ハリウッドに進出した韓国の監督、低調な興行成績よりも貴重な意味

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写真=CJエンターテインメント、20世紀フォックス
韓国映画が国内外で最高の全盛期を迎えている。昨年、韓国映画は観客1000万人を獲得した映画を2本も排出し、前例のない好況期を迎えた。今年の場合、新年が始まってわずか2ヶ月で観客動員数1000万人を突破した映画が誕生した。その映画は「7番房の奇跡」で、韓国映画の興行収入ランキング歴代5位を記録した。

海外での韓国映画市場への意識も大きく変わった。映画プロモーションのためだけに韓国行きを選ぶほど、韓国市場が占める割合が大きくなった。

昨年、韓国内ではなかなか見られなかったリース・ウィザースプーン、リーアム・ニーソン、ウィル・スミスなどが韓国を訪問し、今年は、アーノルド・シュワルツェネッガーが俳優として初めて韓国を訪問、レオナルド・ディカプリオも、初めての来韓を控えている。また、巨匠監督らの相次ぐ来韓ラッシュまで韓国映画市場は“私たちだけのリーグ”ではない世界をステージとした映画市場へと成長している。

韓国映画のステータスが向上したと感じられる要因の一つが、ハリウッド発の韓国監督の作品である。韓国を代表するパク・チャヌク監督とキム・ジウン監督のハリウッド発の映画が逆輸入されたことで、韓国映画市場の雰囲気がさらに高まっている。ここに、二つの作品の主演俳優らが監督の国に特別な愛情を持って来韓し、韓国内はさらに熱狂している。

このような雰囲気にもかかわらず、ハリウッド発の韓国監督の興行成績不調には残念さを隠せない。

ボックスオフィスMojo基準で、キム・ジウン監督の「ラストスタンド」は、1月21日北米公開初週に9位を記録し、先月24日までに1202万6670ドル(約11億2100万円)の興行収入を上げた。アーノルド・シュワルツェネッガーのスキャンダルと米国内の銃乱射事件などの影響を無視できないが、製作費4500万ドル(約42億円)を投入したことを考えると残念な記録である。

パク・チャヌク監督の「イノセント・ガーデン」は、興行成績がよい方だ。1日、北米地域の計7ヶ所で公開され、これまで15万8822ドル(約1480万円)の興行成績を上げた。劇場当たり平均2万2689ドル(約211万円)と、全国で一斉に上映された超大作「ジャックと天空の巨人」の平均成績(3525の劇場公開、平均7946ドル)よりも高い。公開初週の成績が発表されれば、もっとはっきり分かるだろうが、現在の成績では、良いスタートを切ったと言える。

しかし、「ラストスタンド」と「イノセント・ガーデン」両方とも韓国の興行成績は芳しくない。韓国の観客の全幅的な支持を受け、独自の作品世界を構築してきた監督らだっただけに期待感が高かったのが事実。このような期待にも「ラストスタンド」は、公開日当日8位を記録し、「イノセント・ガーデン」は、公開初日4位を記録した。公開初日の順位が二つの作品の最高興行成績だ。

このように映画の成績が低調な背景には、ハリウッド映画のコントラストが存在する。ハリウッドのシステムと資本は歓迎して当然だが、監督の権限は縮小された。忠武路(チュンムロ:韓国映画の中心地)で映画全般に大きな権限を発揮していた監督は、ハリウッドで縮小された権限の中で最大限の能力を発揮するしかなかった。そのため、一部では韓国内よりも監督のカラーをあまり発揮できなかったことに残念さを感じる人もいた。また、予想以上に韓国観客の反応が薄いのも興行低調の理由になった。

映画関係者はハリウッド発韓国スター監督らの興行成績について「1月から興行していた韓国映画がまだボックスオフィスの上位圏にある。観客の立場ではまだ見る映画が多い」とし、「いくら韓国の監督の作品だとしても韓国映画よりも海外映画と考えているようだ。以前より韓国映画の興行成績が良いため、超大作ではない以上、海外映画の成績が低調なのも理由の一つだ」と見通した。

それでも韓国の監督らのハリウッド進出は、それ自体が、大きな意味を持つ。韓国の映画監督らが映画の本場といわれるハリウッドのラブコールを受けたという事実だけでも注目に値する。さらに、相対的に狭くなった監督の権限の中でもキム・ジウン、あるいはパク・チャヌクスタイルの映画を公開したという点も、拍手を受けるに値する。

韓国を代表する監督らは、韓国の現場の情熱と根気、現場であふれ出るアイデアを組み合わせできる行動力と決断力を持って、ハリウッドのシステムを経験した。二人の監督は、これを100%活用できなかったにも関わらず、ハリウッドで次回作の提案を受けている。今回の経験を土台に生まれる彼らの2つ目のハリウッド発映画が期待される理由だ。

記者 : キム・ミリ