Vol.1 ― 放送終了「お金の化身」カン・ジファン報告書、悪の花は咲かない

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※この記事にはドラマ「お金の化身」の結末に関する内容が含まれています。
写真=SBS「お金の化身」スクリーンショット
SBS週末ドラマ「お金の化身」は、台本と演技、演出という三要素がずれることなく相まって、危機の度に絶妙な対応で視聴者の共感を得た。人間の醜い内面を躊躇うことなく取り上げ、金や権力の前で限りなく卑怯となる群像のみすぼらしい欲望を思う存分果敢に描いた。善悪の構図がはっきりしていただけに、勧善懲悪の手本をそのまま見せたすっきりした結末だった。

韓国で2月2日に放送開始となった「お金の化身」は、「ジャイアント」「サラリーマン楚漢志」のチャン・ヨンチョル、チョン・ギョンスン脚本家とユ・インシクプロデューサーが再会し、期待を高めた作品だ。人々の興味のある言葉も多く問題も多い金と欲望、復讐そしてその中で咲く愛と許しを面白く描いた。

序盤からスピーディーな展開と、必要以上の刺激的な設定で分かれる評価の中でもとりあえず視聴者を虜にすることに成功した。特にイ・チャドン役の幼い頃を演じたパク・チビンは、内面の感情の変化を隙のない演技で表現し、スムーズな出発の土台を作った。

しかし、雷管もあちこちに存在していた。パク・サンミンとオ・ユナの入浴シーンやラブシーン、人物間の絡み合う陰謀と殺人事件、財閥の会長と女優との愛情関係など、どろどろ系ドラマの要素を兼ね備えており、批判を受けた。視聴者の刺激的な感覚は満たしたかもしれないが、限界を乗り越えることはできなかったという厳しい指摘もあった。

そんな「お金の化身」が、劇の中盤から変わった。懸念は杞憂となり、劇への集中度は高まった。両親の復讐や社会の正義のために、カン・ジファンが“快傑検事”に変わった。ファン・ジョンウムとの恋愛も重くないタッチで描かれ、復讐も度を過ぎない程度で行われた。その過程で展開される徹底的な頭脳戦が、大きな見どころとして劇の起爆剤となった。

パク・サンミンの卑劣な悪役の演技とオ・ユナの悔恨の眼差しの演技は逸品だった。愛と職業の良心の間で葛藤し、結局は法律を選ぶチェ・ヨジンの姿も印象的だった。他にもキム・スミ、イ・ギヨン、パク・スンチョン、ヤン・ヒョンウクなどの“名品”とも言える演技は、作品の完成度に大きく貢献した。

韓国で21日に放送された最終回では、イ・チャドン(カン・ジファン)のハッピーエンドとして法律のほうが勝利した。“悪の枢軸”ウン・ビリョン(オ・ユナ)は、イ・チャドンの許しにも関らず、チ・セグァン(パク・サンミン)と共に自ら命を絶った。法の前にはみな平等であるという等式をそのまま見せてくれた。

カン・ジファンのドラマ復帰は、この成績だとかなりの成功を挙げたと言える。元所属事務所との専属契約問題など出演をめぐって雑音もあったが、彼の活躍は合格点を手にした。期待を遥かに上回る結果だった。「お金の化身」の結末は、久しぶりに味わう山奥の氷水の味だった。

記者 : ソン・スンウン