【コラム】20世紀アイドルの21世紀 ― カン・ミョンソク

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そのまま伝わる気持ちに止めどなく流れる涙
ファンたちを“妻”と呼んでいたソ・テジは“ジュニア”の計画を立てようかと言って、結婚を発表した。いつも笑っているようだったソン・ホヨンは苦しみに耐え切れず、してはいけない選択をした。一方では神話(SHINHWA)が「THE CLASSIC」というアルバムを発表し、15年間1つのグループとして活動しており、イ・ヒョリもソロ活動をして依然として話題の中心に立っている。彼らは20年前の環境保全コンサート「明日では遅い」、または10年前の「ドリームコンサート」で永遠に輝いているように思われていた。しかし、2013年5月現在、彼らの一部は解散し、一部はファンの前に立てない状況になった。神話のドンワンがファンに言ったことは予言に等しかった。「神話はみなさんの人生に責任を取りません」

いまやあの時の英雄のほとんどが平凡な生活を送っている。QTV「20世紀美少年」はその真実に対する淡白な確認だ。H.O.T.、SECHSKIES(ジェクスキス)、god、NRGのメンバー全員が集まって「ホッジェックガッアルジ」を結成した。しかし、体力も人気も以前より落ちている。30代半ばになった彼らは記憶力の低下に悩む。蚕室(チャムシル)オリンピック主競技場を埋め尽くしたファンも、今は小さな公開ホールに集まるだけの人数しか残っていない。その間、彼らはそれぞれに課せられた人生の重みを背負っている。H.O.T.出身のトニー・アンは稼いだお金の9割を父親が株式で失った。また同じくH.O.T.出身のムン・ヒジュンはソロデビュー後、暴力的で悪質なコメントに耐えなければならなかった。NRG出身のチョン・ミョンフンが共同公演にNRGのファンがいないのではと心配するのは、あの時代のアイドルの現在だ。20世紀美少年の全盛期は終わった。生きることは本当に容易ではない。しかし、相変わらずファンの愛を受けたいと思っている。

「応答せよ1997」その後の16年

tvN「応答せよ1997」でソン・シウォン(Apink チョン・ウンジ)にとってトニー・アンは神様と同じだった。一方「20世紀美少年」でソン・シウォンの実際のモデルというトニー・アンのファンはチャイムを鳴らして彼に会いに行く。彼女はトニー・アンにお弁当を作り続け、お弁当会社を作った。その間、彼女はトニー・アンの喜怒哀楽を全部見守っているはずだ。それにもかかわらず、彼女は今もお弁当を作る。その理由は「ホッジェックガッアルジ」の共同公演に来た他のファンが見せてくれる。体が不自由な彼女は、17年前「戦士の末裔」を見てH.O.T.が好きになり、H.O.T.は放送とともに彼女を訪れ、力になってくれた。彼女は、ここ10年間辛いことがある度にその思い出を回想しながら暮らしているという。20世紀のアイドルはそういう存在だった。

あの時代のすべてがアイドルグループの事務所が企画したビジネスなのかも知れない。アイドルはファンが思うほど素晴らしい人ではなかったのかも知れない。しかし、1990年代にはアイドルもアイドルのファンダム(特定のファンの集い)も初めてだった。ファンはソン・シウォンのように自身の10代を好きなアイドルに捧げ、PC通信を通じて家族や学校では経験できなかった新たな連帯感も感じた。ソン・シウォンのモデルになった彼女のようにあの時の経験が人生を変えたりもした。アイドルを好むことが消費ではなく社会生活の始まりだったり、ひいては宗教だった世代。その思い出があるからこそ彼らは20世紀のアイドルを21世紀でも応援できる。「20世紀美少年」は、20世紀のアイドルがある世代の文化で情緒であったことを知り、その気持を尊重する。

おかげで元気に暮らしているのですね?

「神話は非難しても神話創造は非難するなかれ」

神話のファンクラブ神話創造の誰かが冗談混じりで言ったというこの言葉は20世紀のアイドルとファンの関係を明確に示す。アイドルもファンも30代になった。ファンは“オッパ(兄の意。女性が親しい年上の男性やスターを呼ぶ呼称)”たちが自分の人生に責任を取らないことを知っている。しかし、あの時の思い出やファンダムを通じて作られた縁は、30代まで続く。20世紀のアイドルが神話だったとすれば、21世紀の彼らはファンの20世紀を肯定させる存在だ。人々は今いるアイドルとファンではなく、1つの世代の文化が年老いていく過程を見ているのかも知れない。アイドル産業を経験した以降の世代は違った形で彼らのスターを受け入れるだろう。

「あの時の縁で良い人たちと笑ったりはしゃいだり、そのおかげで元気に暮らすことができているんですよね?」
歳をとったアイドルの唯一の義務、ファンがこのように話せるようにすることだ
H.O.T.は「少年よ!神話になれ」という歌を歌った。しかし、今あの時代のアイドルはデビューして15年、解散せずにグループ活動だけしていても十分に神話となる。イ・ヒョリのように依然としてアイコンのポジションにあることも神話の領域だ。ファンはそこまで望んでいない。トニー・アンは体が不自由なあのファンからの丁寧な手紙に涙を流した。SECHSKIESのキム・ジェドクはしばらく登場して相変わらず愉快な自身の姿を見せてクールにカメラの外へと消える。それで十分だ。ファンを依然として大切にすること。この険しい世の中で相変わらず元気で暮らしているということ。それで今でも“オッパ”と呼べるようにすること。そうすればファンは「20世紀美少年」のあのファンが書いた手紙のように応えてくれるはずだ。

「途切れたモノクロフィルムのような思い出ではなく、キラキラ光る思い出を持たせてくれてありがとうございます。そして本当に大変なはずなのに、今まで私がファンであり続けられるようにちゃんと耐えてくれて、今も昔もそこにいてくれてありがとう」

文:コラムニスト カン・ミョンソク

「NAVERコラム - カン・ミョンソク編 -」では、今話題の人物にクローズアップし、コラムニストのカン・ミョンソク氏が執筆。韓国で注目が集まっている人物や出来事についてお届けします。

記者 : カン・ミョンソク