ファン・ジョンミン、4年ぶりの主演ドラマ「約束の恋人」を語る

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総製作費100 億ウォン、南北に引き裂かれた男と女の許される愛を壮大なスケールで描く感動のラブロマンス・ドラマ「約束の恋人」(原題:韓半島)が、日本でDVDリリースされた。国境の壁によって愛を阻まれた韓国人の科学者を演じるのは4年ぶりのドラマ主演となる、名優ファン・ジョンミン。
現在韓国では映画最新作『新しき世界』が大ヒットし、国民的俳優として多忙をきわめるファン・ジョンミンが日本でのリリースに向けて、「約束の恋人」への想いを熱く語った。

―ドラマ「約束の恋人」はどんな物語ですか?

ファン・ジョンミン:私の演じるソ・ミョンジュンという役は、素晴らしい科学者です。代替エネルギーを開発し、現在、エネルギー不足に悩んでいる韓国に、新しいエネルギーをもたらす人物ですね。ミョンジュンが留学先のブカレストで愛した、キム・ジョンウンさんが演じる北朝鮮の女性科者と再会し、数々の試練を経て、私は韓国の大統領となります。ストーリー自体は、とてもシンプルなものですが、現在の韓国では成立が難しい、簡単には実現しない話です。日本の皆さんにも興味深く見ていただけるのではと思います。

―「アクシデント・カップル」以来のドラマ出演ですが、「約束の恋人」への出演を決めた理由は?

ファン・ジョンミン:この作品の持つ物語に惹かれた点が大きいですね。今のドラマって、リアリティーのない設定が多いじゃないですか。それに私は食傷気味でしたし、視聴者の方もそうじゃないかと思うんですよ。何か新しい題材のドラマをやりたいと思っていたところに、このドラマの話をいただきました。この作品の持つ物語に魅了されました。スケールも大きいし、その点では、最初は負担も感じました。まるで映画のような内容だけど、これがドラマで可能だろうか? って。しかし、それが可能なら、私の代表作になるのではとの期待もしました。

―ソ・ミョンジュンとはどんな人物ですか? 彼の魅力とは?

ファン・ジョンミン:私には似合わないのですが(笑)、天才物理学者、真っ直ぐで正しい考えを持って生きている人物です。とても正直で困難に屈せず、かと思えば、競走馬のように突進する推進力もある、そんな人物です。魅力といえば、頭のいい点。私はそんなに頭がよくないけど(笑) 頭がよくて勉強ができる人物。そして、だからといって、それを決して鼻にかけたりはしないスタイルです。また、しっかりした考えを持ち、それを主張する力を持った人物でもある。とにかく魅力的な人物で、それがひいては、韓国を導くリーダーになる力になったんだと思います。

―女優キム・ジョンウンさんとは、初めての共演ですがいかがでしたか?

ファン・ジョンミン:これまでは授賞式などで会って挨拶をする程度でしたが、この作品を通じて知り合いました。撮影が終わって、親しくなった気がします。彼女は人の心をゆったりさせる魅力があるようです。まるで少女のように。この作品では本当に息が合いました。他の女優さんと違って、私も楽に接することができましたし、作品についてもよく話し合いもしました。

―今回の作品は、ベテランから新人まで、多くの俳優さんが出演していらっしゃいますが、現場の雰囲気はどうでしたか?

ファン・ジョンミン:現場の雰囲気はとてもよかったです。新人の皆さんは熱心にやっていましたし、今回は外国ロケを1ヶ月半、ルーマニアで行いました。みんな親しくなって、チームワークもよかったですね。私も主人公ですから、熱心にやらないわけにいきません。私が一生懸命にやらないと、新人たちも付いてこないでしょうし。スタッフのみなさんも、今回は大変な撮影でしたが、頑張っていただきました。

―ルーマニアで苦労した点とか、面白いエピソードがあれば教えてください。

ファン・ジョンミン:とにかく寒くて! 時期は確か11月の初めか、10月の終わりでしたが、韓国はまだ暖かくても、ルーマニアに行くとすごく寒くて。その上、ロケの場所が山の中ですから。韓国でいうと束草(ソクチョ)か、雪岳山(ソラクサン)のようなところです。そこに行くと、本当に寒くて参りました。韓国に帰ると韓国は冬ですから、行って帰って、冬を3回迎えたような具合です。ルーマニアの首都から車で5時間ぐらいで、繁華街を車で走ったとき、ルーマニアの人たちが、こういう撮影が珍しいのか、たくさん見物に来てくれて……。みな親切でしたね。

