Vol.1 ― 放送終了「その冬、風が吹く」名品ドラマに悪人はいなかった

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※この記事にはドラマ「その冬、風が吹く」の結末に関する内容が含まれています。
写真=SBS「その冬、風が吹く」スクリーンショット
SBS水木ドラマ「その冬、風が吹く」(脚本:ノ・ヒギョン、演出:キム・ギュテ)が今月3日、フィナーレを迎えた。オ・ス(チョ・インソン)とオ・ヨン(ソン・ヘギョ)が恋人として再会し、桜の木の下でキスすることでハッピーエンドとなった。

「その冬、風が吹く」には多くの人物が登場し、ドラマをリードしていった。そんな中で描かれた様々なタイプの悪役はドラマを盛り上げるために大きな役割を果たした。誰がもっとも酷い悪役だったのだろうか。

チョ・インソン:二度といないであろう愛さずにはいられない悪役オ・ス

チョ・インソン演じるオ・スは子供の頃親から捨てられ、初恋も残酷に終わった後、人生の意味や誠意を持たずに生きる人物。悪い男、それ以上だった。パク・ジンソン(キム・ボム)、ムン・ヒソン(Apink チョン・ウンジ)らと企み、お金のためにオ・ヨンの兄のふりをし、虎視眈々と彼女の命まで狙った。

しかし、視聴者らはオ・スが悪役であることに気づく時間などあっただろうか。オ・ヨンとの切ない恋を応援するのに夢中になっていたのではないだろうか。それだけオ・スは愛さずにはいられない魅力的なキャラクターだった。

特にオ・スは回を重ねるごとにオ・ヨンへの愛を感じ、徐々に変わっていく姿で愛された。オ・ヨンを助けるためにチョ・ムチョル(キム・テウ)の前で跪いたり、涙を流しながら気持ちを告白したりもした。始まりの動機は不純だったが、結局オ・スは本当の愛を知った。オ・ヨンを想うオ・スの心は視聴者の目元をしっとりとさせた。

ペ・ジョンオク:ミステリアスな悪役ワン秘書

ペ・ジョンオクはドラマで財閥PLグループ会長の秘書ワン・ジヘ役を熱演した。「その冬、風が吹く」でもっともミステリアスな人物として視線を引き付けた。オ・ヨンのために動いているように見えるが、疑わしいところも見せていたからだ。そのため、オ・スとも頻繁に神経戦を繰り広げた。

特に、映像の中のオ・ヨンの行動と話から総合してみると、ワン秘書は確かに悪役だ。また、酸素吸入器をつけた会長を放置し、自然に死に至らせただけでなく、オ・ヨンとイ・ミョンホ(キム・ヨンフン)の結婚を急いで進めようとした。PLグループの地位を悪用し、横領までした。

しかし、ストーリーが展開されるにつれ、ワン秘書の傷が際立ち、切なさが増した。ワン秘書はいつもオ・ヨンを心配し、母として認められたがっていた。しかし、いつもオ・ヨンに毒舌を吐かれ、冷たく突き放されてきた。それでもオ・ヨンからの電話ひとつで世界を手に入れたような表情をし、視聴者の心をじんわりとさせた。最後にはオ・ヨンの傍に戻り幸せな人生を再び始めた。

キム・テウ:逆転する悪役チョ・ムチョル

キム・テウは、オ・スを毛嫌いする請負業者チョ・ムチョルを演じた。最初の登場から、オ・スの腹部に迷いもなく刃物を刺し、凄まじい雰囲気を漂わせた。そのため、「その冬、風が吹く」で悪役としてもっとも注目を浴びたのも事実だ。

チョ・ムチョルがオ・スを憎むようになったきっかけは昔、初恋の相手だったムン・ヒジュ(キョン・スジン)の死だった。ムン・ヒジュに対するチョ・ムチョルの愛はそれだけ深かったのだ。この事実により逆転した。ただ悪い男と思っていたチョ・ムチョルが悲しき過去を持っていたのだ。その後、悪役ではなく可哀想なキャラクターに変わった。

また、チョ・ムチョルは実は、キム社長からオ・スとパク・ジンソンを守るためにあえて悪役を買って出ていたことが分かり、再び衝撃が走った。すでに余命宣告を受けており、死ぬ前までオ・スとパク・ジンソンが被害を受けるのを防ごうとした守護天使だった。誰よりも可哀想な人生を生き、最後を迎えた彼の姿に胸を打たれた。

「その冬、風が吹く」はチョ・インソン、ペ・ジョンオク、キム・テウのほか、ソン・ヘギョ、チョン・ウンジなどの活躍も目立った。ソン・ヘギョは欠点が見つからない視覚障がい者の演技で絶賛された。キム・ボムもオ・スの右腕、パク・ジンソンに変身し、義理のある男のキャラクターを完成させた。チョン・ウンジもオ・スの味方と敵を行き来するムン・ヒソンをリアルに演じ、脇役としての役割を果たした。

どのキャラクターも疎かにしないノ・ヒギョン脚本家の緻密な台本と、美しい台詞が「その冬、風が吹く」の悪役を憎めなくしたと言っても過言ではない。さらに、チョ・インソン、ソン・ヘギョ、ペ・ジョンオク、キム・テウ、キム・ボム、チョン・ウンジなどの好演も「その冬、風が吹く」を輝かせた。

「その冬、風が吹く」の後番組としてはシン・ハギュン、イ・ミンジョン主演の「私の恋愛のすべて」が韓国で放送される。

記者 : パク・グィイム