パク・シフ、勝っても負けるゲームに巻き込まれた

OSEN |

真実はどうであれパク・シフの強姦容疑の事件を見ることは愉快ではない。被害者は自身の被害を証明するために、被疑者は自身の無罪を認めてもらうために、それぞれ懇親の力を注ぎ自身の主張をするのは当然だといえるが、微妙な性的問題であるため、誰が有罪か無罪かに関係なく泥仕合になる様相は見苦しい。

そもそもこの事件は被告パク・シフと原告A氏を主演俳優に、事件当日席を設けたパク・シフの後輩K氏を助演俳優にして演出された。

しかし、パク・シフがA氏と彼女の知人B氏、そして自身の前所属事務所の代表C氏を誣告および出版物による名誉毀損の容疑で応訴し、助演俳優が増えた。

原告と被告は自身の主張を貫くためにあらゆる手段と方法を動員しているが、両方で公開したカカオトーク(スマートフォンのコミュニケーションアプリ)の内容には興味深いものがある。まず、パク・シフが公開したA氏とB氏そしてKの会話の内容だけで推測すると、パク・シフ側が若干有利に見える。なぜなら“事件”の後、A氏は何ごともなかったかようにKと日常的な会話を交わし、クラブに遊びに行く計画を立てているように映っているためだ。

状況が不利になると、A氏も「私がもっと驚いたのは私がなぜあのお兄さん(パク・シフ)とベッドにいたかということ」「もう!予想外のことで本当に…」というカカオトークの内容を公開し、心を交わしたものではないと反論した。しかし、1億ウォン(約860万円)の示談金も断り、何としてでもパク・シフを処罰したいと強い態度を取っているA氏に比べてこのカカオトークの内容は穏やか過ぎるという感じが否めない。

パク・シフの応訴により状況は全く違う局面になっている。彼の前所属事務所の代表が陰謀説の背後に登場したためだ。パク・シフとしては雰囲気の逆転が切実に必要だっただろうし、そのような疑いを持っても無理は無い。真実かどうかを離れて、彼が崖っぷちに立たされたのは明らかであるためだ。

当然なことだがC氏は「事件以降、むしろパク・シフを助けるために物心両面で努力してきたが、告訴とは困惑している。A氏と今回のことを企んだとはとんでもないことだ。むしろ彼女に合意を願った」と主張した。A氏も「Cから数回にわたって合意してほしいと頼まれたことはあるが、彼といかなる共謀もしたことがない」とはっきりと線を引いた。

もちろん、これも当然なことだ。事実かどうかと関係なくA氏とC氏が告訴を企んだのならこの事件で不利になるため、万が一事実だとしても隠そうとするはずだからだ。

双方の告訴により警察はさらに忙しくなった。両方の告訴状を総合的に併合捜査しなければならない。また、両方の主張が激しく対立しているために、ある一方の嘘を証明する作業が容易ではないように見える。

しかし、じっと考えてみると事件の流れは本質から離れとんでもない方向に流れている。なぜならこの事件のキーポイントは一つだけだ。強制であったかどうかだ。これ一つだけでパク・シフが有罪か無罪かが決まる。もちろん、それが判明するとA氏が被害者なのか誣告をしたかも判明する。

それではそれが全部だろうか?強制かどうかを明かし、二人の有罪無罪を分けるだけで今回の事件はきれいに終わるのだろうか?法的にはそうなのかも知れないが、モラルや世論の流れはそうでない。

法的な基準を離れて、今回の事件によりパク・シフもA氏も傷ついた。A氏は22歳の花ざかりの歳だ。しかも芸能人志望生だという。もし彼女が今後平凡に暮らすのであればこの事件の主人公という事実は自然と忘れられるだろうが、もし彼女の希望通り芸能人としてデビューする場合問題が発生する。

すでに足早なネットユーザーにより彼女の個人情報はある程度露出された。彼女がデビューすれば“パク・シフ強姦事件”の主人公というレッテルが貼られたまま活動しなければならないが、それが果たして芸能人として彼女に得か損かは火を見るより明らかだ。

