「その冬、風が吹く」キム・ギュテ監督が語る映像の秘密…鏡の中の人物を映す理由は?

OhmyStar |

写真=(株)風が吹く
SBS水木ドラマ「その冬、風が吹く」(脚本:ノ・ヒギョン、演出:キム・ギュテ)は特別な事前制作システムで「ドラマ制作の青写真を提示した」との評価を見せている。放送開始前からすでに8話分の撮影を終え、ノ・ヒギョン作家は最近第16話の台本の最終版を脱稿した。そのお陰で役者たちは、4話分の台本を受け取るたびに1回ずつ集まり、台本を読み合わせながらノ・ヒギョン脚本家やキム・ギュテ監督と長く会議する時間の余裕を与えられた。

しかし、そうすればするほど、キム・ギュテ監督の悩みも深くなる。14日、ソウル江南(カンナム)区新沙洞(シンサドン)のコーヒーショップで行われた記者懇談会で彼は「ノ・ヒギョン脚本家は私とは合わない」との冗談で話を始めた。そして「今回の作品をしながらも脚本家に感心しており、執筆の意図が上手く表現されてほしいと思っている」としながらも、「撮りながら毎回練習して撮影するが難しい。とても難しい脚本家だ」と告白した。「私たちさえしっかりすれば問題ない」という言葉と共に。

写真=SBS

「ソン・ヘギョ&チョ・インソン、どう撮っても美しく、カッコイイ」

しかし「その冬、風が吹く」で欠かせないのは、ドラマの完成度を上げる映像の力だ。放送前から「人物の感情を活かすためにクローズアップをたくさん活用する」と公言していた彼は、本当に惜しむことなくソン・ヘギョ(オ・ヨン)とチョ・インソン(オ・ス)の顔を様々な角度から拡大して見せている。

これについてキム・ギュテ監督は「美しい映像や画面だと評価してくださることは、基本的にチョ・インソンとソン・ヘギョが美しいからだ」とし「フルショットでもカッコイイし、クローズアップでもカッコイイが、役者たちのお陰で私までも褒められているようだ」と謙遜した。「美しい被写体を思う存分撮影することに過ぎない」というのが監督の答えだ。

しかしキム・ギュテ監督もそれなりの演出哲学を持って「その冬、風が吹く」に臨んでいる。「作品そのもののトーンが重いので、視聴者が息苦しく感じるかもしれないと思った」とする彼は「そこで、何とかして演出の力で、軽くやわらかく撮影しなければならないという、基本的な方向性はあった」と伝えた。そこで力を入れたのが“色”だ。キム・ギュテ監督は「美術監督やスタッフたちと会議を繰り返した」とし「役者たちのビジュアルやカリスマ的な部分が大きくはあるが、そのお陰で視聴者たちが評価してくださっていると思う」と付け加えた。

もう一つ、今まで使わなかった画面の構図を活用することも、キム・ギュテ監督のアイデアだ。「その冬、風が吹く」では実際の空間にいる人物より、自動車のバックミラーや鏡、ガラスに反射された人物の像をカメラに盛り込むことが多々ある。これについてキム・ギュテ監督は「ドラマの中の人物たちの二重の心理を見せたかったため」とし「そのようなシーンは人物同士の葛藤が生まれたり、緊張感が形成されるシーンだが、役者たちの詳細な心理描写を際立たせる画面の構図を作りたかった」と説明した。

写真=SBS

「実際に撮影した映像と放送されるものは遥かに違う」

同時にキム・ギュテ監督は「その冬、風が吹く」でしかできない事前制作方式に大きな満足を示した。「ドラマの完成度を上げることにおいて、これだけ良い方法もない」というのが彼の持論だ。そのなかで大きな割合を占めるのが後補正だ。『その冬、風が吹く』は、撮影した映像に色や質感を細かく補正する過程を施してから放送される。

「後半の作業を新しくしたかった。既存のドラマでも行っている過程だが、『その冬、風が吹く』の場合、さらに詳細な作業が行われる。撮影の時もそのため、任意で一つの色を強調しない。後半の作業過程で求める色と質感を得るためだ。実際撮影した元々の映像を見れば色と質感が全く違うことが分かると思う。びっくりするはず」

続いて監督は、「このような作業を既存のドラマでできなかった理由は、どうしても時間がかかってしまうため」だとし、「その日に台本ができてすぐ撮影し放送するシステムでは(このような作業が)できない」と強調した。また「新しい方式や装備を使うからと言ってすべて良い結果を出せるわけではなく、『誰がどうするのか』も重要な要素だと思う」と言いながら笑った。

「今までのノ・ヒギョン脚本家の作品には“台詞を聞く楽しさ”があったとすれば、私との共同作業を通じて“見るドラマ”としての要素も加えられたと思う」と自ら評価するキム・ギュテ監督。彼の言葉通り、ノ・ヒギョン脚本家の共感できる作品はキム・ギュテ監督の映像美と出会い、鬼に金棒となった。「その冬、風が吹く」が水木ドラマのトップをキープしていることも“人々から愛されるように”とチームワークを発揮したコンビの力を証明していると言えよう。

現在「その冬、風が吹く」チームは第13話から第15話までの分量を撮影している。キム・ギュテ監督は「1週ほど前に撮影を終え、最後の放送の2日前までには後半作業も終わりそうだ」とし「ただし、最後にエピログシーンがあるが、これは放送直前に台本が公開されそうだ」と余韻を残した。

最後に彼は、「これからは2人の愛が深まり、ロマンスも本格的に展開され、大きな葛藤状況が残っているため、期待してほしい」としながら「これからもたくさんの方々の心を焦がしたい」との抱負を伝えた。

記者 : イ・ミナ