「男子取扱説明書」イ・ウォンソク監督“もともとはブラックコメディだった”

OSEN |

どこにでもいそうな“平凡な女”チェ・ボナ(イ・シヨン)と、韓流トップスターイ・スンジェ(オ・ジョンセ)の甘いロマンスを描く映画「男子取扱説明書」。ラブストーリーが一つもない2013年上半期の映画界をピンク色ムードに染め静かなヒットを続けている「男子取扱説明書」が、もともとはブラックコメディであったと想像できるであろうか。

最近、新沙洞(シンサドン)のあるカフェでOSENの取材に応じた「男子取扱説明書」のイ・ウォンソク監督は、当初の「男子取扱説明書」の企画意図について、もともとは甘いラブコメディではなく、ブラックコメディとして企画したと打ち明けた。過程よりは結果を重要視するこの社会の不条理を皮肉りたかったという。

実は、今の「男子取扱説明書」も詳しく見れば現実を皮肉る内容が盛り込まれている。平凡な女チェ・ボナが男子取扱説明書を使いイ・スンジェの心を手に入れるという内容は、愛という感情にまで説明書を使うほど“○○説明書”が飛び交う現実を批判しているためだ。しかし、シニカルで暗かった「男子取扱説明書」の当初の姿は、容易に想像できないのが事実だ。

それではなぜ、ブラックコメディだった「男子取扱説明書」が甘いラブコメディ映画になってしまったのだろうか。イ・ウォンソク監督は、もう少し人々に近づける映画を作るために、ラブコメディに変更したと説明した。どうしても、ブラックコメディよりはラブコメディの方がが人々へ近づきやすかったためだ。

―公開した感想は?

イ・ウォンソク:夢のようで惜しいところもあるし、「もう少し頑張ればよかった」という考えもある。映画を観ながら「撮影当時に諦めたことを、そのままやっていればよかった」と思ったりもした。実は、撮影しながら商業的に妥協した部分が多い。「諦めないでやっていればどうなったか」と考えたりもした。

―「男子取扱説明書」を作ったきっかけは?

イ・ウォンソク:当初はラブコメディではなく、ブラックコメディだった。以前「過程などは全然重要ではない。成功さえすればいい」とよく言われたが、それを皮肉りたかった。成功のためには何でもするような悪女でなく、最後まで成功する人として評価されるそのような内容にしたかったが、それには脚本家も大変な思いをした。大衆的じゃなかったからだ。結局、ラブコメディに変えた。撮影の前日までシナリオを書き換えた記憶がある(笑)

―実際に恋愛上手な人からアドバイスを受けたのか

イ・ウォンソク:最も手伝ってくれたのは、ポップコラムニストのキム・テフンさんだ。恋愛上手な人たちを尋ねたが、ある程度話したら、金銭的な要求をしてきた。懐が豊かではない状態だったが、キム・テフンさんからは色々助けてもらった。キム・テフンさんの書いた恋愛関連書籍を見て訪ねて行った。3、4回会ったが、キム・テフンさんの話では、重要なのは技ではなく、恋愛する技を知っていながらもできないのが問題だということだった。「私はプライドの高い女なのに、どうして恋愛の技なんか使わなければならないの」という様な考え方だ。

―ビデオを観るような構成は、好き嫌いが分かれると思う

イ・ウォンソク:本当に文字通りの“取扱説明書”を作りたかった。ブラックコメディにするかどうか悩む以前から「映画館でビデオを観るような形で作ろう」と思っていた。好き嫌いが分かれることは、ある程度予想していた。周りの監督から悪質なコメントは読むなと言われているが、自分も知らぬうちに読んでいる。中毒状態だ(笑) この映画はおかしいのだろうかと心配したが、その点に関してはVIP試写会で皆が笑ってくれていたので自信を得た。

―オ・ジョンセの再発見という評価が多い

イ・ウォンソク:それを狙った。イ・スンジェ役をしたいと名乗り出た方々の中には本当に有名な方もいた。しかし、僕は少し違うものを狙っていた。普段、ラブコメディ映画を観れば一定の方程式がある。可愛い女性とハンサムな男性の恋。この映画ならではのユニークさがほしかった。そして、オ・ジョンセがとてもうまく活かしてくれたので、評価がさらによくなったと思う。

―女優としてイ・シヨンを評価すれば?

イ・ウォンソク:ピークに達した女優だ。準備を徹底している。そこから、監督に選択肢を与えてくれる。有り難いのは、この映画のトーンを作ってくれたことだ。現場でたくさん話し合いながら、トーンを決めてくれた。そして、自分がどのように変化を与えるべきで、どのように動くべきかが分かる、知能的な女優だ。イ・シヨンが今までに出演し、また、これから出演する映画の中で最も綺麗に写った映画になるだろう。本当に綺麗に撮ったから。

記者 : キム・ギョンジュ