まだ真実は明かされていないが、何はさておきパク・シフも被害者だ。パク・シフの主張が正しく強制性がないと捜査が終了されるとしても彼が被害者という事実には変わりがない。なぜなら彼が歳の離れた若い女性に酒を飲ませ“ワンナイトスタンド(一夜だけの情事)”を楽しんだことには変わりがないためだ。

そんな彼を人々が良しとするわけがない。現在彼のイメージは落ちるところまで落ちた。彼が主演を演じたドラマ「清潭洞(チョンダムドン)アリス」の輸出が全面的にキャンセルされたことだけでも現在の彼の位置付けがどれほど墜落したかを如実に示している。今後彼をどの監督と製作者がキャスティングし、どの広告主がモデルとして起用するだろうか?彼は今回のことで愛情もなくただ欲望を満たすために女性の体を貪る男というイメージが刻印されてしまった。

強制性の有無はパク・シフとA氏のどちらが犯罪者かを分ける1つのファクト(事実)だが、芸能スターパク・シフの位置や今後の未来は有罪かどうかと関係なく少し複雑になる。まず彼の「心を交わした」という言葉はA氏にとっては真実ではないようだ。彼は自身の心を開けたと考えているかも知れないが、告訴したことを見るとA氏が彼に心を完全に開けていないことは確実だ。

すべての動物はただ種族を保存するために交尾するが、地球上のただ二つ、人間とボノボ猿は単純な性欲によっても関係を持つ。両方のうち、特に人間は愛を持って関係を持つことに大きな価値を付与する。

もちろん、人間にも動物的な本能があるため、単純に性欲だけで関係を持つことができる。しかし、ここには相手の同意と許可が絶対的に必要だ。

パク・ピョンホ(パク・シフの本名)はれっきとした男性なので十分にそうすることができる。しかし、芸能スターパク・シフは特別に身の処し方に注意する必要がある。まず自身のためにもそうだ。芸能人はイメージ1つで高く飛び上がることもどん底に落ちることもある。したがって、彼は瞬間の欲望を満たすために大きな恥をかく愚を冒すよりは芸能スターらしい自制力で今後の長い生命力のために欲望を押えなければならなかったが、そうすることができなかった。

二番目は、ファンへの応えだ。彼はファンの熱狂的な声援と支持で今日の高い位置に登り、そのおかげでたくさんの人々からスターとして待遇され、その年頃のサラリーマンたちには想像もできないほどの富を築いた。これはもっぱらファンからの声援で得たものだ。だとすれば、彼らを失望させないのが彼の基本姿勢だ。ファンへの応えはおろか、失望ばかりさせたのは、彼に富と名誉を与えたファンへの裏切りだ。

このような状況で彼は非常に傷ついただろう。しかし、大いに傷ついた人々はたくさんいる。「清潭洞アリス」で世界にはまだ真なる愛が残っていることに感動し、それに純粋な涙を流せるチャ・スンジョに惚れ、パク・シフに大きな支持を送り、パク・シフをそのようなしっかりした青年だと考えたファンたちは“オオカミ”の本性を露わにした彼にがっかりするしかない。

彼が今日の位置に上がるまで容易ではなかったはずだ。だとすればその場を守るために品格の維持に特別に気を付けなければならなかったが、瞬間的な本能を押えられず、一夜にして骨折って成し遂げたものを無くしてしまう危機に貧している。万が一、今回の事件の結果で彼が勝利した場合でも今後の芸能活動が順調に進むとは保証できない。

“ワンナイトスタンド”が必ずしも悪いとは言えない。しかし、後始末はすっきりしなくてはならない。そして、それが堂々と家族に自慢できることではないことは明らかだ。

その反面、心を交わす交際としての性的関係は美しい。パク・シフとA氏は後者ではなく前者だったためこのようなことになってしまったのだ。

記者 : ユ・ジンモ