―ドラマ劇中で、キム・ジョンウンさんとの聖堂でのキスシーンが素敵でしたが……。

ファン・ジョンミン:聖堂でのキスシーンは撮影の最初の頃に撮ったんです。撮影3日目だったか……。ところがこの後、物語がどう展開するか分からないんですね。重要なシーンですから、脚本家の方に、(これ以降の)台本を見せてくれと頼みました。その後の展開を知らないと演技できませんから。脚本家の方は、「監督に見せるんじゃないぞ」と言って、私だけに見せてくれました(笑)

―俳優の喜びというのは、撮影の前に役作りをする、キャラクターを作っていく喜びと、作品が完成した後、観客の反応を見て感じる喜びと、二つあるように思います。ファン・ジョンミンさんはどちらが大きいですか?

ファン・ジョンミン:後者ですかね。完成する前は悩むことばかりですから。これでいいのか? 観客のオーケーは出てもいないのに、俺たちだけでオーケーを出してるんじゃないかって。そんな悩みや不安が、いつも頭の中にあります。今、現場で私たち数十人はオーケーを出したけど、もし観客がオーケーと思っていなかったら、どうするんだ。こんなことを現場でもよく話します。ですから、オーケーは簡単には出せないんですよね。こんな風に悩んで撮影して、いざ作品が完成してみなさんにお見せする時、この時の喜びの方が大きいですよ。

―ファン・ジョンミンさんのストレス解消法は?

ファン・ジョンミン:私はストレスを解消しないんです。ただ、それに耐えて受け入れるだけ。演技のストレスを解消してしまえば、楽な方に行くことになるので。演技のストレスは良いストレスだと思います。それに、ストレスに打ち勝つなんてできないんです。ストレスを自分の中に受け入れていけば、ある時、演じる人物のキャラクターが、自分も知らないうちに自然と出来上がる場合があるんです。ストレスがあるからと言って、それを解消していけば、結局は、演じる人物を見せるんではなくて、自分の地を見せることになる。私はそれはイヤですから。

―演技をしながら、充実感を得られる時は?

ファン・ジョンミン:いつでも充実感を得てますよ。一本の作品との出会いは、これは後輩にも言っているんですが、自分にとって、人生で初めてであり、最後でもあるんです。そう考えれば、一生懸命にならざるを得ません。私は、後で後悔するようなことは絶対にしたくない。そうであれば、後悔しないようにするにはどうするか。もう、答えは出てますよね。必死になってやる他ないんです。演じるに当たって、決して手を抜くことなどできません。足のつま先から頭のてっぺんまで、自分が創造した人物なんですから。
充実感を得た作品として、あえてどの作品かを選ぶとすれば、『浮気な家族』という映画ですね。私はチュ・ヨンジャクという弁護士の役だったのですが、それが、私が一番嫌いな性格の持ち主なんです。もし、そんな人物が私の周辺にいたら、絶対会いたくない、遠ざけてしまいたい、そんな人物です。果たして私に演じられるだろうか、不安でした。しかし、実際に演じてみて分かったんですが、私の中にも、そんな(大嫌いな)部分があったんですね。演じて自信もつきましたし、一生懸命にやったと思います。

―最後に、日本の皆さんにメッセージをお願いします。

ファン・ジョンミン:私のドラマ出演2作となる「約束の恋人」が日本でDVDリリースされます。一生懸命、苦労して撮影したドラマですが、素晴らしい作品になったと思います。ご期待ください。最近は、韓国もですが、日本も暮らしていくのは決して楽ではないと聞いています。しかし、時には空を見上げ、余裕をもつことも悪くないと思います。皆様の健康と幸せを願っております。ありがとうございました。

(2013年2月 ソウル市内にて)

ドラマ「約束の恋人」はジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントよりDVD BOX1が好評発売およびレンタル中。4月5日よりDVD BOX2がリリースされる。
詳細:「約束の恋人」DVD公式サイト

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記者 : Kstyle編集部