Vol.1 ― 藤田小百合「韓国人に日本に帰れと言われて、傷ついた」

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写真提供=藤田小百合
彼女の可愛らしい頬をつねりたくなる。緊張して汗を流す食堂のオーナーの前で、「何の味も感じられない」と毒舌を発しても、藤田小百合(33歳)は可愛らしい。彼女の口はフィルターだ。ひどい言葉も彼女の口から発せられると、毒素は濾過されて、笑いだけが残る。

涙が出るほど辛い鶏の足を食べた時、あなたならこの味をどう表現するだろうか。藤田小百合は、「口の中に怖い人が住んでいる」と言う。チェ・ホンマンが自分を持ち上げ、富士山の山頂に投げつけて、海に落ちたような気分だという。その瞬間、口の中に鶏の足があるような気分になった。藤田小百合にしかできない言葉遊びではないだろうか。

韓国に渡ってきて8年目。「冬のソナタ」「猟奇的な彼女」など韓流に対する関心から始まった藤田小百合の韓国愛は、自分でも知らないうちに広がって、深くなっていた。初めて発した韓国語を今でも覚えている。留学で韓国に来た時、仁川(インチョン)国際空港で拾ったタクシーの運転手にバナナを渡しながら、「お腹空いていますか?」と聞いた。

アメリカで韓流に目覚める

「2004年、アメリカで過ごしていました。大体、留学生は同じ国同士で仲良くするじゃないですか。日本人は日本人同士で、韓国人は韓国人同士で。でも、私は韓国の女の子たちと仲が良かったんです。そうするうちに、韓国の料理と音楽に興味を持つようになり、『冬のソナタ』『猟奇的な彼女』をきっかけに韓国が好きになりました」

藤田小百合は、元々ドラマを好んで見る方ではなかったが、韓国ドラマのおかげで目覚めた。また、当時はCyworld(韓国のソーシャルネットワーキングサービス)が流行っており、友達のミニホームページを見るようになって、韓国の音楽に接することができた。Fly to the Skyやテイ(Tei)などが彼女が初めて好きになった韓国人歌手で、自然と韓国文化に目覚めていった。

「友達が韓国語で話すので、言葉も学びたくなりました。それで、韓国語を3ヶ月ぐらい勉強して、2006年に韓国に留学しに来ました。韓国に来て初めて口にした韓国語が、タクシーの運転手に話した『お腹空いていますか?』でした。私もお腹が空いていたので、『お腹が空きました』と話しました」

最初は慣れないことが多かった。日本人は韓国に親しみを持っている。ペ・ヨンジュンや韓流を思い出すからだという。しかし、韓国人は違った。日本を思うと豊臣秀吉を思い浮かべる人が多かった。イメージと認識に対する差が大きいことに驚かされ、時には傷つくこともあった。


「日本人であるという理由で偏見、怖かったけど…」

「歴史的にそういうところはありますが、とにかく嫌う人たちを見て、すごく傷つきました。最近は、“そういう考え方もあるんだな”と思うようになりましたが、最初は大変でした。直接、私に言ってくる人もいました。撮影中、『あんた、日本人じゃないか』と大声を出すのです。怖くて逃げましたが、本当に心が痛みました」

「食貪旅行」撮影中の出来事だった。食堂に入ってきたある男性が、「日本人だから、日本の味方なのか」と藤田小百合をなじった。雰囲気が悪くなり、その場を避けた。また戻ってきて収録を始めたが、気分が乗らなかった。そんなことがあっても、カメラを見ながら楽しい話をするのが辛かった。

「今は大丈夫です。あの時は、すぐにでも荷物をまとめて日本に帰ろうかと思いましたが、もう慣れたみたいです。両国の歴史を知って、理解した部分もありますし。もう韓国に来て6年目になりました。年齢が若くはなかったので、韓国でテレビに出られるようになるとは思いもしませんでした。早く良い男性と出会って、結婚して幸せに暮らすことだけを考えていました」

「美女たちのおしゃべり」の面接を堂々と合格できた理由とは?

しかし、藤田小百合の特別な面に気付いた人たちが彼女の人生を変えた。KBS 2TVの人気番組「美女たちのおしゃべり」が、藤田小百合の第2の人生を開いた。「ある日、急に制作スタッフから連絡があり、面接を受けました。面接に来ていたみんなが『美女たちのおしゃべり』を褒め称えていましたが、私は正直に『面白くない』と話しました」

率直なところが良かったのか、面接を受けた外国人の中で藤田小百合だけが合格した。正直、藤田小百合の頭の中には別の考えがあった。当時、恋人と別れたが、内心では彼から連絡が来ることを願っていた。もちろん、昔のことだ。今は、きれいさっぱり忘れた人だ。

「『美女たちのおしゃべり』に出演する時は、できるだけ率直に話しました。良いことだけを言うのでは意味がないと思いました。他の外国人が率直なのは良しとするのに、日本人や中国人が率直に話すことには少し敏感になるじゃないですか。悪口もかなり言われましたが、それでも幸せでした」

「美女たちのおしゃべり」を通じて交流するようになったお笑い芸人のナム・ヒソクは、藤田小百合にとって特別な存在だ。「今も連絡を取り合っています。マネージャーがいないので、ナム・ヒソクさんに相談しますが、アドバイスをたくさんしてくれます。他のメンバーもナム・ヒソクさんと今も連絡をとっています。本当に良い方です」

記者 : キム・ジヒョン