧な計画を立て、完全犯罪を追求する犯罪組織のリーダージェームズ、チョン・ウソンが演じた役柄だ。地下鉄2号線に乗った彼が長身のため頭を下げて歩くポスターからも、これまでの悪役とは異なっている。シミひとつない色白の肌にスッと通った鼻筋、きれいに整えられたヘアスタイルも「本当に悪者?」と聞きたくなる。

しかし、感情を表に出さずに罪を犯して、組織のメンバーを取り締まり、瞬時に自身を追跡する人々を交わすシーンでチョン・ウソンの悪役は真価を発揮する。1秒の迷いもなく冷静に悪事を犯す無神経さまたは断固さがかえって観客の肝胆を寒からしめる。ハンサムな顔からにじむ冷笑的なほほ笑みが時にはより残酷に見えることもあることをチョン・ウソンが「監視者たち」でしっかりと見せつけたのだ。

映画の中でジェームズは頭の回転の速さや判断力で犯罪を計画し、オーケストラの指揮者のように強烈なカリスマ性で現場を指揮する。「ビルの最も高いところにのぼり、長いコートをなびかせ、監視班や組織メンバーの死闘を見守るジェームズの姿が、チョン・ウソンの深い眼差しや特有の雰囲気と調和し、緊張感溢れる状況の中でもそれ自体で絵のようだった」というのが映画を見た女性記者の感想になるほどである。

キム・ビョンソ監督もこれに対して「ジェームズ役は映画で対立を引き起こすために使用される無条件的な悪役にしたくなかった。これが可能だったのは、役を演じたチョン・ウソンによるものが大きい」と絶賛した。

チョン・ウソンは最近、スターチャットを通じたファンとの電話で「体力が許すまで映画を続けたい。ラブコメディもやってみたい。しかし、ラブコメディは実は難しい。作るのも難しいジャンルだ」と計画を明らかにした。

しかし、チョン・ウソンさん。ラブコメディの中のスイートな男性チョン・ウソンもいいですが、「監視者たち」のジェームズのような悪役も頻繁にやっていただきたい。

記者 : ソン・ナムウォン