Vol.2 ― 「その冬、風が吹く」キム・ボム“メロドラマ?きれいに映る自信がない”

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丁寧で落ち着いている。最近、マイデイリーとのインタビューで会ったキム・ボムは、ドラマ「その冬、風が吹く」のパク・ジンソンとは180度違う姿だった。後先かまわず突き進む男、ジンソンと、落ち着いたキム・ボムの姿があまりに対照的で、最初はこの人が本当にジンソンを演じたのかと思うほどだった。

しかし、彼はむしろ、自分は男らしい男であるジンソンのような性格だと説明した。彼は「男同士の友愛と義理を重視する方です。男らしい面があって、話し方がとてもストレートなので誤解が生じたりもしますし」と述べた。

実際、キム・ボムはかなり律儀な人だった。現在の彼の所属事務所のスタッフは、苦しい時期を共に乗り越えた人々だった。「僕の所属事務所の代表は、僕にとって『その冬、風が吹く』のオ・スのような存在です。僕の所属事務所は、僕と代表の二人で設立した会社なのです。僕たちが会社を立ち上げた当初はオフィスもなく、代表が住んでいたワンルームからスタートして、マネージャーもいなかったので代表と二人で放送局に通いました。僕に仕事がなかったときはスタッフの給料も払えませんでした。ですが、本当にありがたいことに、皆が『お金は後で下さい』と言って助けてくれたのです。その人たちが今僕の服を選んでくれて、ヘアスタイリングをしてくれる人たちです。心からありがたくて、大切で、本当に守ってあげたい人たちなんです」

「ダイエットして顔つきがかなり変わりました」

困難な時期を乗り越え、キム・ボムはさらに成長して完璧な男性になったように見えた。これには、内面的な部分だけでなく、外面的な部分の変化もあった。彼の外見は、「思いっきりハイキック!」のハスクボム(下宿ボム)や「花より男子~Boys Over Flowers~」のソ・イジョン時代よりもスリムになった。合計13kgほど減量したそうだ。

「幼い頃からたくさん運動しました。特に、『パダムパダム 彼と彼女の心拍音』(以下『パダムパダム』)のとき、かなり体重を落としました。当時は一週間に7日間運動をしました。朝運動をして、家で食事をとって寝て、また夕方に起きてランニングマシーンで走ったり縄跳びをして家に帰って、台本を読んで。食べるものも、バナナ1本とサツマイモ半分、アメリカンコーヒー1杯しか飲みませんでした。水も飲まなかったですし」

なぜここまでストイックに減量したのかと尋ねたところ、「外見的な変化をもたらしたいと思いました」との答えが帰ってきた。「ダイエットして顔つきがかなり変わりました。演技的なもの以外にも、外見的に大きく変化させたかったんです。僕がハリウッド俳優のクリスチャン・ベールを高く評価する理由は、太ったり痩せたりを繰り返しているからです。多いときで30kgも体重に差があるのですが、それはすべて、キャラクターになりきるための情熱だと思います。もちろん、僕のソフトなイメージが好きだったファンの中には僕が痩せたことに違和感を感じる方もいらっしゃるのですが、僕はこれからもこだわりを持って外見的に変わっていきます」

キム・ボムはこれを「こだわり」と表現したが、これはこだわりというよりは情熱に近い意味合いのように聞こえた。これまでのフィルモグラフィーを見ても、彼は頑なに、容易ではない役を主に演じてきた。自らを極限まで追い詰め、その中で成長するスタイルだった。「やりたいと思う作品を見ると、どことなくチャレンジ意識を呼び起こす作品が多いです。作品を選ぶとき、自分がやりとげる自信があるから選ぶというよりは、作品を通じて僕が成長し、学べそうだと思うときに惹かれる方なんです」

「メロドラマ?きれいに映る自信がありません」

そのせいか、キム・ボムは、その年代の男性俳優たちの定番キャラクターであるメロドラマには、まったくといっていいほど出演しなかった。画面にきれいに映る自信がないと言う。「これまで演じてきたキャラクターは、僕がキャラクターにどのような色をつけるかによって変わってきますが、メロドラマではどう色づけしたらいいかわかりません。メロドラマはまず、美しくなければならないと思うのですが、僕がどうすればきれいに映るのかも分からないですし」

その代わり彼は、人間の二面性を表現できるようなキャラクターに挑戦してみたいと語った。「人間の二面性を見せられるようなキャラクターを演じてみたいです。ファン・ジョンミン先輩は、『ユア・マイ・サンシャイン』と『甘い人生』を一年間隔で撮影したんですよ。『ユア・マイ・サンシャイン』では純朴で清いキャラクターでしたが、『甘い人生』ではガラが悪くてあくどいキャラクターに変身したんです。そんなふうに、様々な姿を見せたいですね」

「その冬、風が吹くその冬」のジンソンは、ストレートな性格のせいで時々判断を誤ったりした。しかし、インタビューで会ったキム・ボムは、そのようなジンソンのキャラクターに我慢強さと慎み深さを加えた、より大人になったジンソンのようだった。自分の周りの人の大切さを知り、彼らを守る方法においても、ジンソンよりも優れていた。律儀な男、キム・ボムの次の歩みが楽しみだ。

記者 : チョン・ヒョンジン、写真 : ハン・ヒョクスン