Vol.4 ― 放送終了「その冬、風が吹く」“名作”になれた理由とは?“撮影現場の教科書”

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※この記事にはドラマ「その冬、風が吹く」の結末に関する内容が含まれています。
写真=SBS「その冬、風が吹く」スクリーンショット
スピーディな展開で視聴者を感動させたSBS水木ドラマ「その冬、風が吹く」(脚本:ノ・ヒギョン、演出:キム・ギュテ)が、その幕を下ろした。

これまで断片台本(撮影直前で渡される、そのときに撮るシーンの台本)のないドラマと呼ばれ、映像のクオリティも抜群で視聴者の反響を一身に受けていた「その冬、風が吹く」。隙のない台本と演出力、俳優たちの名演技の秘訣は何だろうか。

半事前制作ドラマの力

「その冬、風が吹く」は、半事前制作ドラマであり、韓国では存在しなかった新しい制作システムを作り出したと言っても過言ではない。同作は韓国で2月に第1話が放送されたが、すでに昨年11月に撮影が開始され、第1話の放送当時には第8話まで撮影が終了している状態だった。そのため、キム・ギュテ監督が余裕を持ってポストプロダクション(撮影後の作業の総称)に集中することができた。

これについて「その冬、風が吹く」に出演した俳優キム・テウは、TVレポートとのインタビューで「韓国のドラマ撮影現場のお手本」と絶賛した。すでに脚本もある程度完成していたため、断片台本は全くなく、俳優たちとのコミュニケーションもスムーズであったという。また現場のスタッフも「IRIS」や「パダムパダム~彼と彼女の心拍音~」で共に働いてきた仲だったので、そのコンビネーションも抜群であったという。

韓国の制作環境において“事前制作”は遠い国の話であると思われていた。しかし、ノ・ヒギョン脚本家とキム・ギュテ監督のタッグは、このような懸念を払拭し、“半事前制作”のドラマ制作システムを開拓した。

撮影の最後まで見ることのできなかったBチームシステム

「その冬、風が吹く」の現場は1から10までキム・ギュテ監督の手で動いていた。最近のドラマ現場ではAチームにBチーム、多い時はCチームまで撮影チームを見ることができるが、キム・ギュテ監督は「その冬、風が吹く」の最後の撮影が近づくその瞬間まで、Aチームだけで全ての撮影を行った。

AチームにBチームが合流することになるというのは、その分撮影現場が“急いでいる”とも言える。しかし、「その冬、風が吹く」の撮影現場ではBチームところかドラマの撮影現場では聞きなれた言葉である“徹夜撮影”も一度もなかったという。

精巧なポストプロダクションで生まれた洗練された映像

半事前制作ドラマとして撮影された「その冬、風が吹く」は、その分余裕を持ってポストプロダクションを行うことができた。そのおかげで、シンプルでありながらも華やかで洗練された映像を誕生させることができた。俳優たちのきれいな肌や美しい映像も、全てポストプロダクションを通じて完成されたものだ。

一般的なドラマの場合、ポストプロダクションは想像もできないほどの、いわゆる“生放送撮影”が続くが、「その冬、風が吹く」の場合は半事前制作ドラマとして制作されたため、このようなポストプロダクションも可能であったという。これについて制作会社の関係者は「キム・ギュテ監督はポストプロダクションに力を注ぐことで有名だ。事前に撮影しておいた分量が多かったので、ポストプロダクションに一層集中することができた」と伝えた。

演技にだけ集中することができた俳優たち

「その冬、風が吹く」の撮影現場は、俳優たちには夢の現場として挙げられている。それは、以下の3つがなかったためだ。断片台本、徹夜撮影、Bチームのことだ。この3つが存在しない撮影現場であったために、俳優たちは演技にだけ集中することができたという。そのおかげで、俳優たちの名演技を鑑賞できる機会が視聴者に与えられた。

これについて俳優キム・テウは、同インタビューで「監督もスタッフもみんな静かだった。誰も怒鳴る人はいなかった。そのために、俳優から見ると演技にだけ集中できる現場だった。役者の立場からすれば、本当に最高のチームだった。撮影現場の教科書、お手本と言ってもいいだろう。それだけではない。最後の放送を控えた時も、一度も徹夜の撮影がなかった」と撮影システムを絶賛した。

半事前制作ドラマの幕を開け、華麗な成功を収めた「その冬、風が吹く」は、韓国で3日に最終回を迎えた。最後まで視聴者を緊張させたオ・ス(チョ・インソン)とオ・ヨン(ソン・ヘギョ)は、桜の木の下で恋人として再会し、ハッピーエンドを迎えた。待ち望んでいた彼らのハッピーエンドに、視聴者からも感動的だったという評価が続いている。「その冬、風が吹く」は全16話だという短いドラマであったにもかかわらず、視聴者に深い余韻を残し、その幕を下ろした。

「その冬、風が吹く」の後番組には、シン・ハギュン、イ・ミンジョン、パク・ヒスン、ハン・チェアが出演する「私の恋愛のすべて」(脚本:クォン・ギヨン、演出:ソン・ジョンヒョン)が、韓国で4日から放送開始となる。

記者 : ムン・ジヨン