Vol.2 ― 放送終了「その冬、風が吹く」別れ難いキャラクターたちの宴

TVREPORT |

※この記事にはドラマ「その冬、風が吹く」の結末に関する内容が含まれています。
写真=SBS「その冬、風が吹く」スクリーンショット
言葉通り、涙なしでは見られないキャラクターたちの宴だった。ノ・ヒギョン脚本家の手によって誕生したキャラクターたちは、それぞれが悲しい過去を抱きながらも「その冬、風が吹く」の中で、冬の時間を懸命に生きた。

韓国で3日に放送終了したSBS水木ドラマ「その冬、風が吹く」(脚本:ノ・ヒギョン、演出:キム・ギュテ)は、登場人物それぞれのハッピーエンドが描かれた。オ・ヨン(ソン・ヘギョ)は手術に成功し、桜の木の下でオ・ス(チョ・インソン)と再会して美しいキスでハッピーエンドを迎えた。また、田舎に行き、甘く愛を育んでいくパク・ジンソン(キム・ボム)とムン・ヒソン(Apink チョン・ウンジ)、そしてオ・ヨンのそばで最後まで幸せだったワン秘書(ペ・ジョンオク)とチャン弁護士(キム・ギュチョル)、そして死を迎えたチョ・ムチョル(キム・テウ)、それぞれのエンディングが描かれた。

ノ・ヒギョン脚本家が生みだしたキャラクターは、どのキャラクターもそれぞれの過去を抱えたまま、「その冬、風が吹く」の中で懸命に生きていた。確かに、悪役であるにも関わらず、視聴者を憐憫の感情から抜け出せないようにしたワン秘書とチョ・ムチョルは、「その冬、風が吹く」の中でも“名品キャラクター”と呼ばれ、視聴者の心に深く刻まれた。

本当に悪人だったのだろうか?キム・テウ&ペ・ジョンオク

ノ・ヒギョン脚本家特有の“正当性”が、彼らの行動を視聴者が理解できるようにした。特に、チョ・ムチョルは、“オ・スを殺すかも知れない恐ろしい”悪役から、“絶対に先に死んではならないオ・スとパク・ジンソンを守ってくれる”兄貴へと変化しながら、視聴者の心を刺激した。

ワン秘書の場合も同じだ。ノ・ヒギョン脚本家の手によって誕生したワン秘書は、オ・ヨンへの執着によってオ・ヨンの目を見えなくしたが、最終的にはオ・ヨンと互いを許し合い、心強い保護者であり、母として残ることになった。オ・ヨンに対する歪んだ愛情が悲劇的な状況を作ったが、それでもお互いを理解し、より固く絆を結ぶことができた。

これらのキャラクターが光ることができたのは、ノ・ヒギョン脚本家の筆力に俳優たちの名演技が加わったおかげだ。「その冬、風が吹く」が放送される間、キム・テウとペ・ジョンオクは、“凄まじい演技力”、“凄まじい存在感”と絶賛され、「その冬、風が吹く」の核心を成すキャラクターとなった。

いつの間にこんなにも成長した?キム・ボム&Apink チョン・ウンジ

若き二人の俳優の成長も、視聴者の視線を引き付けた。キム・ボムとチョン・ウンジ、二人とも若い俳優であるにも関わらず、先輩たちの中でもまったく引けを取らない演技力で、ドラマに活力を吹き込んだ。特に、キム・ボムとチョン・ウンジは、限りなくいたずらっ子のような愛情表現から、“炭酸カップル”という愛称までつけられ、ドラマの活力となった。しかし、一瞬にして表情や台詞のトーンが変わる彼らの姿からは、演技力の成長を垣間見ることができた。

シットコム(シチュエーションコメディ:一話完結で連続放映されるコメディドラマ)「思いっきりハイキック!」でデビューしたキム・ボムは、すでに演技が上手な俳優として指折り数えられてきた。しかし、「その冬、風が吹く」を通じて一層成長した姿を見せ、これからのキム・ボムの歩みに関心を集めるようにした。また、チョン・ウンジは、昨年放送されたtvN「応答せよ1997」で初めて演技に挑戦した。方言を使った演技から離れ、初めての正劇(シリアスで深みのある内容を扱った作品)での演技だったが、そんな懸念を軽く払拭させる演技力で、視聴者たちを見事に驚かせた。

「その冬、風が吹く」を誕生させたソン・ヘギョ&チョ・インソン

ソン・ヘギョとチョ・インソンの演技力は、30代の俳優の中においても他の追従を許さなかった。ソン・ヘギョは、視覚障がい者オ・ヨン役を熱演し、チョ・インソンの感情演技も光った。放送開始前に行われた制作発表会で、ソン・ヘギョは、「オ・ヨンを演じるために福祉施設を訪れ、視覚障がい者とたくさん話を交わしながら研究した」と明かし、期待を集めた。初回放送後、各ポータルサイトにはソン・ヘギョの視線の演技を絶賛する書き込みが殺到した。

チョ・インソンの感情演技も最高だった。チョ・インソンは軍除隊後、さらに成長した感性でお茶の間に帰ってきた。これまで見せてきたものより、さらに成長した嗚咽演技は、見る人の心までも悲しくさせ、十分に熟した感情表現に視聴者の心も揺らいだ。特に、オ・スがこらえていた涙を少しずつ流すシーンで、チョ・インソンは節制された感情演技で視聴者から好評を得た。

どのキャラクターとも別れを告げるのが残念だが、「その冬、風が吹く」は終わった。桜の木の下でハッピーエンドを迎えたチョ・インソンとソン・ヘギョ、あれだけ愛していたソン・ヘギョのそばに戻ってきたペ・ジョンオク、映画のような人生を生き、大事にしていた弟分の背中で人生を終えたキム・テウ、炭酸のようにはじける愛を育むチョン・ウンジとキム・ボム、みんな見送らなければならない。それぞれの時間の中で幸せに生きていくキャラクターたちに別れを告げ、彼らが演じる新たな姿に期待してみる。

記者 : ムン・ジヨン